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日経平均の戻り期待と失速不安に揺れる「水平線上のストラテジー」

トウシル / 2018年11月5日 14時7分

日経平均の戻り期待と失速不安に揺れる「水平線上のストラテジー」

日経平均の戻り期待と失速不安に揺れる「水平線上のストラテジー」

 月末と月初の「月またぎ」となった先週の国内株市場ですが、週末11月2日(金)の日経平均終値は2万2,243円となりました。前週末終値(2万1,184円)からの上昇幅は1,059円となり、その前の週の下落幅(1,348円)と比べると、7割以上戻したことになります。また、週足ベースでも5週ぶりに上昇に転じています。

 とりわけ、週末2日(金)に急上昇したことが大きかったと言えますが、果たしてこのムードが今週も続くのかどうか、早速今後のシナリオを考えてみたいと思いますが、まずはいつもの通り、下の図1と図2で足元の状況から確認していきます。

■(図1)日経平均(日足)の動き(2018年11月2日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成

■(図2)日経平均(日足)の動き その2(2018年11月2日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成

 

 あらためて先週の日経平均の値動きを振り返ってみますと、週初の29日(月)は続落で始まったものの、翌30日(火)からは反発・上昇へとかじを切る展開となりました。そして、ローソク足に注目すると、3本の大きな陽線が目立っています。その中でも特に30日(火)と31日(水)の陽線が大きな意味を持っています。

 まず、30日(火)の陽線は、前日の29日(月)の陰線を包み込む格好となっていて、いわゆる「抱き線」なのですが、トレンドが進行している最中にこの形が現れると「最後の抱き線」と呼ばれ、トレンドが転換するサインとされています。しかも、この陽線はさらに前日となる前週末26日(金)の陰線も包み込んでいるため、形としては比較的強いものと言えます。

 さらに、翌31日(水)の陽線によって、前週10月24日〜25日にかけて空けた「窓」を埋めることができました。しかもこの窓の値幅は208円と結構大きかったのですが、そこを埋め切ったというのも買いの強さを示すものと言えます。

 前回のレポートでは、買い戻しシナリオを想定しつつ、「死兆星」に例えた「下放れ二本黒」という売りサインを紹介して注意も必要としましたが、こうした警戒感はこの二本の陽線の出現によってひとまず打ち消される格好となりました。

 また、週末11月2日(金)の株価上昇は、「米中摩擦が解消に向けて動き出した」という報道をきっかけに、その上げ幅が拡大していったわけですが、その布石として、底打ちサインとなる「抱き線」と、窓埋めの達成という、二本の陽線の存在が反発機運を高めていたからこそと言えます。相場の雰囲気についても、株価の反発当初の「さすがに下げ過ぎ」感から、次第に「目先の底打ち」感を強めていったようにも見えます。いずれにしても、反発から窓埋め、2万2,000円台乗せで週の取引を終えられたことは好材料です。

 となると、今後の焦点として、「2万2,000円台乗せの定着」と、「戻りの勢いの持続性」を確認していくことになりますが、先週末の日経平均先物取引が大証・CMEともに2万2,000円台割れで終えていますし、今週は米国でFOMCや中間選挙などのイベントが盛りだくさんなほか、国内企業の決算もヤマ場を迎えます。

 さらに、週末にはオプション・mini先物取引のSQも控えているため、値動きが上下し、その振れ幅も大きくなるかもしれませんが、とりあえず今後の株価水準の目安について、先ほどの「どこまで戻せるか?」の視点で考えてみたいと思います。

 一つ目は、移動平均線です。図1には25日・75日・200日の移動平均線が描かれていますが、目先の戻りは200日移動平均線となりそうです。先週末時点での200日移動平均線は2万2,415円と2万2,500円の水準に位置しています。その一方で、25日移動平均線が75日移動平均線を下抜ける「デッドクロス」になっていることはネガティブな材料になります。

 そして、二つ目は、「下げ幅の戻し」になります。下の図3と図4は、下げ幅からの戻りの目安をフィボナッチリトレースメントで表したものですが、1月下旬から2月中旬に見せた下落時(図3)と直近10月の急落時(図4)とを比較してみたいと思います。

■(図3)日経平均のフィボナッチリトレースメント その1(1月下旬~2月中旬の下落からの戻り)

出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成

 

 左側の1月下旬から2月中旬の時に注目すると、下げ幅の50%近くまで値を戻した後に失速してしまい、元の水準まで下げる場面がありました。そのため、必ずしも歴史が繰り返されるとは限りませんが、今回も株価がある程度戻った後に下げに転じる可能性が意識されるかもしれません。

 そこで、前回の下げに転じた際の状況を整理してポイントを探ってみると、「50%戻しの水準」、「窓空けに差し掛かったところ」、「25日移動平均線が抵抗」が挙げられます。

■(図4)日経平均のフィボナッチリトレースメント その2(10月下落からの戻り)

出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成

 

 これを上の図4で今回の場合に当てはめてみると、大体2万2,700円ぐらいのところで、50%戻しと25日移動平均線の水準が位置しています。そして、窓空けに差し掛かるのは、もう少し株価が上昇した61.8%戻しのところになります。

 この窓は322円とかなり大きなものになりますが、具体的には2万3,051円〜2万3,373円の範囲です。つまり、2万3,000円台に乗せたところに大きな窓が存在していることになり、ここを超えるのはかなりハードルが高そうです。

 そのため、外部環境に大きな変化がない限り、上値の目安は、結局2万3,000円台トライという「いつか来た道」をたどる展開が想定されます。また、失速後の下げ転換も考慮に入れると、次の押し目買いは下げたところを拾うのではなく、再び反発し始めたタイミングの方が良いのかもしれません。

 しばらくの間は、フィボナッチリトレースメントが示す水平線上をめぐる攻防が続きそうです。

(土信田 雅之)

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