日本株は「ガマンの買い」が試される。雲行きの怪しさを吹き飛ばせるか?
トウシル / 2018年10月9日 11時50分
日本株は「ガマンの買い」が試される。雲行きの怪しさを吹き飛ばせるか?
10月相場入りとなった先週の日経平均ですが、週末5日(金)の日経平均は2万3,783円で取引を終えました。前週末終値(2万4,120円)からは337円安、週足ベースでは4週ぶりの下落に転じました。
前回、「売りの意識が強まりつつある」ことや、「ここから先の上値追いは、急ピッチな上昇による警戒感をこなしながらトライしていくことになりそう」と指摘しましたが、終わってみれば思ったよりも下げてしまった印象です。
先週の株価下落によって、ここが「絶好の押し目買い」のチャンスなのか、それとも「ご都合主義のリスクオン」の修正なのかの見極めが今週の焦点になりそうですが、その注目点はどこにあるのでしょうか?
いつもの通り、下の図1で足元の状況から見て行きます。
■(図1)日経平均(日足)の動き(2018年9月28日取引終了時点)
まずは先週の値動きをチェックです。週初の日経平均は、これまでの勢いに乗って上値追いのムードが先行していました。1日(月)に年初来高値を更新し、2日(火)の取引時間中には2万4,448円の高値をつけて、「2万5,000円台も視野に入った」という声も聞かれるような場面もありました。
ただし、週末にかけては売りに押される展開へと転じました。また、ローソク足は、陽線の後に陰線が3本続き、週末はかろうじて陽線ながらほぼ「十字線」という並びになっていて、ムードの変化が感じ取れます。
「十字線」といえば、前回、週末のローソク足の形に注目し、2週続けて迷いを示す「コマ足」になっている点に注目しましたが、先週末はコマ足よりも迷いが強いとされる「十字線」が出現したことで、3週連続で迷いが感じられる格好となっています。
しかし、同じ迷いを示す線でも、前の2週は上昇基調で出現していて、どちらかというと「まだ上昇できるだろうか?」というポジティブ寄りの迷いだったのですが、先週末の迷いは下落基調で出現しており、「まだ下げるかもしれない」というネガティブ寄りであると言えそうです。
もちろん、急ピッチな株価上昇や、3連休を控えていることで利益確定の売りが出やすかったタイミングだったこともあり、先週の株価下落は当然の一服と捉えることができますが、早い段階で株価が反発できないと、今後の押し目買いにやや慎重にならざるを得なくなります。
実際に、他のテクニカル指標を見てみると、平均足の陰転とMACDクロスの組み合わせや、エンベロープの+3%割れなどのように、トレンド転換や、勢いの鈍化を示すものも出てきています(下の図2と図3)。
(図2)日経平均(日足)の平均足とMACD(2018年10月5日取引終了時点)
■(図3)日経平均(日足)のエンベロープ(2018年10月5日取引終了時点)
とりわけ、エンベロープについてはここ何回かにわたってチェックしていましたが、そこで注目していたのは、日経平均が昨年の9月11月に見せた上昇局面と同じように、+3%と+6%の範囲内を往来しながら上昇できるかという点でした。
結果的に、先週末5日(金)の「十字線」で+3%を下回ってしまいましたが、昨年も下回る場面がありながらも早期に回復してその後の一段高につなげています。そのため、引き続き+3%水準について行けるかどうかが注目されます。
このように、短期のテクニカル指標はあまり良くないものが増えてきています。「相場は企業業績などを背景にして、株価は足元の小休止の後に再び上昇していく」というシナリオ自体はまだ崩れていないものの、この小休止の期間が長引いたり、深押しする展開への警戒度を強める必要が出てきたと思われ、今週は、こうした警戒を吹き飛ばす「ガマンの買い」が入るかが試される週となりそうです。今週末にオプション取引・mini先物取引のSQがあるため、需給的に株価は動きやすい地合いにあると言えます。
そして、最後に中長期のチャートでも確認してみます。
■(図4)日経平均(週足)の動き(2018年10月5日取引終了時点)
週足のチャートを見ると、日経平均の上昇基調は維持されています。ただし、ひとつ気になる事があります。それは直近2週分のローソク足の組み合わせです。前回は日足チャートで紹介した「包み足」になっていることが分かります。
「包み足」はトレンド転換のサインとして意識されることが多い組み合わせで、とりわけ天井圏で表れると要注意とされる陰線が陽線を包みこむ組み合わせになっています。
さらに、日経平均が2万4,000円台に乗せるのは今年の1月以来となりますが、2万3,000円台を一気に駆け上がる大きな陽線が出現した後に2万4,000円台を達成したことや、米国の長期金利上昇が警戒されて売りに押され始めたなどの共通点があるほか、足元では鳴りを潜めているものの、米中摩擦の影響などのリスクもくすぶっています。
こちらも今すぐ弱気に転じる必要はなく、あまり楽観的になり過ぎないようにする「戒め」として意識しておいた方が良さそうです。
(土信田 雅之)
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