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こう着相場から脱却?日経平均の新規採用銘柄は?

トウシル / 2018年8月31日 7時32分

こう着相場から脱却?日経平均の新規採用銘柄は?

こう着相場から脱却?日経平均の新規採用銘柄は?

日経平均はこう着相場から抜け出たのか

 今週は、米国市場でS&P500指数やナスダック総合指数が最高値を連日で更新しました(29日)。

 米国とメキシコがNAFTA(北米自由貿易協定)見直しに基本合意したことで貿易摩擦を巡る不安がやや後退。8月の消費者信頼感指数(28日発表)が2000年10月以来の高水準に上昇し、米経済の要(かなめ)である個人消費に楽観的な見方が広まったことも好材料となりました。

 こうした中、貿易摩擦を不安材料に上値が重かった日経平均も三角保ち合いのこう着相場から上抜ける兆しを見せています(図表1)。米国市場の堅調に中国市場の底入れ感が加わり、過度の悲観は後退しつつあります。日経平均株価は小幅な上昇をはさみ、8日続伸となりました(30日)。

 また、日経平均ベースの予想EPS(1株当たり利益)は1,728円と史上最高を更新(24日)。予想PER(株価収益率)が約13.2倍に留まっている割安感を前提に、外部環境と業績見通しの改善は株価回復の追い風と思われます。とは言うものの、日経平均が節目とされる2万3,000円に近付くと、「戻り売り」と呼ばれる売りに押される場面も見られます。株価が一段と上昇するには、貿易摩擦の好転、中国市場や新興国市場の安定、ドル/円の上昇(円安)、売買代金の増勢などの諸条件が必要と考えられます。

図表1:日経平均の回復基調を支える業績見通し回復

注:予想EPS=日経平均ベースの予想EPS(1株当り利益)
出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2018年8月30日)

 

日経平均が年末にかけて目指す水準は

 東京市場は来週、9月以降の相場が視野に入りそうです。貿易戦争の行方に不安はぬぐえませんが、「メイシナリオ」として(1)米国の景気と株価が堅調を維持する、(2)国内でも業績見通しが堅調を維持する、(3)中国市場の軟調が一巡するなどの条件が整うなら、日経平均の上値余地は年末にかけて拡大していくと考えています。

 前述のとおり、日経平均ベースの予想EPSは約1,728円で、昨年同時期の予想EPS(2017年8月末時点の予想EPS=1,416円)から約2割増額されています。本年度の業績も「最高益」が見込まれています。アベノミクス相場(2013年以降)で日経平均の予想PERは概して13倍から16倍の範囲で推移してきました。

 図表2は、日経平均と「想定PER別水準レンジ(予想EPS×想定PER)」を示したものです。現在の予想PERは約13.2倍に留まっており、想定PER別レンジの下限に近いことが分かります。業績見通しの方向感を勘案すれば「割安感」が見てとれます。

図表2:日経平均株価の想定レンジを試算してみる

注:「想定PER別株価レンジ」=予想EPS×想定PER(13倍、14倍、15倍、16倍)
出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2018年8月29日)

 日経平均が本年1月23日に年初来高値(2万4,124円/終値)をつけた時点の予想PER(株価収益率)は約15.8倍でした。株価の上値を抑えてきた外部環境の不安が和らげば、見直し買いが進むことで予想PERが14~15倍に回復していくことが期待できます。年末に向けた日経平均の上値余地として2万5,000円(予想EPS:1,728円×想定PER:14.5倍)程度が視野に入ってくることは不思議ではありません。

 リスクシナリオとしては「米中貿易戦争の激化」が挙げられます。中国や新興国の市場が一段の波乱となれば、内外投資家のリスク回避を受け日経平均が予想PERで12倍台(2万1,000円前後)まで下値を試す波乱相場が警戒されます。

 

日経平均の新規採用銘柄と噂されている銘柄

 日経平均は、東証第1部上場銘柄のうち取引が活発で流動性が高い225銘柄で構成されています。構成銘柄の基準は「東京市場を代表する225銘柄」とされ、市場流動性、産業構造の変化、セクター(業種)バランスなどが重視されています。銘柄の見直し(除外銘柄と新規採用銘柄の入れ替え)は「原則として毎年10月の第1営業日」で、実際の銘柄発表は9月上旬とされています。

 この「日経平均の新規採用銘柄」を巡っては、毎年のように予想が浮上します。これまでに「今年、新規採用される」との予想や観測が出た10銘柄を図表3に一覧化しました(時価総額の降順)。これらは、証券会社の予想や市場の噂に上った銘柄群で、新規採用が決定されたわけではなく、下記銘柄群から選ばれるとは限りません。

 なお、値がさ株(例:任天堂)については、日経平均の株価平均としての特徴上、「指数変動に与える影響が大き過ぎ採用されにくい」との見方もあります。知名度、流動性、時価総額が大きいからと言って「最有力」とは言えません。例年の経緯にならうと、新規採用銘柄数は2~3に留まりそうです。

 いずれにせよ、日経平均に新規採用が決定された銘柄には、発表直後からインデックスファンド(公募投信やETF[上場投資信託]など指数連動型ファンド)からの買い需要拡大が見込まれ、市場の注目度が高まる可能性があります。

図表3:「日経平均に新規採用」が噂される銘柄は?

  コード 銘柄 時価総額 株価 予想PER 配当実績 配当利回り
1 7974 任天堂 56,016 39,230 23.1 590 1.50
2 6753 シャープ 14,098 2,677 21.6 10 0.37
3 3092 スタートトゥデイ 11,967 3,735 44.1 29 0.78
4 4204 積水化学工業 9,486 1,939 13.3 40 2.06
5 4751 サイバーエージェント 7,725 6,090 107.1 32 0.53
6 5938 LIXILグループ 6,865 2,172 13.3 65 2.99
7 4182 三菱瓦斯化学 5,476 2,369 7.2 59 2.49
8 2371 カカクコム 4,324 2,023 25.2 32 1.58
9 4631 DIC 3,716 3,920 8.9 120 3.06
10 5105 東洋ゴム工業 2,350 1,879 8.7 45 2.39
単位:時価総額は億円、株価、配当実績は円、予想PERは倍、配当利回りは%
注:上記は日経平均に採用が決定された銘柄一覧ではない。上記一覧から採用されるとは限らない 出所:各種情報やBloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2018年8月29日)

 

 

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(香川 睦)

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