「弱気の中の強気」で舞う日経平均はさらなる高みを目指す?
トウシル / 2018年8月27日 11時24分
「弱気の中の強気」で舞う日経平均はさらなる高みを目指す?
先週末8月24日(金)の日経平均は2万2,601円で取引を終えました。節目の2万2,500円を回復してきたほか、前週末の終値(2万2,270円)からは331円ほど上昇し、週足ベースでも4週ぶりの反発となっています。
前回のレポートでは、ローソク足の並びが陰線と陽線が繰り返し表れ、相場に対する見方が強弱で分かれている状況を意味する「鯨幕(くじらまく)相場」になっていることについて触れました。その後の日経平均が上昇したところを見ると、相場のムードはやや強気に傾き始めたようにも感じられますが、実際のところはどうなのでしょうか?
まずはいつもの通り、下の図1で足元の状況を確認します。
■(図1)日経平均(日足)の動き(2018年8月24日取引終了時点)
あらためて先週の日経平均の値動きをたどると、週初は下落して始まったものの、その後は上昇が続く展開となりました。
先週末終値(2万2,601円)が節目の2万2,500円台を回復したことは冒頭でも述べた通りですが、さらに値を伸ばした2万2,600円台は、8月10日に日米閣僚級のFFR(新貿易協議)やトルコ情勢をきっかけに株価が下落する前の水準です。さらに、各移動平均線(25日、75日、200日)もすべて上抜けてきました。
また、下の図2はおなじみの日経平均の平均足とMACDですが、平均足が陽転した後にMACDがクロスしていて、短期的なトレンドは上向きになっています。さらに、今週MACDが0円ラインを超えることができれば上値トライの期待度は高まりそうです。
■(図2)日経平均(日足)の平均足とMACD(2018年8月24日取引終了時点)
その一方で気になる点もいくつかあります。そのひとつは薄商いです。東証1部の売買代金の動向をウォッチしていくと、先週を含め、6日連続で活況の目安とされる2兆円に届いていません。
売買代金2兆円割れがここまで続いたのは2017年8月21日から29日(7日連続)以来ですので約1年ぶりになります。
もっとも、当時はこの後しばらく下落したのち、9月上旬からの今年1月にかけて続いた本格上昇トレンドへとつながったため、さほど心配しなくても良いのかもしれませんが、売買に厚みがない中での値動きは不安定になりがちなため、「このまますんなりと上昇相場に入る前に一波乱あるかもしれない」ぐらいは留意しておく必要はありそうです。
そしてもうひとつは、中長期のトレンドです。下の図3は週足日経平均の線形回帰トレンドです。
■(図3)日経平均(週足)の線形回帰トレンド(2016年6月24日を起点)
図3では、トレンドの中心線を挟んで±1σ(シグマ)と±2σが描かれていますが、それぞれ、「強気」、「やや強気」、「やや弱気」、「弱気」のゾーンとして捉えることができます。
先週末時点の日経平均は上昇したとはいえ、まだ弱気ゾーンのところに位置しているため、先週の株価上昇は「弱気の中の強気」だったと言えます。このまま、やや弱気ゾーンへ踏み込むことができるかが今週の焦点になりますが、過熱感がない分、まだ上値の余地が残されていると見ることができます。
ただその一方で、TOPIXでも同じように週足の線形トレンドを見てみますと、こちらは弱気ゾーンを下抜けている状況が2週にわたって続いていて、弱気の中で踏みとどまっている印象になっています(下の図4)。
■(図4)TOPIX(週足)の線形回帰トレンド(2016年6月を起点)
先週の株価上昇は、米中の事務次官級の会合や米国の経済イベント(ジャクソンホール会合)でのパウエル米FRB議長の講演などが控える中、売り込むよりもある程度の株価の戻りを試した方が利益を狙いやすいと判断されたことによるものと考えることができます。となると、足元の相場は下方向への粘り腰を見せながらも、中長期的な上昇トレンド復活への道筋はまだ見えていない状況なのかもしれません。
そのため、基本的な投資スタンスは今週も上方向への意識継続がメインになりますが、風向きが変わった際には早めに手仕舞いする準備をしておくことが重要になると言えそうです。
(土信田 雅之)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
強すぎる米国株に付いていけない日本株。エヌビディア決算は期待上回れず
トウシル / 2024年11月25日 12時10分
-
株式市場の「強気の終焉」に備える 「買い遅れる恐れ」と「強気の罠」のはざまで(土信田雅之)
トウシル / 2024年11月22日 8時0分
-
一進一退ムードの中、株価下落時の見極めがカギ~注目は「あの米国企業」の決算~
トウシル / 2024年11月18日 12時10分
-
米国「トランプ相場」の余韻に日本と中国が絡む展開~一喜一憂しやすい地合いで上値トライできるか?~
トウシル / 2024年11月11日 12時10分
-
[今週の株式市場]イベント満載の今週で相場の方向性が決まる?~株価の「波」で考える今後のシナリオ~
トウシル / 2024年11月5日 12時20分
ランキング
-
1円上昇、一時150円45銭 1カ月ぶり円高ドル安水準
共同通信 / 2024年11月28日 7時45分
-
2大失速の日産「ゴーンの呪い」いまだ抜け出せず? V字回復に向けた急務とは
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月28日 5時45分
-
3お父さん、ちょっとアフリカに行ってくる…〈60歳定年で退職金2,500万円〉〈65歳で年金月19万円〉、堅実に生きてきた55歳父が突然の早期退職。仰天行動に家族が絶句「うっ、うそでしょ⁉」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月28日 5時15分
-
4畑に立ち入り、路上駐車…… 迷惑観光客のせいで「駐車場利用税」! 北海道美瑛町が立ち向かうオーバーツーリズム問題
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月28日 6時10分
-
5生クリーム9割の「スイーツ缶」、なぜ人気? がむしゃらに売らず30万缶突破の秘密
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月28日 6時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください