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キャイ~ン天野ひろゆき後編:株をはじめて「自分とは関係ない」がなくなった

トウシル / 2018年11月1日 11時3分

キャイ~ン天野ひろゆき後編:株をはじめて「自分とは関係ない」がなくなった

キャイ~ン天野ひろゆき後編:株をはじめて「自分とは関係ない」がなくなった

 人気お笑いコンビ、「キャイ~ン」の天野ひろゆきさんのインタビュー後編。今回は、投資と仕事のつながりやギャンブルについてお聞きしました。

 

投資とギャンブル

――天野さんは投資を人に勧めることはないということでしたが、周囲の人から投資の相談をされることはあるのでは?

 そういうときは、投資をすることで世の中の見方が変わるという話はしますが、個別銘柄を勧めることはありません。応援したい企業を買ったほうがいいとアドバイスしています。だって、僕が勧めた銘柄を買って失敗したら、僕に対して腹立たしく思うでしょ。失敗の責任なんて負えませんよ。

 他の人に相談することもありません。芸人って、怪しいと思っているもうけ話ほど、他の人に話したがるので、意外にまん延するんですよ。話すことで、「自分の気持ちのリスクヘッジ」をしているのでしょうが、迷惑ですよね(笑)。

――相場で大もうけをしたいという気持ちはないのですか。

 株式投資に対しては、元手が何倍、何十倍にもなるとというような過度な期待はしていませんね。ギャンブル感覚ではないです。好きな企業を応援するという、投機ではなく投資という感覚が自分自身の中にあると思います。だから得体の知れないモノに手を出すことがないですね。

知らないモノは怖い…

 でもね、ブラジルオリンピック開催が決まったとき、少し気持ちが動きました。オリンピック開催国は景気がいいはずでしょ。だからブラジル関連の投資には少し手を出しました。すると、日本に伝わってくるニュースは、競技施設の工事が遅れていて開幕に間に合わないかもしれないとか、犯罪が多く刑務所は慢性的な過密状態で無法地帯になっているとか、悪いニュースばかり。

 外国の実情は住んでみないと分からないと思った。やっぱり得体の知れないものには手を出してはだめなんですよ。新興国投資を否定するつもりはないけれど、よく調べてやるべきだと思います。

――忙しいスケジュールの中で投資の時間の確保が大変なのでは?

 一時期はずいぶん動かしていたのですが、株価を見ない日も多いですね。時間の確保についてはまったく問題ないです。米中の貿易摩擦というような大きなニュースが出たときは相場を見るけれど、一喜一憂する感じはもうないですね。

――投資を始めてから何か変わりましたか?

 経済ニュースに興味が持てるようになりましたね。それが投資を続けている一番の理由かも。世界のニュースをちゃんと見るようになりました。自分が関わっていない事柄には無関心になりがちです。投資を始める前は申し訳ないけれど、ギリシャ危機のニュースは自分には関係ないと思っていました。財政破綻に直面して初めて公務員の数を数えたとか、「どんな国やねん!」って突っ込んでいたくらい(笑)。投資を始めると、欧州のユーロ離脱の動きが、自分の保有銘柄の株価に影響することが分かってくる。視野が広がりますね。

株式投資と仕事のつながり

――そのことが仕事につながってますか?

 つながりますね。芸人には「世の中を知らない面白さ」が売りになるタイプもいますが、僕自身は「ほんわか知っている」感じのタイプです。それに昔から広く浅く、ある程度は知っておきたいという感覚がある。だから今の投資の目的は、もうけよりも自己投資の部分が大きいのかもしれない。

 

――こうしてお話をしていると、天野さんはお金に関して、貪欲な印象を受けません。子どものころから、お金にはあまり関心がなかったのですか。

 お金は自分で稼いで使うものという意識が強いですね。高校生の頃からアルバイトをして、欲しいものは自分で買っていました。お金に関して、こんな思い出があります。小学生のころサンタさんに、クリスマスプレゼントは5分割できる合体ロボット・コンバトラーVが欲しいとお願いしたんです。

 すると25日の朝、プレゼントの袋にはロボットの足だけが入っていた(笑)。よりによって一番人気のない足(笑)。僕はそれを見て、家庭の事情を察しました(笑)。以来、欲しいものは働いて稼いだお金で買う、あとの4つは自分で買うという覚悟ができました。そしてねだって買ってもらうよりも、働いて稼いだお金で買った方が気持ちがいいことに気がつきました。

――株主優待は、自分で稼がなくてもモノがもらえるわけですが、積極的に狙っていますか?

 そこを考えて銘柄を選ぼうと思っていたら、「ふるさと納税」制度が始まって、そちらに興味を持っています。だから銘柄を優待狙いで買うことはないですね。

 でも応援している企業の製品をもらえる株主優待制度は、株主としてはうれしいですよ。新製品をいち早く試すことができるのですから。

 優待名人の桐谷広人さんと対談したときは驚きました。あの方、株主優待でもらった財布に株主優待カードを入れていて、スケジュールは株主優待の期限に従って組んでいるんです。そんなの株主優待にふりまわされているだけじゃないかと思っていたのですが、お会いすると、そう感じさせないバイタリティーがある。僕はこの人よりも人生を楽しんでいるだろうかと思ってしまいました。優待に振り回されるというより、振り回されながら振り回しているという感じ(笑)。

――天野さんのお話を聞いてきて、投資はギャンブルではないことが理解できた読者も多いと思います。  

 僕はギャンブルもするんですが、ギャンブルでは資金がゼロになることが多々あります。でも、株式投資は会社が潰れない限りゼロにはなりません。

「ギャンブルも好きです」と話す天野さん

ゼロになる確率の低さはギャンブルの比ではないです。それに好きなパチンコで損をしたら、台のせいにしたくなる。とても自己責任とは思えません。でも株式投資なら思える。従業員のみなさんが懸命に働いていて、それでも株価が下がるのは仕方ない。株価は経済の影響を受けますが、経済が上向くことで損をする人はいません。みんな同じ方向を向いて努力ができる。こんなに素晴らしいことは他にないですよね。

――最後にお聞きします。投資の魅力は何でしょう?

 もし株式投資をしていなかったら、人間の面白い心理を知ることができなかった。それを知ることができたことが株式投資の魅力かな。お笑いの仕事では、お客さんの前で受けることが快楽であり、他に勝るものがありません。だから続けています。ギャンブルも独特なアドレナリンが出るから、適度にやっています。

 お金に関して言うと、世の中の事件の大半はお金か愛がらみでしょ。恐ろしいですよね。お金がなくて生活が苦しい状態にはなりたくないけれど、たくさんあれば幸せというわけでもない。身の丈に合った範囲で投資を楽しむことをおすすめします。

最後にキャイ~ンポーズもしてくれました

前編「暴落はチャンス!?株デビューのきっかけとは」を見る>>

中編「負けを認める株式投資」へ続く>>

 

<編集後記>取材を終えて…

インタビュー中の天野さんは終始穏やか。投資について話したがらない方も多い中、赤裸々に、失敗体験などもお話ししてくださいました。投資情報から仕事につなげたり、投資先を街の中から探すなど楽しんでいる姿が印象的でした。ところで、10億円は噂だったのですね(笑)(編集部)

(トウシル編集チーム)

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