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すかいらーく優待にリスク!? 12月人気優待トップ10:アナリストの選び方

トウシル / 2018年11月29日 8時0分

すかいらーく優待にリスク!? 12月人気優待トップ10:アナリストの選び方

すかいらーく優待にリスク!? 12月人気優待トップ10:アナリストの選び方

 今日は、12月の人気優待銘柄について解説します。

楽天証券の「株主優待検索」を開く

 最初に、12月の人気優待銘柄を「株主優待検索」で調べる方法を解説します。以下をクリックいただくと、楽天証券の「株主優待検索」に入ることができます。ログインは必要ありません。どなたでもお使いいただけます。

 今回は、PC版の操作方法を解説します。スマートフォンでお読みの方は、上記をクリックすると、「楽天証券スマートフォン専用サイトへ移動しますか?」とポップアップが出ます。「OK」をクリックしていただくと、スマホ版の「株主優待検索」が使えます。スマホでも、PC版とほぼ同じ検索が行えます。

 楽天証券ウエブサイトのトップページから、「株主優待検索」を開く場合は、以下の通り、「国内株式 現物・信用」→「株主優待」とクリックしてください。

 

次に、水色の文字で「株主優待検索」と出ているところをクリックしてください。

 

12月の優待銘柄を検索

 優待検索ページを開くと、以下のようになっています。

 

 左側の赤で囲んだ「検索条件を指定」から下の部分で、絞り込み条件を指定します。指定した条件で絞り込んだ結果が、右側に示されます。最初、何も絞り込みの条件をつけていない状態で、1448銘柄が出ています。これが、2018年11月28日時点で、株主優待を実施している銘柄の総数です。

 ここから、お気に入りの優待銘柄を選ぶための「検索条件」を入力していきます。以下に主な検索項目を挙げます(以下の他にも、検索可能な条件はいろいろあります。詳しくは、優待検索を開いてご覧ください)。

▽優待内容

□飲食券・飲食割引券 □食料・飲料品 □名産・特産品 □買物券(百貨店等) □買物券(対象分野限定) □住宅・引越・賃貸関連 □金券 □ファッション・癒し □宿泊・ホテル飲食 □旅行・航空券・乗車券 □趣味・娯楽・レジャー □スポーツ □日用品・電化製品・暮らし □他サービス □おもしろ優待 □自社製品・商品・サービス □男性向け □女性向け □冠婚葬祭 □教育・資格 □資産運用 □継続保有特典

▽権利確定月

□1月 □2月 □3月 □4月 □5月 □6月 □7月 □8月 □9月 □10月 □11月 □12月 □随時・その他

▽優待獲得に必要な最低金額

上限・下限 5万円・10万円・15万円・20万円・30万円・50万円・100万円・150万円

 それではまず、12月に権利が確定する人気優待銘柄を絞り込みましょう。「検索条件を指定」の「注目銘柄」のところで、「12月」をクリックください。12月は170銘柄あります。

 

 最初は、「権利確定日が近い順番」に並んでいます。12月の優待銘柄170の中で、2銘柄(Genky DrugStoresと東邦レマック)だけは、12月17日が、権利付き最終売買日となります。他の168銘柄はすべて、12月の末日に権利確定日で、権利付き最終日は12月25日です。「次回権利付最終日」の欄をご覧いただくと、いつまでに買わないと株主優待や配当金の権利が得られないか、わかります。

12月の優待銘柄を人気順に並び替え

「並び替え」のところを、「人気順」に変えると、人気順に170銘柄が表示されます。ご参考までに、12月の優待銘柄、人気上位10銘柄は以下の通りです。株価の右側の「優待内容」をクリックしていただくと、どのような優待を実施しているかご覧いただくことができます。
 結果に「楽天」が含まれていましたが、「楽天」は投資判断の対象外なので、除外して表示しています。

人気
順位
コード 銘柄名 株価 最低
投資金額
優待内容
1 3197 すかいらーくHD 1,850 185,000 優待内容
2 2914 日本たばこ産業 2,836.5 283,650 優待内容
3 2702 日本マクドナルドHD 5,110 511,000 優待内容
4 7267 本田技研工業 3,161 316,100 優待内容
5 1435 TATERU 412 41,200 優待内容
6 2193 クックパッド 410 41,000 優待内容
7 5301 東海カーボン 1,571 157,100 優待内容
8 4563 アンジェス 443 44,300 優待内容
9 3673 ブロードリーフ 630 63,000 優待内容
10 2503 キリンHD 2,720.0 272,000 優待内容
出所:楽天証券「株主優待検索」
  上記銘柄は、すべて、12月25日(火)が権利付き最終売買日です。12月25日までに買えば権利が得られますが、26日(水)以降に買っても12月末基準の優待権利は得られません。
 なお、優待内容は予告なく変更されることもありますので、常に最新の情報をチェックしてください。楽天証券HPでは、1カ月ごとに優待内容を更新しています。

 

人気トップ10銘柄の業績をチェック

 優待銘柄を選ぶ時、「優待内容の魅力」だけで決める方がいますが、株式投資である以上、最低限、足元の業績はチェックしましょう。まず、人気トップ10の前期(2017年12月期)から今期(2018年12月期)にかけての連結営業利益の推移を見てください。

12月優待人気トップ10の連結営業利益:2017年12月期実績と2018年12月期会社予想(クックパッドのみ市場予想)

  2017年
12月期
実績
:億円
前期比
:%
2018年
12月期
会社予想
:億円
前期比
:%
すかいらーくHD 281 ▲10.1 240 ▲14.6
日本たばこ産業 5,611 ▲5.4 5,320 ▲5.2
日本マクドナルドHD 189 +172.9 235 +24.3
本田技研工業 8,335 ▲0.9 7,900 ▲5.2
TATERU 58 +55.0 30.6 ▲48.1
クックパッド 53 +7.5 27
※市場予想
▲49.1
東海カーボン 114 +915.1 750 +553.0
アンジェス ▲32 赤字 ▲31 赤字
ブロードリーフ 30 +2.0% 39 +29.5
キリンHD 2,110 +7.4% 1,940 ▲8.1
出所:各社決算短信、クックパッドの2018年12月期のみ市場予想(日経QUICKコンセンサス予想)


  以下、トップ10銘柄について、コメントします。

売るべきと考える銘柄:TATERU

 アパート施工・管理を手がけるTATERUは、今年8月31日に建設資金借り入れ希望者の預金残高を改ざん(水増し)して、融資を受けやすくしていた問題が発覚し、株価が急落しました。この問題を受けて、同社のブランド価値は毀損し、アパートプラットフォーム事業の成約数は4~6月の255件から、7~9月は45件に急減しています。この不祥事の顛末がわからない状況で投資すべきでないと考えています。保有していれば、売却した方が良いと考えます。

投資は避けた方が良いと考える銘柄:クックパッド・アンジェス

 料理レシピサイト運営会社クックパッドは、2015年12月期まで、成長企業として投資家の人気が高かった銘柄です。ところが、成長を牽引してきた穐田氏(前社長)が、創業家出身の佐野取締役(現社長)と対立する「お家騒動」が起こって社長を退任してから、業績は低迷しています。2018年1-9月の連結営業利益は、前年同期比50%減の20億円でした。業績回復の道筋が見えない中では、投資を避けた方が良いと思います。

 アンジェスは、東証マザーズ上場の、バイオ・ベンチャー企業です。遺伝子治療薬の開発を進めています。夢はあるものの、成功するか現時点でわかりません。過去10年以上、赤字が続いており、投資リスクはきわめて高いと考えられます。優待銘柄として長期投資するならば、赤字銘柄は避けるべきと思います。

優待銘柄として長期保有して良いと考える銘柄:日本たばこ産業・日本マクドナルドHD・キリンHD

 日本たばこ産業は、予想配当利回り(2018年12月期・会社予想ベース)が、11月28日時点で5.3%と高いことも魅力です。優待が魅力な好配当利回り株として、注目しています。

リスクを理解した上で投資する価値がある思う銘柄:すかいらーくHD・本田技研工業

 すかいらーくについては、後段で詳しく説明します。
 本田は、長期投資で保有していい銘柄だと思いますが、世界景気や為替変動の影響を受けやすく、世界景気の変動にともなって株価が乱高下するリスクに注意が必要です。本田については、以下のレポートの中で解説していますので、ご参照ください。

  11月27日:急落した日産、今が買い?配当利回り5.8%は信頼できるか?

私がファンドマネージャーなら積極的に買いたいが、リスクは高い銘柄:東海カーボン

 東海カーボンは、先に掲載した通り、足元の業績は急拡大しています。業績拡大に株価上昇が追いついていないため、予想PERは11月28日時点で、4.5倍まで低下しています。今後、業績が急激に悪化しない限り、割安株として見直されて株価が上昇する余地が大きいと判断しています。

 業績拡大を牽引しているのは、黒鉛電極です。鉄スクラップを溶かして鉄鋼製品を生産する電炉【注】に必須の中心的素材です。

【注】電炉と高炉
鉄鋼を生産する方式に、電炉法と高炉法がある。電炉では、電気で鉄スクラップを溶融して鉄鋼を生産する。高炉では、鉄鉱石と石炭から、鉄鋼を生産する。

 中国が、国策として、高炉にかたよった製鉄方式を見直して電炉拡大を打ち出したため、黒鉛電極に大量の注文が集中し、2017年後半から需給逼迫が続いています。深刻な品不足が続く中、価格上昇と数量増の両面から、東海カーボンの業績拡大につながっています。同社社長は、中国が急に国策を変更しない限り、ブームは長期化するとコメントしています。

 中国は環境規制を強化し、大気汚染の原因となっている高炉から、電炉への切り替えを急いでいます。国策が急に変更されるリスクはありますが、そうならない限り、来期(2019年12月期)以降も営業利益の拡大が続くと考えられます。来期も増益が続くと見通せるようになれば、PERで割安な同社株が見直されて上昇すると予想しています。

すかいらーくHDの魅力とリスク

 まず、魅力について説明します。すかいらーくは、株主にとても魅力的な利益還元を行っています。2018年について言えば、100株保有する株主に、配当金を年間3,800円払い、株主優待「食事カード」を年間6,000円贈呈する予定です。

 すかいらーくの予想配当利回りは2.1%です。11月28日の終値(1,850円)で100株投資するには、18万5,000円必要です(売買コストを除く)。18万5,000円投資して、1年間で配当金3,800円(税引前)がもらえる予定なので、配当利回りは2.1%となります(年間配当金3,800円を、投資額18万5,000円で割って計算)。

 ただし、株主が受け取れるのは、配当金だけではありません。100株の株主は、3,800円の配当金に加え、優待カード6,000円相当も得られます。配当金と優待カードの価値を合わせると、かなり魅力的なリターンが得られることがわかります。

 すかいらーくが株主に贈る優待券の金額は、保有する株数によって異なります。具体的には、以下の通りとなっています。

すかいらーくが株主に贈呈する株主優待食事カード(2018年11月28日時点)

保有
株式数
年間
合計
6月末
基準
12月末
基準
100~299株 6,000円 3,000円 3,000円
300~499株 20,000円 9,000円 11,000円
500~999株 33,000円 15,000円 18,000円
1000株~ 69,000円 33,000円 36,000円
出所:同社ホームページ

 すかいらーくの優待食事カードは、カフェレストラン「ガスト」、中華レストラン「バーミヤン」のほか、「ジョナサン」「夢庵」「藍屋」「ステーキガスト」「グラッチェガーデンズ」「魚屋路」「とんから亭」など、幅広い店舗で利用できます。「500円単位」で、食事代金から割引されます。優待カードからお釣りは出ませんが、500円単位で使えるので、使いやすいといえます。

 1,000株保有していれば、2018年は1年間で6万9,000円もの優待カードが贈呈されます。

 次に、気をつけなければならないリスクについて書きます。株主優待内容は、突然変更されることもあります。優待魅力で買っている投資家が多い銘柄なので、贈呈される食事カードの金額が減らされると、株価が下がるリスクもあります。

 また、業績動向も見ている必要があります。同社は、2016年12月期に営業最高益312億円を計上した後、2期連続減益で、今期(2018年12月期)の営業利益は、240億円まで減る見込みです。

 人件費の上昇や、店舗運営の合理化・省力化のためのシステム投資のコストが、減益要因です。今期は、天候不順による一時的なコストも発生しています。また、同社は、優待内容を2017年12月期から3倍に増加させていますが、「優待コストの増加」も減益要因となっています。

 ただし、売上は堅調です。魅力ある業態やメニュー作りに成功しているため、前期も今期も増収が続いています。私は、来期(2019年12月)以降、消費税の引き上げはあっても、業績は回復に向かうと予想しています。

 すかいらーくについて重要なリスクと考えているのは、株主優待の大判振る舞いがいつまで続けられるか、現時点ではっきりしないことです。

 すかいらーくは、2017年2月9日に突然、株主優待を2017年から3倍に増やすと発表しました。100株保有する株主に、2016年までは年間2,000円の食事券を贈っていたのですが、それを、2017年から年間6,000円に変更したのです。

 優待券の大判振る舞いを好感して、個人投資家の買いで株価は上昇しました。ところが、株価上昇後の3月、6月、11月と3回に分けて、筆頭株主のベインキャピタル【注】がすかいらーく株の売り出しを発表したのです。ベインは当時発行済み株式数の44%を保有していましたが、3回の売り出しですべて売り切りました。

【注】ベインキャピタルとすかいら-くの関係
すかいらーくは2011年にベインキャピタルの傘下に入り、経営再建し、2014年に東証一部に再上場しました。ベインは、上場直後に発行済み株式の70%を保有していましたが、2015年6月と2017年3月に売却し、保有比率を44%まで低下させていました。

 こうした経緯から、「大株主ベインにすかいらーく株を高値で売り抜けさせるため、優待の大判ぶるまいを発表したのではないか」と疑う声もあります。

 すかいらーくが、どういう意図で株主優待を3倍にしたか、確かなところはわかりません。株主に報いるとともに、株主にすかいらーく店舗のファンになってもらうことを、目的に現在の株主優待が長期的に維持されることを期待したいと思います。ただし、株主優待の内容は、いつでも変更される可能性があることは、頭に入れておく必要があります。
 

 

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(窪田 真之)

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