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為替相場に役立つ相場格言その2

トウシル / 2017年3月22日 0時0分

為替相場に役立つ相場格言その2

為替相場に役立つ相場格言その2

今回も為替相場に役立つ格言を見てみたいと思います。まずは、「もうはまだなり、まだはもうなり」と並ぶ人気の格言です。

「人の行く裏に道あり花の道」

「人の行く裏に道あり花の道」そのままの意味を取れば、「大きく成功するためには、他人とは反対のことをやったほうがよい」、「他人と異なることをやることが成功を導いてくれる」という意味合いとなります。相場の流れの中で逆張りを行うということになります。前回お話しました" the trend is your friend ".の格言は順張りの投資行動です。相場の流れに乗る順張りとは違って、流れに逆らう逆張り投資は、為替取引の中では非常にリスクが高くなることもあります。「人の行く裏に道あり花の道」の格言は、必ずしもリスクの高い逆張りを進めるものではないと思います。ドル買いに勢いがつき加熱した相場になった時や、ドル売りで総悲観となった時には、一方向に偏った群集心理の反対サイドに大きな成果が待っているという意味合いだと考えています。従って、過熱した相場の中で冷静に相場状況を分析することが大切だと教えている格言だと考えています、「もうはまだなり、まだはもうなり」の格言の中の「まだはもうなり」の部分と同じような意味合いかもしれません。

ウォール街にも同じような格言があります。「人が売るときに買い、人が買うときには売れ」(buy when others sell; sell when others buy.)。これはまさに逆張りの勧めですが、もう一つ意味があると思っています。ヘッジファンドなどの巨大な投資家は、自分の巨大なポジションを売りたい時には、相場が上がっている時、つまり自分の売りで相場を崩さないように売るためには、買い手が大勢いる時にしか売れません。相場が下がっている時に売ると、自分の売りで相場を崩してしまいコストが悪くなってしまいます。逆に大きく買いたい時には相場が下がっている時にしか大きくは買えません。この格言にはそういう意味合いも含まれていると考えると、相場の見方のヒントになるかもしれません。例えば、日本の株式市場で相場が下がっている時に、公的年金や信託銀行が株を買っているという話を時々耳にしますが、日本株を支えているという意味合いもあるかもしれませんが、巨大な金額を買うためには、相場の下がり局面でないと十分に変えないという事情があるのかもしれません。

「見切り千両」

「見切り千両」という格言があります。相場が自分の考えより反対方向に行った時に、自分のポジションに未練が残り、もうじき戻るだろうとの期待から持ち続け、結果的には損が大きくなっていき、最後は底値で売ることによって大損を出してしまう。こういう事態を避けるために、この格言は活きてきます。ここで手仕舞えば損を出すことにはなるが、大損は避けられる。大損を避けられるのならその手仕舞いは千金の価値があるという意味合いです。また自分の相場観への固執を見切ることによって冷静になることが出来ます。一旦、ポジションがなくなれば相場の見方が変わってくるのも事実です。わかっていてもなかなか見切れないものですが、「損切りは早く、利食いは遅く」との格言とともに意に留めておきたい格言です。

「休むも相場」

相場に対する行動としては、「買い」と「売り」、そしてもうひとつ「休む」という行動があります。あまりにも熱くなりすぎて相場にのめり込むと冷静な投資判断が出来にくくなります。そのような事態を避けるために、ポジションを利食ったり、損切った後は、一旦休むということを加えます。一旦、相場から離れることによって、相場を冷静に観察することが出来、思い込みではない相場観を打ち立てることが出来ます。「見切り千両」の後は、「休むも相場」と冷静になる期間を設けることは次の活力につながります。熱くなりすぎているなと思った時は^_^ぜひこの格言を思い出してください

“ buystrength ,sell weakness“ と ”risk on, risk off“

“buy strength ,sell weakness” という格言があります。「強いものを買って、弱いものを売る」。為替ディーラーになりたての頃に上司から教えられた忘れられない格言です。相場に対峙した時に株式相場ではどの銘柄を買うかということになりますが、為替相場ではその通貨を買うか売るかあるいはその反対サイドの通貨を買うか売るかになります。例えば、ドル円で言うとドルを買うか売るか、これはすなわち、円を売るか買うかということになります。そして買うか売るかの判断はドルが強いと思えばドルを買い、円が弱いと思えば円を売るということになります。経済要因や政治要因を含め、相場環境を総合的に判断してその通貨が強くなると考えれば買い、弱くなると考えればその通貨を売ります。通貨を売買する時の基本姿勢と考えています。

「リスクオン(risk on)」「リスクオフ(risk off)」という用語があります。 投資家がリスクの高い資産に資金を振り向けようとしている状態を「リスクオン」と言います。リスク選好、リスク志向とも言います。例えば、frbが金融緩和を続けると政策決定すれば、今後の相場が過剰流動性によって加熱すると予想され、投資マネーがリスクの高い株式や金利の高い新興国の通貨や債券などのハイリスク資産に向かいやすくなります。このような状態をマーケットは「リスクオン」の状態になっていると言います。

逆の状態が「リスクオフ」の状態です。景気の先行き不安や政治的混迷度が高まると、投資家は投資資金を投資先やリスクの高い資産から引き揚げ、リスクの低い米国や日本の国債、通貨で言えばドルや円などの相対的に安全と思われる資産に振り向ける状態のことを「リスクオフ」といいます。

2008年のリーマンショック以降、マーケットの状態を分析する際に、今はリスクオン、今はリスクオフという言い方で使われるようになってきました。ドル円で言うと、今はリスクオンだから円安に動いている、あるいは今はリスクオフだから円買いと言うふうに使われますが、為替相場を長年やってきたものにとってはこの考え方は一元的な見方と考えています。特に「円安に動いたのはマーケットがリスクオンの状態だったから」あるいは「円高に動いたのはマーケットがリスクオフの状態になったから」との説明を時々耳にしますが、あまり自動的に「リスクオン=円安」「リスクオフ=円高」と考えていると相場の環境変化に対応できなくなります。円高、円安の背景にはさまざまな要因があります。先程説明したように、“buystrength ,sell weakness“を基本姿勢に、強い通貨を買う、買う背景は何かを考えていく習慣をつけることが重要だと思います。「リスクオフ」だから円を買うという漠然とした背景ではなく、そのような状態の中で円が買われている理由が何かを分析しておく必要があります。円が買われているのではなく、ドルが売られていることが背景かもしれないからです。

前回、今回と為替相場に役立ちそうな相場格言をピックアップしました。今年は、米国の利上げペースやトランプリスク、欧州の政治リスクなど波乱要因が目白押しの年になりそうです。波乱に巻き込まれて足元が見えなくなった時には、自分のお気に入りの格言で足元を照らしてみて下さい。

(ハッサク)

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