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イラン産原油輸出減少に対する警戒感が後退気味

トウシル / 2018年10月9日 17時24分

イラン産原油輸出減少に対する警戒感が後退気味

イラン産原油輸出減少に対する警戒感が後退気味

10月1日~5日 原油マーケットレビュー

 前週のNY原油相場は往って来い。イラン産原油の輸出減少への懸念がくすぶり続けるなか、貿易摩擦を巡る不透明感が薄れたことで買いが先行した。WTI期近11月限は一時76.90ドルまで上昇し、期近ベースとしてはほぼ4年ぶりの高値を付けた。しかし、主要産油国の増産計画が伝わると地合いは一転、上げ幅を縮小する動きとなった。

 週前半は値を上げる展開。OPEC(石油輸出国機構)とロシアなど主要産油国は9月下旬の会合で増産見送りを決定、増産により油価上昇を抑えてほしいという米国の要望を退けた。11月には米国による対イラン制裁再発動が予定されているため、OPECらの増産がないと、イラン産原油の輸出減少分の穴埋めが出来ず、需給が引き締まるとの見方が強まっていた。市場のセンチメントが強気にシフトするなか、NAFTA(北米自由貿易協定)再交渉の3カ国合意を受け、貿易摩擦への懸念が和らいだことで買い気が強まった。また、ICC(国際司法裁判所)が、米国の対イラン制裁再発動に関し、イランが米国に対して起こしている訴訟を部分的に認める予備的判決を承認したが、イランはICCを政治的および宣伝目的で悪用しているとポンペオ米国務長官が反論、イランに対する強硬姿勢を崩していないことも買い材料視された。

 主にイランからの供給減少を懸念した動きから買いが先行、一時76.90ドルまで上昇したが、週後半は利食い売りに押される展開へと転じた。前述の通り、先のOPECらの会合では増産の公約は見送られたが、OPEC加盟国盟主サウジアラビアと非加盟国盟主ロシアの両国は、9月に生産量をひそかに日量100万バレル増やしたと伝わった。トランプ米大統領の呼びかけに対応、水面下で増産合意し、さらに米国サイドにも伝えるなど密約があったことが明らかに。サウジアラビアは10月の産油量を日量1070万バレルにまで増やし、かつ11月以降もさらに増産する意向も示している。これらを受け、市場のムードは一転してベアに傾いた。直近にやや過熱気味に買われていた反動もあり、利食い売りが膨らんだ。また、弱気ムードに転じたことで、米国の原油在庫が市場予想以上に増えたことも、改めて弱材料視された。

 来月からの供給引き締まりがベースとなり強気ムードにあったが、週後半に肩透かしを食らった格好。サウジアラビアやロシアが増産体制にあれば、能力的にはイラン産原油の減少分を十分補完でき、市場の供給は十分とするOPECの分析も納得せざるを得ない。8月中旬の65ドル水準から、主にイラン関連で10ドル超の上昇となっただけに、それ相応の押しが入ってしかるべきと判断する。過熱相場が冷める局面は、往々にして下げ幅が大きいので注意したい。また、外為市場はドル高気味、株式市場は上昇基調と、マネーの流れが読み難い状況にある点も要注意。

 
 

 

今週の予想

  • WTI    中立 72.00-77.00ドル
  • BRENT 中立 82.00-87.00ドル

(CREEX LLC.)

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