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株投資する人のためのNISA特集・2014年に投資したNISA口座~ケースごとに変わる将来の税金をチェック

トウシル / 2018年11月23日 7時0分

株投資する人のためのNISA特集・2014年に投資したNISA口座~ケースごとに変わる将来の税金をチェック

株投資する人のためのNISA特集・2014年に投資したNISA口座~ケースごとに変わる将来の税金をチェック

 2014年にNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)口座で投資した株式の非課税期間は2018年末で終了。このため、NISA枠で投資していた株式をロールオーバーするかどうか、そして今後の株価の推移によっても税金が変わります。具体的な数値を見ながらチェックしていきましょう。

 

2014年にNISA口座を使って投資した株式・対処方法は3つ

 先日のコラムにて、2014年からNISA口座で保有している株式については、2018年末をもって非課税期間が終了することをお伝えしました。

 もし、2014年にNISA口座で購入した株式がまだ残っている場合、選択肢としては3つです。

1:2018年中に売却する

2:ロールオーバーしない

3:ロールオーバーする

 今回はこの3つの選択肢につき、現在の株価ごとにケース分けした上で、税金の計算上どのような違いがあるかを見ていきたいと思います。

 それでは、2014年にNISA口座の投資限度額100万円を投資し、2018年末に株価が(1)70万円になっている場合、(2)200万円になっている場合で考えてみます。

 

1:2018年中に売却するケース

 2014年にNISA口座で投資した株式の非課税期間は2018年末までです。そこで2018年中に売却するという選択肢があります。

(1)70万円の場合:不利

 100万円で投資した株式を70万円で売却することになりますから、30万円の損失です。

 NISA口座で投資した株式に売却損が生じている場合、この売却損は他の株式などと損益通算できず切り捨てになってしまいます。この30万円が損益通算できたかもしれないと考えると、(100万円-70万円)×20.315%=60,945円だけ税金面で不利となる可能性があります。

(2)200万円の場合:20万円以上、税免除

 100万円で投資した株を200万円で売却することになりますから、100万円の利益です。

 NISA口座で投資した株式に売却益が生じた場合、非課税期間内であれば全て非課税となります。

 したがって、(200万円-100万円)×20.315%=203,150円の税金が免除となります。

 

2:ロールオーバーしないケース

 2014年にNISA口座で投資した株式を2018年末までに売却せず、ロールオーバーの手続きもしなかった場合、通常口座へ移管されます。特定口座を開設している場合は「特定口座」、開設していない場合は「一般口座」への移管となります。

(1)70万円の場合:不利

2018年末の時価70万円で新たに通常口座で取得したこととなります。この時点で、2014年の投資額100万円と70万円の差額30万円の含み損はNISA口座にて実現したものとみなされます。そのため、もし70万円の株価が100万円に戻ってから売却しても、100万円-70万円×20.315%=60,945円の税金がかかります。
 つまり、100万円で投資した株式を100万円で売却しても税金がかかってしまうということです。

(2)200万円の場合:20万円以上、税免除

 2018年末の時価200万円で新たに通常口座で取得したこととなります。2014年の投資額100万円との差額である100万円の含み益がNISA口座で実現したものとされますので、1:(2)と同様に203,150円の税金が免除となります。

 

3:ロールオーバーするケース

 申し込み期日内にロールオーバーを行った場合、2014年にNISA口座で投資した株式の非課税期間は5年間延長され、2023年末までとなります。

(1)70万円の場合:売却時、値上がりなら全額非課税

2014年の投資額100万円ではなく、2018年末の時価70万円で、2019年のNISA枠を用いてロールオーバーされます。2:(2)とは異なり、含み損の30万円は切り捨てとはならないため、仮に今後株価が70万円から100万円へと回復してから売却しても税金はかかりません。
 もちろん、100万円ではなくそれ以上に株価が上昇してから売却しても、2023年までの売却なら同様に売却益の全額が非課税です。

(2)200万円の場合:売却時、値上がりなら全額非課税、値下がりなら損益通算不可

2018年末の時価200万円でロールオーバーされます。2023年末までにさらに株価が上昇してから売却しても、当初投資額100万円との差額につき全て非課税です。ただし、200万円から株価が値下がりした時点で売却した場合、値下がりした部分については他の株式と損益通算できず、切り捨てになります。

どれを選択するかは結局のところ「割り切り」が必要

 このように、2014年にNISA口座で投資した株式については

・今後株価が値下がりしそうならロールオーバーしない

・今後株価が値上がりしそうならロールオーバーする

含み損を抱えている場合は心理的にロールオーバーする方向に傾きそう

という一応の結論が導き出されます。

 でも今後5年間に投資した株式の株価が上昇するか下落するかを現時点で正確に予想することはできません。また、ロールオーバーをするということは、2019年のNISA枠の一部もしくは全部を、2014年にNISA口座で投資した株式に充当することになります。

 本当に、2014年に投資した株式を、今後5年間に再度NISA口座で投資してもよいのか、今一度考えてみてください。

 2014年にNISA口座で投資して含み損を抱えている株式をロールオーバーするということは、負け戦さにつき5年間の「延長戦」をするのと同じです。

 現在までの5年間は、日本株全体で見て株価が大きく上昇した期間です。でも、この5年間に保有を続けた結果、逆に株価が下落してしまうような銘柄をさらに5年間保有し続けて、良い成果が出るかどうかは疑問です。

 2018年末で含み損を抱えている株式であっても、あえてロールオーバーせずに売却ないしは通常口座へ移管するという考え方もあります。より魅力的で株価上昇が期待できる株式があれば、2019年のNISA枠でそちらに投資した方がトータルで見て有利になる可能性も大いにあるからです。

 もちろん、将来どうなるかは誰にも分かりませんから、現在含み損を抱えている株式をロールオーバーした方が良い結果につながるかもしれません。

 でも、分からないことをいくら考えても時間の無駄です。ロールオーバーするかどうかは、割り切って決めてしまうほかありません。筆者であれば魅力的な銘柄ならロールオーバーをし、他にもっと魅力的な銘柄があればそちらを2019年のNISA枠を使って投資します。含み損を実現させたくないから、という消極的理由でのロールオーバーはあまりお勧めしません。

(足立 武志)

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