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「マーケットの転換点は3月か?・相場の将来予測を相場ソフトは教えてくれる?」

トウシル / 2017年2月23日 0時0分

「マーケットの転換点は3月か?・相場の将来予測を相場ソフトは教えてくれる?」

「マーケットの転換点は3月か?・相場の将来予測を相場ソフトは教えてくれる?」

FRBが3月に利上げなどするわけがない?

昨日FRBが公表した2月1日のFOMC議事録を公表した。【今回の議事録では、トランプ政権の財政面での刺激策からドル高がもたらし得る向かい風に至るさまざまな問題をめぐる不確実性への対応に政策当局者らが苦慮していることが示された。「かなり早期」の利上げをめぐる議論がある一方、短期的なインフレリスクへの懸念がほとんどないことを示唆する発言もあった。議事録では、投票権を持つメンバーの多くは「失業率が中長期的に見て正常といえる水準を大幅にアンダーシュートし、インフレ圧力が顕著に高まるというシナリオが現実化するリスクは低いものにとどまると引き続き予想した」とされた】(2月23日 ブルームバーグ)という。

昨日のマーケットでは、パウエルFRB理事の「年内3回の利上げ予想は妥当」とのヘッドラインでドルが買われたが、FOMC議事録で「大幅なインフレリスクはかなり低いと大半が判断している」ことが判明すると、ドルは急激に売り込まれた。世間では3月にも利上げか?といった基調の報道となっているが、筆者はあのイエレンが3月に利上げするとは考えていない。イエレンはコンセンサスの人で、市場に先駆けて利上げをするような人物ではないからだ。後手に回るので、市場関係者が観ている利上げ時期は、3月でも5月でもなく、6月であろう。その証左として、米国の長期金利は利上げ観測に全く反応していない。

米10年国債金利(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

上記の筆者のシナリオが崩れるとしたら、それは米国株が今後も大幅に上昇する場合であろう。この場合、バブルを抑止するため、FRBは早めの利上げに動く可能性がある。FRBが利上げに動けばドルが買われることになるが、このドル高・金利高は米国株(米企業収益)にとって逆風となろう。そうなると、現在の右肩上がりのイールドカーブ(利回り曲線)の形状にも変化が出てくるかもしれない。イールドカーブがフラット化してくると、米国の株式市場の急落リスクが高まる。

NYダウ(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±0.6シグマ(緑)

(出所:石原順)

米著名投資家ラリー・ウィリアムズは、「GDPが450億ドルの伸びに対して、債務は2.2兆ドルに膨れ上がっている。この対GDPの債務率は過去最大である。金利の引き上げはGDPの低下に直結する。まるで、マイク・タイソンのパンチのように強烈なダメージをもたらす」と述べているが、FRBが急いで金利を引き上げるだけで米国のGDPは下がってしまうのである。

早期の利上げは株式市場に逆風!

今年の相場はトランプの政策や暴言ばかりに目が向いているが、筆者は今年の相場の鍵を握るのは米国の金融政策だと思っている。市場の命運を決めるのは米国の金利とイールドカーブだ。金利上昇の初期相場は、利上げ3回目まで株高と金利高が連動することが多い。トランプ政権で株高が続く条件は長期金利が3%を超えないことだろう。中央銀行バブル相場は言いかえるとゼロ金利バブルであり、ゼロと比べたら何でも買える(運用難の消去法投資)という姿勢で投資が行われてきた。

NYダウ(週足)と米国の金融政策
「トランプは不動産屋。自分の事業が損をするような政策をするはずがない」という思惑でバブル相場がスタートしている。米利上げ3回目までは基本的にリスクオンか?

(出所:石原順)

中央銀行バブル相場の価格構造は、米国の短期金利0%・長期金利1.5%を土台にしている。金利が急激に上がればその構造が崩れ、市場が癇癪を起す可能性がでてくる。金利上昇が<速い>ものになれば、株式は耐えきれず弱含みの展開になる。新債券の帝王ジェフリー・ガンドラックは、「目先の米国長期金利は2.35%を超えてくると経済が悪化する。今後の5年間では、米国長期金利は6%まで上昇する可能性がある」と述べている。

陰鬱博士と呼ばれるマーク・ファーバーは「これまで米国債の買い主力であった海外勢が現在は正味で売り方になっている。まず、2011 年にBRICS 諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国)が米国債の購入をやめた。これはBLICS諸国(ベルギー、ルクセンブルク、アイルランド、ケイマン諸島、スイス)からの買い急増で相殺されたとはいえ、QE3が終了して以降、急増する米国債に対して外国勢は食指を動かさなくなった。しかも、個人投資家は今年、債券市場で大きな含み損を抱えている。正味で売り方になる可能性が高い。必然的な米国債の供給増(財政出動)に対し、どこに買い余力があるだろうか」と、米国金利の上昇に警鐘を鳴らしている。

注目の一般教書と議会の動き

筆者は電話で毎日のように、ブローカーや運用者からのボヤキや嘆き節を聞かされている。「相場が動かない・・」というボヤキである。ドル/円、ユーロ/ドル、日経平均などのチャートを見ていても、日足ベースでは方向感がつかみにくい相場であることは確かだ。

ドル/円(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

ユーロ/ドル(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

日経平均(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±0.6シグマ(緑)

(出所:石原順)

これから3月にかけて、トランプの議会演説や予算教書などで減税等の内容が発表される。ファンドの多くは、これを確認して年前半のストラテジーを組みなおす予定だと述べている。問題はトランプの議会演説や予算教書の内容を受けての議会の対応だろう。トランプと議会の調整は難航しそうで、議会の承認や法改正が必要な減税等の規模は縮小均衡するとみられている。株式市場が上げるか下げるのかわからないが、3月の初旬に相場の転機が到来しそうな気がする。

相場の将来予測を相場ソフトは教えてくれるのか?

先週のレポート『今の相場で収益を上げる実践的売買モデル』で、「現在、NYダウは買いトレンド相場になっており、筆者は買いで相場に参入しているが、NYダウ相場の醍醐味は、むしろ日足以下のタイムフレーム(時間枠)、即ち、1時間足、15分足、5分足といった短期のタイムフレームでトレンドが頻繁に発生していることであろう」と書いたが、タイムフレーム(時間枠)を変えれば、今の相場は決して悪くはない。筆者の周辺のファンドはこの1か月半程度、短期取引で大きな収益を上げている。

NYダウ(日足) 23日AM5:00頃のチャート画面
上段:ボリンジャーバンド(21)±0.6シグマ=赤のバンド
下段:標準偏差ボラティリティ(26)=青いライン

(出所:MT4)

NYダウ(5分足) 23日AM5:00頃のチャート画面
上段:ボリンジャーバンド(21)±0.6シグマ=赤のバンド
下段:標準偏差ボラティリティ(26)=青いライン

(出所:MT4)

下のチャートは、ユーロ/円の昨日の5分足と1時間足(22日PM7:00時頃と23日AM5:00頃)のチャートである。

相場に方向性が出てくると、標準偏差ボラティリティは上昇する。標準偏差ボラティリティが低い位置から上昇する場合は、相場が保ち合いを離れ、強い方向性をもつシグナルとなる。相場に大きなトレンドが発生する可能性のある局面は、標準偏差ボラティリティが上昇し、ボリンジャーバンド±1シグマ(株式インデックスは±0.6シグマ)をブレイクしたときだ。相場がボリンジャーバンド±1シグマ(株式インデックスは±0.6シグマ)の外側にあるうちは、トレンド相場が継続しているとポジションを持ち続けている。手仕舞い(エグジット)は、相場がボリンジャーバンド±1シグマ(株式インデックスは±0.6シグマ)の内側に入った時である。

筆者はボリンジャーバンドの1シグマと標準偏差ボラティリティ(パラメータ26)だけを使って売買しており、エントリーの補助ツールとしてパラボリックSARを使っている。短期取引は好調が続いている。

今回はすこし脱線して、コンピュータがパターン分析やフラクタル分析で未来予測をするチャートを紹介しておこう。

相場をいかに認識するかについて、運用者は日々頭を悩ませているが、将来予測をチャート上に自動的に表示させるアルゴリズムのいくつかを筆者は観測している。ただし、こうした将来予測を使って売買をやっていないことを最初に断わっておく。

パターン認識分析については多くのソフトウェアが販売されており、ジョン・J・マーフィーの相場認識ソフトやエリオット波動分析のソフトなどが有名である。筆者も2000年代からいろいろ検証しているが、相場予測の精度を上げるのは難しいようだ。将来予測分析はリアルタイムで予想を修正していくのが面白い。波動カウントが間違っていたり、過去の相場に似たバターンがないと、予測するのを止めたり修正を施していく。

この手の将来予測は、相場の自己相似性を追求しているフラクタル分析が圧倒的に面白い。フラクタルとは、フランスの数学者ブノワ・マンデルブロが導入した幾何学の概念である。フラクタルアルゴリズム取引が相場の主流となった2000年以降、相場を正しく認識するには、カオス理論の特徴の一つである「自己相似性(フラクタル)」を如何に発見することがカギとなると言われている。あまりにマニアックな話なので、今回はこの辺で止めておく。フラクタル理論で重要なのは、相場の高値・安値をいかに認識するかである。

ユーロ/円(5分足) 22日PM7:00時頃のチャート画面
*赤枠の外の部分が将来予測
上段:ボリンジャーバンド(21)±1シグマ=赤のバンド
下段:標準偏差ボラティリティ(26)=青いライン

(出所:MT4)

ユーロ/円(5分足) 23日AM5:00頃のチャート画面
*赤枠の外の部分が将来予測
上段:ボリンジャーバンド(21)±1シグマ=赤のバンド
下段:標準偏差ボラティリティ(26)=青いライン

(出所:MT4)

ユーロ/円(1時間) 22日PM7:00時頃のチャート画面
*赤枠の外の部分が将来予測
上段:ボリンジャーバンド(21)±1シグマ=赤のバンド
下段:標準偏差ボラティリティ(26)=青いライン

(出所:MT4)

ユーロ/円(1時間) 23日AM5:00頃のチャート画面
*赤枠の外の部分が将来予測
上段:ボリンジャーバンド(21)±1シグマ=赤のバンド
下段:標準偏差ボラティリティ(26)=青いライン

(出所:MT4)

新しいDVD『相場で道をひらく7つの戦略-短期売買実践編』(石原順) が楽天ブックスで好評発売中です。

日々の相場動向についてはブログ『石原順の日々の泡』を参照されたい。

(石原 順)

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