売られ過ぎの景気敏感株に投資妙味 世界景気への悲観は行き過ぎ?
トウシル / 2018年8月2日 7時56分
売られ過ぎの景気敏感株に投資妙味 世界景気への悲観は行き過ぎ?
貿易戦争におびえる株式市場。業績好調でも売られてきた「景気敏感株」
日経平均株価は、上値抵抗線と見られている2万3,000円を前に、やや膠着(こうちゃく)色が出ています。貿易戦争がエスカレートしつつあるのか、「落としどころ」に向かって収束しつつあるのか、わからないことが不安材料となっています。
日経平均週足:2017年7月3日~2018年8月1日
日経平均は、7月6日に向けて米中貿易戦争がスタート【注】する警戒感から売られ、一時2万1,462円まで下がりました。
ところが、6日に実際、貿易戦争の第1弾がスタートしてからは買い戻しが増えて、反発しています。
【注】7月6日に米中貿易戦争がスタート
7月6日は、米トランプ政権が、知的財産権侵害を根拠に、中国からの輸入品340億ドル(約3兆7,000億円)相当に25%の制裁関税を発動すると予告していた日です。制裁関税が発動された場合は直ちに、米国からの輸入品340億ドル相当に報復関税を課すと中国は宣言していました。予告通り7月6日に、米中は制裁・報復関税を発動しました。
世界景気に対する不安は続いているが、好業績で割安な景気敏感株には買い戻し
7月6日を境に、株式市場の物色動向に変化があります。
年初来、売られ続けてきた「景気敏感株」が買い戻される一方、世界景気の影響を受けにくい「ディフェンシブ成長株」が売られ始めています。つまり、今年の初めから続いてきた「景気敏感株売り・ディフェンシブ成長株買い」のリバーサル(反対の動き)が出ています。
いま出ている動きを説明するのは難しいですが、これを、無視すべきではありません。
私がファンドマネジャーならば、いま景気敏感株を少し買い戻してみたいところです。世界景気の先行きに不透明感があるので、業績が中長期的に良好と考えられる割安な景気敏感株を選別して、試し買いするタイミングだと思います。
私がいま、少し買ってみたい「景気敏感株」
今「試し買い」してみたいと考える株は、以下の通りです。
割安な景気敏感株 投資の参考銘柄
コード | 銘柄名 | 業種 | 株価:円 | 配当利回り | PER:倍 | PBR:倍 |
---|---|---|---|---|---|---|
3436 | SUMCO | 半導体材料 | 2,401.0 | 2.3% | 13 | 2.9 |
4188 | 三菱ケミカルHD | 化学 | 1,013.5 | 3.4% | 8 | 1.1 |
5108 | ブリヂストン | タイヤ | 4,437.0 | 3.6% | 11 | 1.5 |
6301 | 小松製作所 | 機械 | 3,362.0 | 2.9% | 14 | 1.9 |
8058 | 三菱商事 | 商社 | 3,175.0 | 3.6% | 8 | 0.9 |
8306 | 三菱UFJ FG | 銀行 | 706.0 | 2.8% | 11 | 0.6 |
出所:配当利回りは、今期1株当たり配当金(会社予想)を8月1日の株価で割って算出。PERは8月1日株価を今期1株当たり利益(会社予想)で割って算出。ただし、予想利益を公表していないSUMCOの1株当たり利益は、楽天証券予想
SUMCO(3436)
需給逼迫が続く半導体材料(シリコンウエハ)で、第1位の信越化学と2位のSUMCOを合わせると、世界シェアの過半を押さえています。今後、PC、ケータイ、データセンター向けの半導体メモリだけでなく、自動車用、設備投資機器用など、あらゆる分野で半導体の需要拡大が続くと考えられますが、最先端のシリコンウエハで高シェアのSUMCOはその恩恵をフルに受けると考えています。詳細は、以下のレポートをご参照ください。
2018年7月5日:半導体スーパーサイクルの勝ち組と負け組。関連株と投資判断
三菱ケミカルHD(4188)
リチウムイオン電池材料など、高機能化学品が長期的に成長すると予想しています。
2018年7月24日:利回り2.5%超!「10万円以下」で買える、好配当利回り株のえらび方
ブリヂストン(5108)
トヨタ自動車よりも営業利益率が高く、業績はディフェンシブと考えています。詳しくは、以下のレポートをご参照ください。
2017年2月22日:米景気敏感株を見直し ブリヂストンはトヨタより有望?
小松製作所(6301)
中国関連株として売られてきましたが、足元は業績好調な割安株として、見直し買いが入っています。以下レポートをご参照ください。
2018年7月4日:中国景気は息切れ?上海株の下落は何を意味するか?
三菱商事(8058)
資源事業だけでなく、非資源事業を拡大させることで、純利益で最高益を更新しつつあります。詳しくは、以下のレポートをご参照ください。
2017年12月7日:大手総合商社株の投資判断
三菱UFJ FG(8306)
日銀の低金利政策を受けて、国内商業銀行業務の収益は低下しつつあります。
ただし、三菱UFJは利ざやの厚い海外で収益を伸ばしていること、信託、証券、リースなどを含むユニバーサルバンク経営をしていることから、中長期的に高収益を維持できると予想しています。詳しくは、以下のレポートをご参照ください。
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