米中間選挙の波乱は追い風?利回り3%超も。好配当10万円株の選び方
トウシル / 2018年11月7日 7時51分
米中間選挙の波乱は追い風?利回り3%超も。好配当10万円株の選び方
11月7日の午後には、6日に実施された米中間選挙の結果が判明します。日本が、この重要イベントの結果を織り込む最初の市場となります。
短期的な波乱があれば、長期投資で割安な日本株に投資する好機になると考えています。今日は、個人投資家が投資しやすい、「10万円以下で買える」好配当利回り株をご紹介します。
日本株は配当利回りから見て割安と判断
日本株は、配当利回りや、PER(株価収益率)などの株価指標で見て、割安と判断しています。長期投資で、資産形成に貢献する投資対象と考えています。
日本の長期金利(10年もの新発国債利回り)と東証一部予想配当利回りの推移:1993年5月~2018年11月(6日まで)
1993年当時、長期金利が5%あった時、東証一部の配当利回りは1%未満でした。この時、長期国債は割安で、日本株は割高でした。ところが、2018年11月6日現在、長期金利は0.1%まで低下、配当利回りは2.3%まで上昇しています。今は、長期国債が割高で、日本株が割安と判断しています。
10万円から始める好利回り株投資
日本株は、配当利回りから見て割安で、長期投資の対象として魅力的と考えています。ただし、銘柄選択は大切です。人気株に飛び乗って高値づかみとなり、株価が急落すると大きな損失をこうむることもあります。
これから日本株への投資を考える初心者の方は、日経平均株価に連動するインデックスファンドや、10万円以下で買える株への小口投資から始めたらいいと思います。一度に大きな金額を買うのではなく、毎月一定額を買い付けるなど、堅実に投資を増やしていく買い方が良いと思います。
そこで、今日は、10万円以下で買える好配当利回り株をご紹介します。
スーパースクリーナーを使って銘柄選択
楽天証券HPでは、さまざまな条件を指定して、その条件に合った銘柄をスクリーニング(抽出)する「スーパースクリーナー」というツールを提供しています。スーパースクリーナーの使い方は、以下をご参照ください。
「スーパースクリーナーを使った銘柄分析方法を動画で解説」
今日は、スーパースクリーナーを使って選ぶ、10万円以下で投資できる好配当利回り株を、ご紹介します。以下の手順で絞り込みます。
10万円以下で買える1,262銘柄を抽出
まず、東証一部・二部、東証マザーズ、ジャスダック、名証に上場する銘柄について、「投資金額10万円以下」の条件を指定すると、1,262銘柄が出てきます。この1,262銘柄が、2018年11月6日時点で、最少投資金額が10万円以下の銘柄です。
予想配当利回りが2.5%以上の92銘柄を抽出
10万円以下で買える銘柄から、配当利回りが高めのものを抽出します。「配当利回り(予想)が2.5%以上」という条件を加えると、銘柄数は、一気に92銘柄まで減ります。これが、10万円以下で買える好配当利回り株の候補となります。
10万円以下で買える予想配当利回り2.5%以上の92銘柄のうち、予想利回り上位20社:2018年11月6日時点
配当利回り(予想)は高ければ高いほど、良いというわけではありません。なぜならば、株の配当利回りは、確定利回りではないからです。業績が悪化して、減配(1株当たり配当金を減らすこと)になり、株価が下がることもあります。好配当利回り株を選別する時は、なるべく減配リスクの低い銘柄を選ぶべきです。
予想配当利回りが高い銘柄には、減配リスクの高い銘柄が含まれますので、きちんと調査して選別する場合を除き、そのまま買うべきではありません。実際、上のリストの中には、スルガ銀行やレオパレス21など、不祥事を起こして株価が急落した銘柄も含まれています。私は、不祥事を起こし、その問題が完全に解決していない銘柄には、投資すべきでないと思います。
さらに、時価総額が1,000億円以上の銘柄に絞り込む
減配リスクの低い銘柄にさらに絞りこむ方法は、いろいろあります。減配リスクが低い銘柄には、一般的に以下のような特色があります。
- 時価総額が大きい
- 経常利益率が高い
- 自己資本比率が高い(借金が少ない)
- 景気の影響を受けにくい業種(ディフェンシブ株)
- 経営者が株主への利益配分に積極的
すべてを満たす銘柄はありません。上記の1つか2つを満たせば十分と考えます。今日は、一番単純でわかりやすい「時価総額が大きい」という条件で絞り込んでみました。「時価総額1,300億円以上」の条件を加えると、銘柄数は、33に絞り込まれます。
10万円以下で買える、時価総額1,300億円以上、配当利回り(予想)2.5%以上の33銘柄
スーパースクリーナーで抽出した33銘柄:2018年11月6日時点
私が投資してみたいと考える8銘柄
スクリーニングで選んだ銘柄に、機械的に投資するのは得策とは言えません。配当利回りが高めの銘柄には、将来、減配になるリスクもあるからです。ここから、さらに絞り込む必要があります。証券会社4社(大和、野村、東海東京、カブドットコム)について、私は投資判断を述べることはできませんので、この4社を除いた29社から選別します。
私は、1987年から2013年まで、日本株ファンドマネージャーをやっていました。私がもし今、ファンドマネージャーならば買ってみたいと思う銘柄は、8銘柄あります。投資魅力が高いと考える順に並べると以下の通りです。
筆者がファンドマネージャーならば買ってみたい8銘柄
金額単位:円
コード | 銘柄名 | 配当利回り | 業種 | 最低投資額 |
---|---|---|---|---|
4689 | ヤフー | 2.7% | 情報通信 | 32,700 |
4188 | 三菱ケミカルHD | 4.3% | 化学 | 92,920 |
8306 | 三菱UFJ FG | 3.0% | 銀行 | 67,740 |
8410 | セブン銀行 | 2.8% | 銀行 | 36,000 |
8411 | みずほFG | 3.8% | 銀行 | 19,570 |
8002 | 丸紅 | 3.8% | 商社 | 89,440 |
2768 | 双日 | 3.6% | 商社 | 41,300 |
9069 | センコーグループHD | 3.0% | 陸運 | 86,800 |
ヤフーを評価する理由
かつて成長株として期待が高かったヤフーは、投資家の期待に応えられないうちに、期待が剥げ落ちて、いまや配当利回りが高めの割安株となりつつあります。ただし、私は、ヤフーは、将来の成長に向けて、着実に手を打ってきていると考えています。
ヤフーは、国内で、インターネット検索サイト最大手です。5~10年前までは、成長株として、投資家の期待を集めていました。検索サイトを支配する地位を利用して、さまざまなITサービスに進出して成長するポテンシャルを持っていたからです。
米国の検索サイト最大手グーグルは、検索を支配する地位を利用してさまざまなITサービスを展開し、世界のITインフラを支配していきました。だから、ヤフーにもチャンスはあるはずだと期待されていました。
ところが、ヤフーは、これまでその期待に応えられていません。検索サイト最大手として安定収益を得ていますが、成長を牽引する新ビジネスがなかなか出てきません。高成長を実現できないヤフーにしびれを切らした投資家は、徐々にヤフー株から離れていきました。かつて成長株として、PERなどで高く評価されていたヤフーは、だんだんバリュエーションの低い割安株になりつつあります。
今期(2019年3月期)の連結純利益(市場予想)は、前期比23%減の1,007億円と、2期連続で減益となる見込みです。ただし、ヤフーは新たな成長の芽をつかみつつあると考えています。減益の主因は、スマホを使ったキャッシュレス決済(PayPayペイペイ)開始など、将来の成長に向けた費用の拡大だからです。
ヤフーは今後、広告収入をさらに拡大する期待が出ています。月間ログインユーザー数が足元、前年同月比10%増の4,587万に増加。検索連動広告が増えたこと、アドフラウド(広告不正)対策を強化していることも評価できます。
業績不振で、株価低迷が続いてきましたが、将来の成長を期待して買ってみたいところです。
三菱ケミカルを評価する理由
三菱ケミカルHDは、前期(2018年3月期)に、純利益が前期比36%増の2,118億円と最高益を更新。MMAモノマーの市況上昇でケミカル部門の利益が大きく拡大したことが寄与しました。今期(2019年3月期)の純利益(会社予想)は、前期比0.6%増の2,130億円と微増を見込んでいます。ケミカル部門の利益が高水準を維持する見込みです。ただし、ケミカル部門は市況変動によって、収益が大きく変動します。安定的に収益を稼ぐ部門と評価はできません。
私が三菱ケミカルを高く評価するポイントは、中長期的に成長が期待される高機能化学品やリチウムイオン電池材料など戦略製品を、数多く保有していることです。応用分野として、自動車・半導体・食品などがあります。
その他の銘柄コメント
買ってみたい8銘柄の中に、三菱UFJ、みずほ、セブン銀と、銀行が3つ入っています。私は、銀行に投資するならば、海外で収益を拡大させている3メガ銀行か、手数料収入中心に安定収益を稼ぐセブン銀行に限定すべきと考えています。日銀の低金利政策でダメージを受け、収益悪化が長引く地方銀行には、投資すべきでないと考えています。
3メガ銀行では、三菱UFJ FGとみずほFGのほか、三井住友FG(8316)も、予想配当利回りが3.8%と高く、投資魅力は高いと考えています。ただし、三井住友FGは、最低投資金額が約45万円と大きいので、上記リストには入りません。
セブン銀行は、利益の大半をATM手数料で稼いでいます。ゼロ金利のマイナス効果が少なく、セブン‐イレブンの出店拡大で業績を伸ばしてきました。今期(2019年3月期)の経常利益(会社予想)は、前期比4%増の399億円と、2期連続で最高益を更新する見込みです。
丸紅、双日は、総合商社です。丸紅は、今期(2019年3月期)の純利益(会社予想)が前期比9%増の2,300億円と、2期連続で最高益を更新する見込みです。双日も、今期(2019年3月期)の純利益(会社予想)は前期比23%増の700億円で、最高益を更新する見込みです。資源価格の反発が業績にプラスであるほか、非資源事業の利益拡大も貢献しています。
中長期に両社を高く評価するのは、非資源事業を積極的に拡大してきたからです。資源事業の利益は不安定で高くは評価できません。ただ、両社とも世界景気敏感株で、世界景気が悪化すると株価が下がる可能性があることには、留意が必要です。
センコーグループは、意外な最高益更新企業です。今期(2019年3月期)、連結純利益は、8期連続で最高益を更新することが見込まれています。トラック輸送業界は、人手不足に苦しんでいますが、最近、料金の引き上げが通り始め、今後、収益環境が改善すると予想しています。
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