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自分は違うと言い切れる?「なんとなく投資」がダメな6つの理由

トウシル / 2017年8月2日 22時0分

自分は違うと言い切れる?「なんとなく投資」がダメな6つの理由

自分は違うと言い切れる?「なんとなく投資」がダメな6つの理由

楽天証券サイト内で連載されてきた本記事も、新サイト「トウシル」オープンに伴い移動することになりました。今までご覧になられてきた読者の皆様も、新しくアクセスされた読者の皆様もよろしくお願いします。

本連載は「なんとなく投資」のステージから個人投資家がステップアップするヒントを紹介しています。今回は心機一転ということで、「そもそもなんとなく投資をすると何がまずいのか」という話を取り上げてみます。

 

私たちはなんとなく投資をし、なんとなく損をしがちである

私たちはたいていの場合、「なんとなく投資」の要素を抱え込んでいます。投資金額の入金に始まり、銘柄選択から売買タイミングに至るまで、きちんと理詰めで説明できるとは限りません。現実問題としてすべて理詰めにする必要もないのですが、なんとなく投資をスタートした結果が、よくわからないままに損失を抱え、なんとなく投資をやめてしまう(あるいは含み損から目を背けてしまう)のであれば、これはいささか問題です。

なんとなく投資を行っている人は、いくつかの典型的過ちを犯しています。その数点を改善できるだけでも、実はあなたの投資が抱えるモヤモヤな問題点が解決することになるはずです。そこで、なんとなく投資に陥りがちな6つの過ちを考えてみました。自分に該当するところがないか、読んでみてください。

なんとなく投資6つの過ち

1.投資目標が設定されていない

「何に使うためのお金を増やすのか」「どれくらい欲しいのか」という投資のゴールがイメージされていない人はなんとなく投資をしている状況です。少なくとも「老後に使うためのお金である」と目的を整理できれば、「短期的な値動きにあせらないこと」「65歳までみだりに下ろさないこと」という投資ルールが設定できます。また、一定の目標金額もイメージしておくべきです。それが3,000万円なのか1億円なのかゴールのイメージをすることは現実的な運用方針設定に欠かせないからです。

 

2.自分が取り得るリスクを考慮していない

自分がどれくらいリスクを取れる立場にあるのか、検討をしていない人が多いものです。公的年金や企業年金レベルの分散投資を徹底してもリーマンショック時にはマイナス20%の下落を覚悟する必要があります(平均的にはもちろんプラスになりますが)。自分の投資金額が同等のマイナスになってもあなたは投資を続けられるでしょうか。

自分が実際に取っているリスク状況が、自分がとってもいいと考えられるリスク状況であるか考えることはきちんと投資を考えるステップです。

自分の年齢(定年までのタイムリミットはどれくらいか)、投資経験や知識の状況(理解せず投資するほど危ないものはない)、自分自身の投資に対する好み(ストレスを感じつつ投資商品を高額保有する必要はない)などを整理しておくと、自ずと投資は「なんとなく」から卒業し始めます。

 

3.非現実的運用利回りを設定している

「とりあえず増えればいい」と期待リターンについて考慮していない人がいます。自分の財産における投資資金の位置づけが考慮されていないからです。また「毎月2倍にするペースで増やす」とか、「年率50%はいきたいですね」などと非現実的な期待リターンを設定している人もいます。これは無理なリスクをとることになり、結果として大きな損失の可能性を抱え込むことになります。

もちろん株式投資が年率10%を超える結果になることはありますが、それは一時的なものでむしろ大きく下がる時期もあります。平均的な目標値として設定するには高すぎる数値です。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)、つまり国の年金運用における国内株式の期待リターンが4.7%(市場基準ケース。賃金上昇率1.9%)です。あなたの投資計画が過度に運用収益に依存しているようなら見直しをしたほうがいいでしょう。

 

4.投資金額(投資割合)を考えていない

自分の財産のうち、どれくらいを投資に回すか意識しているでしょうか。なんとなく100万円を証券口座に入れてその範囲だけで売り買いするのは「財産全体の運用」を考えていない証拠です。自分の財産すべてを投資対象と考え、「安全資産として定期預金等を○割以上保有し、リスク資産を最大で○割保有」するというおおまかなポートフォリオを考えておくだけでも、投資金額の適正な設定につながります。

手元の預貯金が減少する時期には投資資金も減らすという判断ができますし、資産全体が増えている時期には適宜投資資金も増やすというルールが設定できます。また、投資が好調であった場合にも投資割合を軸におき部分的に利益確定を行うような決断にもなり、なんとなく相場に踊らされながら売り買いするような投資から卒業することができるでしょう。

 

5.分散投資をしていない

自分の選んだ銘柄が平均より高い利回りを獲得することを前提に集中投資している人が多いのもなんとなく投資家の特徴です。これは投資心理的にはオーバーコンフィデンス(自信過剰)を表しています。そしてこの状態は、客観的にはひとりだけ大きく勝つ可能性と同時に、独りだけ大きく負けるリスクも抱え込んでいます。市場を予見する力の不十分さを冷静に忖度すれば、一人勝ちだけでなく一人負けについても対応を考えておくべきです。

具体的には投資対象を広げ分散投資を心がけるべきです。国内市場でも個別銘柄よりはインデックスに対し投資したり、国内市場だけでなく海外の株式市場や債券市場にも投資資金を部分的に振り向けるほうが、どんな市況にも「負けにくい」ポートフォリオになります。

 

6.定期拠出をしていない

最初に100万円くらい入金すればあとは売り買いだけでお金が増えている、と考えるのがなんとなく投資に向かい始めた初心者の典型です。ただ、残念ながらそれは非現実的です。ほとんどの個人投資家にとって、重視すべきは運用益ではありません。資産形成においては定期的な積立元本の継続が、大きな意味を持ちます。毎月の家計から定額の拠出を、またボーナスごとに追加の拠出を行い、投資元本の増強を図ることは売買益だけに依存せず、投資を資産形成の一部とするために欠かせないステップです。

 

株価よりも「自分自身」を見たほうがいい

6つほど「なんとなく投資」のよくないところをまとめてみました。読んでみて気がついた人もいるかもしれませんが、実はいずれもマーケットチェックや売買判断について触れていません。

投資においてはむしろ、株価より「自分自身」に判断を決定するべき理由があったりします。どんな推奨銘柄ニュースも、どんな市況解説も、そもそもその投資を行うべきかの判断材料の「2歩目」でしかありません。投資の「1歩目」は自分自身の中にあるのです。そこをあいまいなままにしていきなりオススメ株を買ったり、市況予測の後追いをするから、あなたの投資は満足度も上がらない「なんとなく投資」になってしまうのです。

ここで述べた心得は、それほど難しいことを求めているわけではありません。数式を厳密に考えるものでもなく、あっけないほど簡単なことばかりです。しかしその半分でもクリアできると、あなたの投資スタンスはしっかりしてきます。変動するマーケットに相対する心持ちもまったく落ち着いてくるはずです。

今後も同様のコラムを提供していきます。ぜひ「なんとなく投資」の状態を脱した個人投資家を目指してみてください。

(山崎 俊輔)

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