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マザーズ指数が11月に11%高、最大の原動力は外国人!

トウシル / 2018年12月7日 14時52分

マザーズ指数が11月に11%高、最大の原動力は外国人!

マザーズ指数が11月に11%高、最大の原動力は外国人!

11月の新興株<マザーズ、ジャスダック>マーケットまとめ

 最悪だった前月の反動は大きく、11月の新興株市場は回復に向かいました。ただ、回復したのはマザーズだけですが…。11月の月間騰落率は、東証マザーズ指数が+11.44%(10月は▲15.77%)、日経ジャスダック平均が+1.12%(同▲7.00%)。ちなみに、11月は日経平均株価が+1.96%、TOPIX(東証株価指数)が+1.29%ですので、マザーズの上昇率がやたらと輝いていますね。

 マザーズの陰の極となったのは、年初来安値を付けた10月30日でした。ここが価格的にもボトムですが、需給的にも“追証の強制決済売り”のピークだったと言われています。その後、11月は一貫して上昇基調に。手前で陰の極を経験したことで、塩漬け状態になっていた株の処分が大規模に進み、需給的に軽くなった面が大きかったといえそうです。

 その他、マザーズの反発に大きかったと思うのは、①小型株ファンドの申込受付再開、②サンバイオの覚醒、③鬼門の決算発表通過後の外国人買い、の3点が挙げられます。好パフォーマンスで人気のあった小型ファンド3本が、11月2日から申込受付を再開しました。投資信託経由での小型株への資金流入に期待が出てきた…これに好感した向きは多かったと聞きます。個別では、月初に創薬ベンチャーのサンバイオ(4592)が好材料を発表。マザーズの時価総額トップに上り詰める信じられない株価上昇が、指数押し上げに寄与しました。そして、外国人買いの存在。

 11月第1週(5日~9日)に、外国人投資家が東証マザーズ市場で204億円の買い越しとなっていました。これが凄い!データが取得できる2009年以降で振り返っても、週間では最大の買い越し額でした。マザーズで週間200億円買い越しと聞いてもピンと来ないと思われますが、マザーズ市場の時価総額がこの時点では5.6兆円でした。だいたい市場全体の0.35%くらい。これ、東証1部で表現し直せば、週間で2兆円買い越しくらいの感覚です。「そりゃ上がるわ」ですよね。

 この週は米中間選挙のあった週ですが、マザーズ市場で売買代金が急増していたのはそーせい(4565)メルカリ(4385)でした。この2銘柄とも、決算をこの週(11月8日引け後)発表しています。おそらく、外国人が買ったのは、そーせいやメルカリだったのだと推測されます。では、なぜ買ったのか?…これがわかりません。両銘柄とも発表した決算内容にサプライズはありませんでした(普通に良くない決算)。

 これについて、ある株のディーラーがわかりやすい表現をしていました。「メルカリもそーせいも、良い決算が出ないが共通認識だったよね。だから、普通の決算数字でも上がったんだと思う」と。良い決算が出ないというコンセンサスがあり、そこに向けて、おそらく海外ヘッジファンドが空売り株を調達してショートしていて、予想通りの決算を受けて買い戻したのでしょう(=“決算プレー”と呼ばれるイベントドリブン)。個人投資家主体の市場とはいえ、流動性の高い銘柄に関しては、海外ヘッジファンドの関与もかなり大きくなっていることを想像させられました。

11月の売買代金ランキング(人気株)

 前月の11位から、大幅ランクアップでトップになったのがサンバイオ。前月にトップだったALBERTも、2位に落ちましたが売買代金25日移動平均は増加(前月は56.3億円)。このツートップがずば抜けてましたね。

 両銘柄とも11月は大幅高ですので、個人投資家のポートフォリオもこの2銘柄が入っている人が急増したと思います。サンバイオは「SB623」上市の確率の高まり、ALBERTはトヨタ自動車という最強企業との提携関係が買いシナリオ…というのは分かるのですが、今付けている株価(時価総額)が「適当だろう」ということも多くの市場参加者は分かっている気がしますね。「行列が出来ているから、とりあえず並ぶ」という群衆心理が、株価形成にとっての最大ファクターになっているように思います。

市場 コード 銘柄名 11月末
終値
時価総額
(億円)
売買代金
25日移動
平均値
(億円)
月間
騰落率
(%)
東証マザーズ 4592 サンバイオ 8,670 4,310 95.1 135.6
東証マザーズ 3906 ALBERT 14,530 459 81.3 25.6
ジャスダック 3356 テリロジー 1,415 222 34.4 19.0
東証マザーズ 6033 エクストリーム 3,630 196 32.4 -16.3
東証マザーズ 4385 メルカリ 2,725 3,894 30.1 -4.6
ジャスダック 6787 メイコー 2,032 545 28.0 -27.9
ジャスダック 4287 ジャストプラ 1,149 146 27.2 61.6
東証マザーズ 4420 イーソル 6,010 322 26.1 12.8
ジャスダック 2146 UT GROUP 2,636 1,064 24.2 -22.4
東証マザーズ 3990 UUUM 3,830 713 22.0 23.0
東証マザーズ 8789 フィンテック 117 218 21.2 -39.7
東証マザーズ 3996 サインポスト 5,020 515 20.3 5.8
東証マザーズ 4565 そーせい 1,105 843 19.3 26.0
ジャスダック 4582 シンバイオ 219 174 19.1 14.7
ジャスダック 9820 MTジェネック 15,610 169 18.2 19.2
ジャスダック 2702 マクドナルド 5,090 6,768 16.7 2.4
ジャスダック 6324 ハーモニック 3,795 3,655 16.3 10.5
東証マザーズ 4393 バンクイノベ 2,120 83 15.5 31.9
ジャスダック 7564 ワークマン 7,130 2,918 13.8 -0.1%
ジャスダック 6425 ユニバーサル 3,740 2,999 13.6 9.4

売買代金ランキング(5銘柄)

1 サンバイオ(4592・東証マザーズ)

 月初1日、リードパイプライン「SB623」が外傷性脳損傷を対象にした日米フェーズⅡ試験で好結果を示したと発表。このニュースを受け、翌日から4日連続でストップ高に。試験結果を受け、国内証券でも目標株価を劇的に引き上げる動きが相次ぎました(1,420円→7,800円、2,300円→8,800円など)。

 時価総額は4,000億円を超え、トップに君臨していたメルカリを抜いたのが26日。11月末時点のマザーズ指数におけるウエイトは「9.6%」になり、2位のメルカリ(6.8%)と6位のそーせい(2.9%)の合算分にも相当する存在に。新興株市場にとっても、マザーズ指数にとっても、真の中核銘柄となりました。

 

2 ALBERT(3906・東証マザーズ)

(個人投資家に影響力のあるインフルエンサーが、SNS上で頻繁に推奨している形跡もありますが、)前月に続いてトヨタ自動車や東京海上日動火災保険との資本提携による受注拡大への期待が買いストーリーに。

 今年最大の出来高となった10月2日高値14,470円も、28日の取引時間中にブレイク成功。ここから上げが加速したことを見ても、順張り型の短期資金を巻き込んでいるものと見られます。信用買い残が発行済み株数に対して10%を超えた状態で株価が高止まりしており、株価が逆流し始めると下方向に加速しやすそうな銘柄ではありますが…(と見られつつ、半年以上も上がり続けています)。

 

3 メルカリ(4385・東証マザーズ)

 注目された8日の第1四半期(7~9月期)の決算発表は、市場の予想通りで28億円の最終赤字に。フリマアプリ「メルカリ」の国内流通総額は順調に拡大しても、広告宣伝費が響いて赤字…これ、誰に聞いてもそう思ってましたよね。その通りの数字を発表。非開示の通期見通しも相変わらず非開示、これも想定通り。

 まさにコンセンサス通り、何も驚きがなかったことで、空売りしていた海外ヘッジファンドが買戻したことが翌9日の急騰理由と見られます。その後にあっさり下落したところを見ても、買戻し以外の買い手が乏しいとしか表現しようがありません。

 

4 ジャストプランニング(4287・ジャスダック)

 19年10月の消費増税時に、キャッシュレス決済でポイント還元(しかも5%)するという増税対策を政府が提言。国策テーマとして“キャッシュレス”の注目が集まるなかで、19日に観光自治体と連携してキャッシュレス化を進めると発表。

 これで急騰したところで、22日には独自のスマホオーダーシステム「プットメニュー」が丸井の「エポスカード」に対応したと発表。複数の材料が乗ったことで、旬のテーマを持つ関連株の小型銘柄として人気化しました。「プットメニュー」は面白いシステムですので、ぜひホームページでチェックしてみてください。普及すれば画期的!

 

5 UTグループ(2146・ジャスダック)

 昨年株価が3.4倍になったUTグループ。機関投資家の支持が高い同社株ですが、11月はスピード調整しました。これは、11月に米国でも「割高化していたGAFA(アルファベットやアマゾンなど)を機関投資家が一斉に外した」と言われていますが、それと同じ性質の売りと推測されます。中小型株ファンドによる売りでしょう。

 8日に発表した中間期(4~9月期)決算後に急落しましたが、決算内容が失望的だとは到底思えません。決算発表後のリアクションについても、一部国内証券が「過剰反応」と指摘。外国人労働者の受け入れを拡大する入管法改正の恩恵を受け、外国人技能実習生事業が拡大する余地も大きいといえそうです。

11月の株価値上がり率ランキング

 売買代金トップ銘柄が、値上がり率でもトップになったのは本コラム開始来で初。時価総額4,310億円の超大型新興株が、トップ20に入ること自体で相当珍しい現象です。サンバイオは11月だけで時価総額を2,480億円膨らませています。個人投資家は買いオンリーと見られますので、この11月は“サンバイオ長者”がかなり生まれたのでは?

 

 9月、10月と2カ月連続で値上がり率トップだったジャスダックの地域新聞社はランク外に(11月は▲8.6%)。とはいえ、地域新聞社的な銘柄(マイナーで小型のジャスダック銘柄)がランクインする傾向は強いと言えそうですね。11月もトップ20のうち、時価総額100億円未満の小型株が13銘柄。その13銘柄のうち、12銘柄がジャスダック銘柄でした。

市場 コード 銘柄名 月間
騰落率
(%)
11月末
終値
前月末
終値
価格
時価総額
(億円)
東証マザーズ 4592 サンバイオ 135.6 8,670 3,680 4,310
ジャスダック 4241 アテクト 131.3 2,165 936 94
ジャスダック 9685 KYCOM 102.8 716 353 37
ジャスダック 7748 ホロン 90.3 2,221 1,167 74
東証マザーズ 6064 アクトコール 84.6 779 422 60
ジャスダック 6424 高見サイ 72.7 1,986 1,150 90
東証マザーズ 3967 エルテス 68.9 2,127 1,259 109
ジャスダック 3370 フジタコーポ 66.4 1,195 718 17
ジャスダック 3814 アルファクスFS 65.6 2,173 1,312 55
東証マザーズ 3674 オークファン 64.0 1,378 840 137
ジャスダック 4287 ジャストプラ 61.6 1,149 711 146
ジャスダック 7519 五洋インテ 60.2 4,415 2,756 89
東証マザーズ 6046 リンクバル 58.9 1,440 906 281
ジャスダック 3956 国際チャート 54.3 497 322 30
ジャスダック 6276 ナビタス 50.1 578 385 33
ジャスダック 7777 3Dマトリックス 49.4 590 395 156
ジャスダック 6888 アクモス 48.7 452 304 46
ジャスダック 7477 ムラキ 48.6 2,874 1,934 42
ジャスダック 2479 ジェイテック 48.4 380 256 33
東証マザーズ 6030 アドベンチャ 47.7 10,990 7,440 747

値上がり率ランキング(5銘柄)

1 アテクト(4241・ジャスダック)

 10月29日に付けた年初来安値が888円。この時点では、時価総額約39億円の超小型株でした。この状態にあって、好材料視されたのが8日に発表したリリース。直動型ベアリングの世界トップメーカーTHKに、メタル・インジェクション・モールディング部品の供給を開始したと発表。この部品は空前の受注増で、世界的に不足しているのだそう。拡販による業績寄与への期待から、株価は月間2.3倍に。

 

2 アクトコール(6064・東証マザーズ)

 前月10月に、会計処理上疑義のある不動産取引により過去の決算内容を訂正した問題が発覚(この責任をとって代表取締役含めた取締役3人が退任)。信用も株価もドン底まで落ちた状態から、まさかの急騰劇へ。問題発覚前の水準を奪回しました。

 きっかけは、21日に発表した光通信との資本業務提携に関する基本合意の締結。光通信が市場外取引で、筆頭株主から発行済み株数の25%を買い取るという内容でした。そもそも光通信グループに緊急駆け付けサービスを提供しており、事業シナジーが発揮されやすいと解釈されたようです。

 

3 オークファン(3674・東証マザーズ)

 14日に、前18年9月期に売上6割増、営業利益2倍で着地したと発表。さらに今19年9月期のガイダンスでは、今期も売上高26%増、営業利益46%増という高い成長率が続くとの見方を示しました。越境ECニーズを背景に、マーケットプレイス事業が好調。今回の決算発表がきっかけになり、知名度が低かったことも手伝って、市場の関心を自ら手繰り寄せた銘柄といえます。

 

4 ナビタス(6276・ジャスダック)

 12日に発表した文句なし好決算で株価は変貌。中間期(4~9月期)の営業利益は、従来予想を大きく上回る1.37億円(前年同期比168%増)。この時点で、通期予想の1.5億円をほぼクリアしています。それでも通期予想が据え置かれたことで、「上方修正確実!」なる見方が当然のように広がりました。株価は急騰しましたが、それでもPBRは0.8倍台。見落とされていたディープバリュー株が、決算をきっかけに発掘されました。

 

5 アクモス(6888・ジャスダック)

 10月末に発表した第1四半期(7~9月期)決算では、営業利益が前年同期比6.5倍の0.78億円に。業績の変化率が大きく出たことで関心が向かったといえそう。金額の絶対額が小さいため、中間決算以降、上にも下にも振れ幅が大きく出る点には要注意?!
 

12月に注目したい新興株の動き

 12月の新興株市場は、季節的にいえば「上がりやすい月」です。算出が開始された2003年以降、12月の東証マザーズ指数は過去15年中で13年上昇(月間での勝率は約9割!)。過去15年の平均騰落率は+4.1%と良好で、直近でも3年連続で上がっています。ちなみに昨年の12月は+5.6%です。

 年末にかけて新興株が強含む理由としては、「配当の再投資」という需給要因が挙げられます。9月末に権利が落ちた3月決算企業の中間配当は、11月中旬から12月下旬にかけて振り込まれます。東証1部銘柄だけで計算した数字ですが、11月19日~12月27日に支払われる配当金額は総額5.4兆円に上ります(社数は1,076社)。

 この振り込まれた配当分ですが、日本株型の投資信託を運用するアクティブファンド等については株への再投資に回すと見られています。株から生み出されたお金(配当金)が、株に還流することが、平常時には存在しないニューマネー流入として好需給につながると考えられます。

 12月の新興株のトラックレコードは抜群。定量的には、地合いの急激な悪化に賭けるには分が悪そうです。とはいえ…何か気にすべき点はないか?でいえば、今年の12月は無視できない要素が2点あります。今をときめく、サンバイオとソフトバンク(IPOする通信子会社のほう)です。

 まず、サンバイオ。11月の急騰で、東証マザーズ指数に占める構成ウエイトが約1割となっています。サンバイオが一度ストップ安すると、それだけでマザーズ指数が2%弱押し下がるような存在です。指数を押し上げるにも押し下げるにも、大きな影響を手にしています。信用買い残も新興株ではダントツで、金額ベースで約300億円。これは、2位のメルカリの約3倍に及びます。

 そのサンバイオは1月決算銘柄ということもあり、決算発表のタイミングが他の銘柄と異なります。次に発表するのは第3四半期決算ですが、その予定日が「12月14日(金)」。前後では決算プレー(決算前に買う/売るといったイベントドリブン)が予想され、新興株にとっての12月の重要日に位置付けられそうです。

 そしてソフトバンクのIPO。公開規模は過去最大の2.6兆円で、上場予定日は12月19日。IPO株の募集期間中には、IPO株購入のための換金売りも当然出るでしょう。商いが集中する上場日には、短期資金がソフトバンクに向かうでしょう。東証マザーズ市場が誕生してから、これほど大きなIPOはなかったですし、年末12月にこれほど大きなIPOがぶつけられたこともありません。前例が全くないわけです。このIPOが新興株市場にとって吉と出るか、況と出るか…先のことはわかりませんが、ソフトバンクのIPOに大量の個人マネーが向かうことだけは確実。これ自体は、上場日の「12月19日(水)」に向けた新興株にとってネガティブ要因です。年末ラリーに期待するとしても、その後からと見ておくのが無難でしょう。

 

(岡村 友哉)

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