人気投資ブロガー・吊ら男さん後編:インデックス投資を始めるうえで知っておきたいこと
トウシル / 2018年11月28日 12時54分
人気投資ブロガー・吊ら男さん後編:インデックス投資を始めるうえで知っておきたいこと
人気ブログ『吊られた男の投資ブログ(インデックス投資)』を運営する吊ら男さんインタビューの後編をお届けします。今回はインデックス投資を始めるときの注意点、長く続けるコツ、さらにはご自身の今後についても伺いました。
損の許容範囲をよく考えて投資額を決めること
──前回、長期的視点で投資しているので目先のことにはとらわれないとおっしゃいました。ということは現時点での評価額も気にならない?
もちろん、全く気にならないといったらウソになります。でも、毎日各ファンドの値動きをチェックは、全くしていません。そもそも証券会社の口座にアクセスすることも滅多にないですし。年4回、全体の評価額を計算しますが、それもブログで公表するためにしているようなものです。
──新聞やニュースで「世界同時株安」などと騒がれると不安になりませんか。
自分の資産も目減りしたんだろうなとは思いますよ(笑)。でも、一時的に下がっても、いずれは上昇に転じるだろうという思いがあるので、不安に苛まれるといったことはないですね。
──長い目で見れば世界経済は成長し続ける。長期保有していれば上がっていくはずだと?
そう、だから一喜一憂することはありません。
──実際のところ、投資元本を割ったことはあるのですか。
最初の5年間はマイナスでした。私は2007年に投資を始めたわけですが、その翌年リーマンショックに見舞われましたからね。最大6割近くやられました。
──当時、新婚ですよね。奥様は何と?
まだ投資を始めたばかりで元本も少なかったし、それに生活費を投資に回していたわけではないので、とやかく言われることはなかったですね。私自身もあまり深刻には考えませんでした。
──でも、5年間マイナスだと、そろそろ見切りをつけようかなどと考えませんか。
いや、それはないですね。このままずっと下がりっぱなしということはいくら何でもないだろう。いずれ上向くだろうと思っていましたし。
──ちなみに今、大暴落して元本を割るようなことがあったらどうでしょう?
始めた頃とは金額が違いますから、そりゃあ多少は落ち込むでしょうね(笑)。でも、何度も言うように普段のキャッシュフローには困っていないので、そこまで絶望的にはならないと思います。仮に全額失っても家族4人、普通に暮らしていけますし。
──そういう意味では手持ちのお金のどれくらいを投資に当てるかはけっこう大事なポイントですね。
それは投資を始めるときによく検討すべきでしょう。私はどれくらいの損なら受け入れられるかをよく考え、その範囲内に留めることをすすめます。インデックス投資はリスクが少ないとはいえ、一時的には大きなマイナスを強いられることもあります。自分の損の許容範囲に留めておけば、ある程度マイナスになっても心の平静を保つことができます。
反対に何も考えずに大金を投じたりすると、少しでも値が下がると不安でたまらなくなり、挙げ句、売却してしまうということになりかねません。
──どこまで損を受け入れられるかと言われてもなかなか難しいと思うのですが。
まあ、その人の性格などにもよりますからね。ただ、ひとつ言えるのはあまり強気に考えないことです。例えば500万円までなら平気と思っている人でも、200万円、300万円損すると案外いてもたってもいられなくなるものです。そういう意味では自分が大丈夫と思う金額の6割くらいにしておくのがベターかもしれません。
インデックスファンドがベストではないが・・・
──今後もインデックス投資を続ける予定ですか。
もちろんです。ただし、じつは私はインデックスファンドがベストだと思っているわけではないんです。
──というと?
要するに私は世界中のあらゆる企業に分散投資したいんです。けれど、それらを個別に購入するのは現実問題として無理です。だから、仕方ないのでインデックスファンドで運用していますが、いくつか不満もあるんです。
──具体的にどんなところですか。
例えば先進国株式のインデックスファンドというのは、世界中の先進国20数カ国の株式で構成されるのですが、国別構成比を見ると、米国株式が圧倒的に多く、5割以上を占めます。
通常インデックスファンドは「浮動株調整」をするため、米国のような浮動株比率の高い国の比重が高くなりがちなんです。そのため、先進国株式といっても米国市場の動向に影響されやすい。別に米国株がダメというわけではなく、あまりにも偏りすぎではないかということです。
──そういえば吊ら男さんは、全世界株式のインデックスファンドは保有されていませんよね。「全世界」ならば日本も先進国も新興国もすべて含まれるわけですから、これ1本にする手もあると思うのですが。
あれも「全世界」とは名ばかりで、米国の比重がそうとう高いんです。それがあまり……。
──新興国株式のインデックスファンドも国別構成比という点で不満がある?
中国の割合が高いのは経済規模が大きいので仕方ないのですが、それにしてもちょっと高すぎるし、それにインドが低いのも不満です。
──吊ら男さんはインド株式のETF(上場投資信託)を保有していますね。新規購入はされていないようですが(中編一覧表参照)。
新興国の中ではインドに期待をかけています。実は、資源大国と呼ばれる国々にあまり投資していません。資源が豊富だと何もしなくても国は潤うため、人々は努力を怠ります。だから、成長には限界があると考えていて。それに対してインドは、国民の知恵や技術によって成長を目指そうとしているので、有望視しています。
──新興国株のインデックスファンドはインドの比重が低いため、インド株式のETFでバランスを取っているわけですね。
その通りです。インド一カ国に投資するインデックスファンドがないため、ETFを購入しました。
──いずれにしてもインデックスファンドに全幅の信頼を置いているわけではないと。
インデックスファンドよりもバランスよく分散できて、なおかつコストが安いファンドができたら間違いなく乗り換えます。とはいえ、そんな商品が生まれる可能性は高いとはいえない、当面はインデックスファンドメインでいくことになるでしょう。
──では、最後にこれから投資を始める、あるいは投資を始めて間もないビギナーにアドバイスをいただけますか。
私は年平均100万円から150万円程度の利益を出してきましたが、そのくらいの稼ぎで満足できるならばインデックス投資をオススメします。そんな稼ぎでは話にならない、やるなら一攫千金を狙いたいという人は別の方法を模索することです。
あと、いったんインデックス投資を始めたらふらふらしないこと。ちょっといい結果が出ると、欲が出て、高リターン商品に手を出したくなったりするものです。それでうまくいけばいいですが、すべてを台無しにする恐れもあります。一度、投資方針を決めたら、貫き通すべきでしょう。
読者へメッセージ
気楽にいこう
投資したお金が増えたか減ったかを気にするなと言っても気になってしまうかもしれませんが、ズボラ投資なら日々の値動きに一喜一憂せず、むしろ忘れているくらいでいきましょう。人生を楽しく。
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(トウシル編集チーム)
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