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貸株のメリット・デメリット:貸株金利を得られ、いつでも売却可能だが、注意すべき点も

トウシル / 2018年10月10日 7時46分

貸株のメリット・デメリット:貸株金利を得られ、いつでも売却可能だが、注意すべき点も

貸株のメリット・デメリット:貸株金利を得られ、いつでも売却可能だが、注意すべき点も

 今日は、読者から質問の多い「貸株サービス」について、解説します。お持ちの株式を、貸株(かしかぶ)に出すと、期間に応じて貸株金利を受け取ることができます。長期保有銘柄は、貸株に出して金利を得ることを考えた方が良いと思います。

 ただし、貸株には、メリットとデメリットがあります。今日は、そこを正しく理解していただけるように、説明します。

 

長期保有銘柄は、貸株に出して、貸株金利を得ることを考えましょう

 貸株(かしかぶ)サービスとは、お客様が保有している株を楽天証券に貸し出すことで、期間に応じた金利が受け取れるサービスです。簡単に言うと、株のレンタル料がもらえると言うことです。

 例えば、貸株金利が年率1.0%の銘柄を200万円貸し出した場合、1年間で2万円の金利が得られます。 

 楽天証券は、皆さまから借り受けた株式を、機関投資家などに貸すことで、貸株金利を得ています。その中から、皆さまに、金利をお支払いしています。

 2018年10月9日現在、楽天証券が貸株サービスの対象としている銘柄は、全部で4,048銘柄あります。うち、貸出金利が年率1%を超えている銘柄が571銘柄あります。貸出金利の下限は年率0.1%です。貸出金利は、毎週見直しています。最新の貸株金利は、以下からご覧いただけます。

・最新の貸株金利

貸株サービスについての誤解

 日本株投資の長い読者の中には、10年以上継続保有している銘柄をお持ちの方もいらっしゃると思います。長期保有銘柄は、ただ、持っているだけではもったいないと思います。楽天証券の貸株サービスを使って、貸し出しを行い、貸株金利を得ていくことを考えた方が良いと思います。

 お子さまや孫、親類の方が上場企業に就職した時、記念に、その会社の株を買う方もいらっしゃると聞いています。長期保有する予定ならば、株を買うと同時に、貸株サービスに出しても良いと思います。

「とにかく貸株はやりたくない」と言う方の中には、誤解に基づいて、貸株をしない方もいます。よく聞く誤解は、以下2点です。

【誤解1】貸株をしていると、売りたい時に、売れなくなる

 これは、完全に誤解です。楽天証券の貸株サービスでは、貸株をしていても、売りたい時は、いつでも売ることができます。貸株をしていたために、売りチャンスを逃すということは、ありません。

【誤解2】貸株をしていると、配当金や株主優待を得ることができない

 これは、半分正しいが、半分、間違っています。確かに、貸株をしたまま、配当金や株主優待を受け取る権利が確定する日を過ぎてしまうと、配当金(配当所得)も株主優待も得られません。代わりに「配当金相当額(雑所得または事業所得)」が得られます。配当金相当額は、給与所得が主体の方は、雑所得となります。

 配当金を配当所得として受け取り、株主優待も得たいならば、権利確定日には、貸株を返却してもらう必要があります。

 楽天証券では、権利確定日だけ、貸株を返却するサービスを行っています。「株主優待優先」または「株主優待・予想有配優先」を選択して、貸株を行えば、権利確定日だけ、自動的に貸株が皆さまに返却されます。それについて、以下、詳しく説明します。

 

「株主優待・予想有配優先」を選択して貸株すれば、配当金も株主優待も得られる

 お持ちの株を、楽天証券の貸株サービスを利用して貸し出す場合、「金利優先」「株主優待優先」「株主優待・予想有配優先」の3通りから、どれか1つを選んでいただくことになります。

 配当金(配当所得)も、株主優待も両方とも欲しいならば、以下の【3】「株主優待・予想有配優先」を選択して、貸株するのが良いと思います。

 

【1】「金利優先」を選ぶ場合

 配当金や株主優待の権利が確定する日も、貸株の自動返却を行わず、そのまま貸株を継続し、なるべく多くの貸株金利が受け取れるようにします。権利確定日は、貸株金利が通常の5倍になります。ただし、株主優待があっても、権利は得られません。配当金は、配当金相当額(雑所得または事業所得)として、お客様の預り金に入金されます。

 

【2】「株主優待優先」を選ぶ場合

 株主優待の権利確定日に、自動的にお客様の株式が返却され、株主優待の権利を受け取ることができます。株主優待の権利が確定する同じ日に、配当金を得る権利が確定する場合は、配当金を得る権利も確定します。

 ただし、株主優待情報がない場合は、配当金の権利が確定する場合でも、株式の自動返却は行われません。その場合は、配当金(配当所得)は受取れません。代わりに配当金相当額を受取ることになります。

 

【3】「株主優待・予想有配優先」を選ぶ場合

 貸株をしながら、株主優待も配当金(配当所得)も両方とも欲しい方は、こちらを選んでください。株主優待または配当金の権利が確定する日には、自動的にお客様の口座に株式が返却されます。

気をつけるべきデメリット:「継続保有特典」のある株主優待で「継続保有」の地位が失われるリスクに注意

 2018年10月9日時点で、株主優待を実施している銘柄は、全部で1,438銘柄あります。うち、401銘柄は、「継続保有特典」をつけています。

「継続保有特典」とは、株主になってからの年数が長いほど、優待内容が増加する特典です。例えば、100株保有している株主に1,000円相当の食事券を贈呈する企業で、2年以上継続保有の場合には2,000円、3年以上継続保有の場合には3,000円相当の食事券を贈呈するとしている場合があります。これが、継続保有特典です。

「金利優先」で貸株をしたまま、株主優待の権利確定日を過ぎると、優待が得られません。優待が得られないだけでなく、継続保有の地位も失われます。権利確定日の株主名簿に名前が乗っていないので、「一度、株主でなくなった」と見なされるからです。貸株をやめて、次の権利確定日で株主優待を得ても、株主になって1年未満の株主と見なされてしまいます。

「株主優待優先」または「株主優待・予想有配優先」で貸株をしていれば、優待の権利が得られる日には、貸株が返却されていますので、その時点で、継続して株主であると見なされます。したがって、「継続保有」の地位は失われません。ただし、それでも、貸株をしていると、「継続保有」の地位が失われることがあります。

 まれに、上場企業が、優待も配当も得られない任意の日に、株主名簿の確定をすることがあります。「株主優待・予想有配優先」で貸株をしていても、運悪く、任意の株主名簿確定が行われてしまうと、そこで、継続保有の地位が失われます。

「継続保有特典」のついた銘柄で、「継続保有」の地位を大切にしたい場合は、その銘柄は、貸株に出さない方が良いと言えます。

 

 

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