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株主優待と値上がり益と配当、欲張り投資に注意!正しい付き合い方とは?

トウシル / 2018年8月24日 8時15分

株主優待と値上がり益と配当、欲張り投資に注意!正しい付き合い方とは?

株主優待と値上がり益と配当、欲張り投資に注意!正しい付き合い方とは?

 個人投資家にとって株式投資の楽しみの1つが「株主優待」。でも、気にしすぎると逆効果になってしまうことも。正しい付き合い方を考えてみましょう。

 

株主優待とはなにか?

 個人投資家を対象にしたアンケートの集計結果を見ると、多くの方が「株主優待を楽しみにしている」と答えています。それだけ個人投資家にとっては魅力的な制度といえます。

 株主優待とは、会社が株主に対してプレゼントを送ったり、商品の割引をすることです。会社は、長期間株式を保有し続けてくれる「安定株主」を求めています。そこで、株主に対して魅力的なプレゼントを送り、特に個人投資家の人たちの長期保有を促しているのです。

 株主優待の品としては、自社商品や、自社サービスの優待・割引などが多いです。最近はクオカードなど、金銭に近いものを株主優待品としている会社も増えています。
 株主でいる限り会社からもらうことができるプレゼントが株主優待、と理解しておけばよいでしょう。

 

筆者は株主優待をどのように考えているのか?

 もちろん、筆者も株主優待品をもらうことはあります。ただ、それは積極的にということではありません。

 筆者が株式投資で求めているのは株価の値上がりです。投資の判断基準としては会社の業績や成長性であり、株主優待を行っている会社かどうか、その内容はどうか、という点について関心はありません。

 ですから、株価の値上がりを期待して保有している銘柄がたまたま株主優待を行っていれば、優待品を受け取る、というだけです。

 株主優待の有無や内容に関係なく投資していますので、受け取った株主優待が全く不必要だったり、あまり嬉しくないことも正直あります。

 

オマケに振り回されない

 もちろん、株主優待を否定しているのではなく、筆者の投資スタイルとして、値上がり益を重視しているため株主優待の重要性が低い、というだけです。

 では、もし株主優待を重視した投資スタイルを取るとしたなら、具体的にどのように考えていけばよいでしょうか。

 株主優待品をもらっても、保有している株の株価が大きく値下がりしてトータルで損をしてしまうのでは元も子もありません。

 たとえ株主優待が目的だとしても、株式投資をするからにはしっかりとリターンを目指すべきです。株主優待はインカムゲインの1つとして、配当金と同じように考えればよいでしょう。株式投資で得られる利益は、値上がり益(キャピタルゲイン)と配当金(インカムゲイン)です。このどちらを重視するかにより、銘柄選びも投資戦略も異なります。

 筆者はキャピタルゲインを重視しますので、配当金や株主優待は、いわば「オマケ」です。一方、インカムゲインを重視するならば、やはり利回りの率で考えるべきでしょう。

 つまり、株主優待を金銭的価値に置き換えて、配当利回りに上乗せするのです。飲食店の食事券などは、金銭的価値に置き換えやすいと思います。

 この「配当利回り+株主優待利回り」の合計が高い銘柄を、株価の調整局面などできるだけ利回りが高い(=株価が安い)ときに買うというのが基本的戦略になります。

 

利回りの計算方法

 例えば株価1,000円、配当金が20円で、100株以上保有している株主に、株主優待品として食事券4,000円分を半年ごとにプレゼント、という会社で考えてみましょう。

 配当利回りは20円÷1,000円×100=2%。株主優待を金銭的価値に置き換えると、1年間で4,000円×2=8,000円分の食事券をもらえます。
 これが、100株以上保有している株主にもらえるのですから、受け取れるものは、配当金として20円×100株=2,000円。必要投資金額は、1,000円×100株=100,000円です。

 これに加えて、株主優待品を受け取ることができます。しかし、注意ポイントもあります。100株ではなく200株投資しても株主優待品は変わりません

 ということは、「配当利回り+株主優待利回り」の利回りは下がります。なぜなら、一般に株主優待は配当金と異なり、保有株数が増えても比例的に増加するものではないからです。

 事前にしっかりとシミュレーションして、できるだけ利益を多く受け取れるような株数で投資するようにしましょう。

「株主優待がもらえるから…」で判断をゆがめてはならない

 筆者が考える、最もやってはいけない投資手法は、キャピタルゲインを重視して投資したにもかかわらず、株価が下落したときに「株主優待をもらえるから売らずに持ち続けよう」としてしまうことです。つまり、投資手法のすり替えです。

 筆者は、同じ株式投資でも、キャピタルゲインを重視する投資手法と、インカムゲインを重視する投資手法とは全くの別物としてとらえています。キャピタルゲインを重視して投資する場合は、値上がりを狙う一方で、意に反して株価が値下がりしたり、業績が悪化するなどした場合は保有株を売却する必要があります。

 一方、インカムゲインを重視する投資は、利回りが高くなるように銘柄や買い時を選び、株価が値下がりしたとしても原則として長期間保有を続けます。

 キャピタルゲインを重視した投資手法では、買った株の株価が下落した場合、それは「見込み違い」だったことを意味します。速やかにその株を売却しなければ、さらなる下落で多額の含み損を抱えてしまいます。

 それなのに、売却せずに「株主優待があるから持ち続けよう」というのは、誤りを認めずに現実から逃げているのと同じです。

 仮に百歩譲って保有し続けるとしても、やはり「利回り」でみて保有し続けることに合理性があるかどうかで判断すべきです。

 利回りが2~3%程度しかないのでは、インカムゲイン重視の投資としては利回りが低すぎますので、保有を続けるべきではありません。最低でも5%、できれば8%以上の利回りが欲しいところです。

 しかし現実には、そのような条件を満たした銘柄は少ないです。やはり投資する段階でキャピタルゲイン狙いかインカムゲイン狙いかをあらかじめ決めておき、それぞれに合った投資スタイルを貫くべきです。つまりキャピタルゲイン狙いなら値下がりしたら売却、インカムゲイン狙いなら長期保有ということです。

▼特集「最新!株主優待NEWS」の記事をもっと読む

(足立 武志)

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