優待タダ取りはできない!?「つなぎ売り」なら低コスト・低リスクで優待がもらえる!
トウシル / 2018年9月11日 9時0分
優待タダ取りはできない!?「つなぎ売り」なら低コスト・低リスクで優待がもらえる!
今日は、読者から質問の多い「優待タダ取り」について解説します。ネットで「優待タダ取り」と紹介されることが多い手法ですが、正確に言うと「株主優待を低コスト・低リスクで得る方法」です。取引手数料・貸株料などのコストがかかります。
今日、その概要を説明し、明日「9月末基準の優待銘柄」で具体的にどうやればいいのかを解説します。
株主優待制度とは
日本には、世界でも珍しい「株主優待」という制度があります。上場企業が株主に感謝して贈り物をする制度です。上場企業が株主に、お中元やお歳暮を贈るようなものです。
株主への利益還元は、通常「配当金」の支払いで行います。「株主優待品」は、配当金とは別に、株主に贈られるものです。魅力的な制度なので、積極的に活用してはいかがでしょうか?
リスクを負いたくないなら「つなぎ売り」という手がある!
ここでは、「つなぎ売り」という手法を利用して、株価下落リスクを回避しながら、株主優待を獲得する方法をご紹介します。
株主優待に魅力を感じて株式投資を始める方が多いと聞いています。ただし株式投資である以上、投資した後株価が下落することもあります。
優待は欲しいが株価変動のリスクは負いたくない時、活用できるのが「つなぎ売り」という手法です。「つなぎ売り」は信用取引の一種で、信用口座を開設しないとできません。
「つなぎ売り」とは
株を借りてきて売ることを「信用売り」と言います。株を持っているが持っている株を売らず、別途借りてきた株を売ることを「つなぎ売り」と言います。これは株を保有したまま、株が値下がりするリスクをヘッジできるという効果があります。この状態で権利確定日を迎えると、優待をもらう権利が確定します。権利が確定したら、保有している株を借りてきた株の返済に充てれば、取引が完結します。保有株を返済に充てることを「現渡し(げんわたし)」と言います。
「から売り」とは
保有している株を借りてきて売るのが「つなぎ売り」でした。それに対し、保有していない株を借りてきて売ることを「から売り」といいます。から売りした株が値下がりした後に買い戻せば、利益が得られます。たとえば、1,000円でから売りした株が900円に値下がりしてから買い戻せば、1株につき、100円の利益が得られます。
ただし、から売りした株が値上がりしてから買い戻すと、損失が発生します。
「つなぎ売り」のやり方
では「つなぎ売り」のやり方を具体的にご説明します。現物買いと信用売りを同じ株数ずつ行い、優待の権利を得たら、現渡し(げんわたし)で決済する方法です。
優待取り「つなぎ売り」のイメージ図
まず、魅力的な優待を提供している銘柄について、株式現物の「買い」と信用取引の「売り」を、同じ株数ずつ同じ価格で行います。買ってから売っても、売ってから買っても、どちらでも問題ありません。同じ価格で行うのが理想ですが、同じ価格で行えないこともあります。
「買い」と「信用売り」を同じ株数(たとえば100株)ずつ同じ価格(たとえば1,000円)で行えば、株価が上がっても下がっても損も得もしません。
株価が1,000円から900円まで下落すると、買った株に10,000円(値下がり100円×100株)の含み損が発生しますが、同時に、信用で売った100株には10,000円の含み益が発生します。合わせると損も得もしません(売買手数料は考慮しないベース)。
逆に、株価が1,000円から1,100円まで上昇すると、買った株に10,000円の含み益が発生しますが、同時に信用で売った株に10,000円の含み損が発生しますので、合わせると損も得もしません。
「優待は欲しいが株価下落リスクは負いたくない」という時に有効な方法です。優待の権利を得たら、速やかに「現渡し」で決済してください。それで完結です。
注意点
最初にお伝えしたように、「優待タダ取り」はできません。売買手数料や貸株料などのコストがかかります。優待取りにかかるコストが、優待で得られるメリットより大きくならないように、注意する必要があります。
具体的なつなぎ売りのやり方、コストの計算方法については、明日解説いたします。
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(窪田 真之)
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