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新興株市場調整の伏兵

トウシル / 2017年8月7日 16時0分

新興株市場調整の伏兵

新興株市場調整の伏兵

日経平均(日足)の動き(2017年8月4日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

まずは、上の図1で足元の状況を確認します。

「2万円を挟んだもみ合いが続いています…」と書くのが一体何週目なのかがわからなくなるぐらい、日経平均は方向性に欠く値動きが継続していますが、先週も同様の展開となりました。

先週のローソク足を見てみると、8月2日(水)を除き、5日移動平均線や25日移動平均線が上値のメドになっているほか、これら2本の移動平均線自体も下向きになっています。もみ合いながらも状況は悪化しており、日経平均は「2万円水準を維持しているから相場自体は堅調」とは言いづらくなってきました。

その一方で、TOPIX(東証株価指数)ほうは「25日移動平均線をサポートに上値とトライ」という動きが先週も継続し、8月2日(水)には年初来高値を更新しています。好業績の個別銘柄を物色する動きも活発ですので、日経平均が示すほど相場のムードは悪くないと言えます(下の図2)。

TOPIX(日足)の動き(2017年8月4日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

 

先週は、週末に米雇用統計という注目イベントが控えていたことも、より相場を動きづらくさせた一面がありますが、その結果を受けた米国市場では好感されました。NYダウは8日連続で史上最高値を更新し、為替市場でも円安に振れています。さらに、シカゴ市場での日経平均先物が2万円台を回復したこともあり、今週は上昇してのスタートが予想されます。

これに、国内企業の決算材料を織り込んでいくことになりますが、今週は日経平均への寄与度が比較的大きいソフトバンクGの決算が7日(月)に予定されています。週初の良好なムードによって2万円台の回復と維持することができるかが今週の焦点になります。注意点は値動きが思っていたよりも大きくなる可能性で、今週は国内外の投資家の夏休みモードで薄商いが想定される中、週末の10日(木)にはオプション取引・mini先物取引のSQ日が控えています。

また、今週はマザーズ指数が踏みとどまれるかも注目のポイントになります。日経平均やTOPIXの下値が堅い一方で、先週の東証マザーズ指数は調整局面を迎えていました。


東証マザーズ指数(日足)の動き(2017年8月4日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

東証マザーズ指数は25日移動平均線を下抜けて以降に下げ足を速めました。タイミング的には変則的な「ダブルトップ」のネックラインを下抜けたあたりです。そこから一気に3カ月間の値動きの中心線である75日移動平均線水準で下げ、何とか週末まで踏みとどまった動きになっています。5日移動平均線が75日移動平均線を下抜ける「デッドライン」を実現するかどうかもポイントです。

足元の「主力株指数が堅調な一方で、新興株指数が軟調」というのは米国でも見られる光景です。先ほども触れましたが、NYダウが連日で最高値を更新する一方、NASDAQが軟調になっています。念のため、NYダウとNASDAQの動きについても確認してみます。

まずはNYダウです。下の図4はローソク足と移動平均線乖離率(25日)です。

NYダウと移動平均線乖離率(25日)(2017年8月4日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEED for Macを元に筆者作成)   

見た目の通り、NYダウは上昇トレンド発生中です。ローソク足の並びも陽線が目立っています。気になるのは、ローソク足の実体が短いものが増えてきていることと、25日移動平均線乖離率に注目すると、過去は2%ぐらいになると上昇が一服する傾向があることです。

米国では日本よりも一足先に決算シーズンがピークを超え、トランプ政権の経済政策への期待も盛り上がらず、金融政策についても次回9月19日~20日のFOMC(連邦公開市場委員会)まで、まだ日数があります。株価が高値圏で推移する中で相場材料がとぼしくなってくるため、NYダウの上昇一服や調整入りを警戒しておく必要がありそうです。

次にNASDAQです。こちらは平均足とMACDの組み合わせで確認します(下の図5)。


NASDAQの平均足とMACD(2017年8月4日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEED for Macを元に筆者作成)


NASDAQは平均足の陰転とMACDのクロスが出現し、下落トレンド入りが確認できます。ただ、平均足のヒゲに注目すると、平均足が陰転したときのヒゲを以降の平均足が下抜けしきれていないため、思ったよりも早く調整が終了する可能性が残されています。もっとも、下抜けしてしまった際には下落トレンドが継続してしまうため注意が必要です。

(土信田 雅之)

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