原油は49ドルまで下落。OPEC減産合意でも、反発は一時的か
トウシル / 2018年12月3日 14時34分
原油は49ドルまで下落。OPEC減産合意でも、反発は一時的か
11月26日~11月30日 原油マーケットレビュー
前週のNY原油相場は反発。需給の緩みを警戒した売りが先行し、WTI期近1月限は一時49.41ドルと、期近ベースとしては昨年10月上旬以来の安値を付けた。しかし、ロシアが石油輸出国機構(OPEC)と強調して減産に乗り出すとの観測が広がり、不安感の後退から買い戻され、プラスサイドへと切り返した。
今週6日に開催される石油輸出国機構(OPEC)総会で、新たな協調減産が合意し、早期に履行される可能性が浮上したことで、市場のムードは強気にシフトした。世界的な過剰供給、高水準な在庫を背景に、OPECらは日量140万バレルほどの協調減産が必要との認識を持っている。この程度の減産では需給がバランスするかには疑問が残るところではあるが、市場均衡に向けて動くか否かが重要。ただし、OPEC盟主のサウジアラビアは単独での減産は実施しない方針を示していた。また、ロシアが協調するか否かも不安要因としてあった。そこへロシアのプーチン大統領が、必要に応じてOPECと共同の取り組みを続ける必要があるとの見解を示した。また、原油価格について、これまで70ドル水準(ブレントベースと推察)が望ましいとしていたが、現行の60ドル前後でも問題ないと述べている。加えて今年前半まで実施してきた協調減産が奏功したこと、そのうえでサウジアラビアのムハンマド皇太子を称賛するなど、サウジ寄りの姿勢を示した格好。これら一連の発言を受け、市場では総会で減産が決定する可能性は高いという見方が広がった。
ただし、足元の需給は引き続き弱い。米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間石油統計で、原油在庫は事前予想を上回る積み増しとなった。これで10週連続の増加。リファイナリーの稼働が高まるなかでも在庫が増えており、オーバーサプライであることは明白な状況にある。さらなる油価下落ともなれば生産コストが意識されるが、現状の原油価格の水準であれば、シェールオイル開発は継続する見通し。すでに稼働している油井に関しても、採算性の高いところでは生産がもう一段増える可能性もある。また、高稼働による原油処理余力の低下に加え、パイプラインやガルフ沿岸の輸出ターミナル建設が進められているが、目先に関しては輸送のボトルネックにより輸出量がある程度限られている。大幅な輸入減ともなれば話は変わるが、傾向からは安定した輸入が続いているため、在庫はしばらく増え続ける可能性が高い。
OPECが減産合意した場合、一時的に買い戻される可能性はあるが、米国の原油需給バランスが極めて弱い状態にあるため、減産幅が市場予想の日量140万バレル程度だと需給緩和感の後退がなかなか進まない可能性が残る。また、油価が急速に戻すと、トランプ米大統領から価格上昇抑制発言が出てくる可能性も。株価の戻りでリスク選好度が回復しているとはいえ、やはり足元の需給の弱さが上値を抑えることは必至。今後年末に向かっていくこともあり、積極的に新規にポジションを構築する動きも限られるだろう。大幅下落の反動から、調整でもそれなりの戻りとなる可能性はあるものの、下落トレンドが終焉を迎えたとの判断は時期尚早とみる。
今週の予想
- WTI やや弱め 48.00-54.00ドル
- BRENT やや弱め 56.00-62.00ドル
(CREEX LLC.)
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