逆イールド&ファーウェイ・ショックで世界株安。日経平均は目先、下値模索か
トウシル / 2018年12月10日 7時30分
逆イールド&ファーウェイ・ショックで世界株安。日経平均は目先、下値模索か
逆イールド・ショックにファーウェイ・ショックが重なり世界株安に
先週の日経平均株価は、1週間で673円下がり、2万1,678円となりました。逆イールド・ショックにファーウェイ・ショックが重なってNYダウが急落、世界株安につながりました。
逆イールド・ショックで、米景気減速の不安が高まりました。さらにファーウェイ・ショックで、米中貿易戦争がエスカレートする不安が高まり、米国・中国景気の先行きを悲観。世界的にリスク・オフが広がりました。
日経平均週足:2018年1月4日~12月7日
逆イールド・ショックは、12月4日に米国の5年債利回りが3年債利回りよりも低くなったことから起こりました。5年金利は3年金利よりも高いのが普通ですが、先週それが逆転。長い金利が、短い金利よりも低くなることを「逆イールド」と言います。逆イールドは、米景気後退の予兆となることがあるため、株売り反応が一斉に出ました。
逆イールド・ショックについて詳しい説明は、以下のレポートをご参照ください。
12月6日:「逆イールド・ショック」で世界株安。7日の米雇用統計で利上げと金利どうなる?
NYダウ週足:2018年1月4日~12月7日
逆イールドだけでなく、以下の事象も米景気に悪影響を及ぼし、2019年の米景気が減速する理由になると考えられています。
【1】今年の米景気を押し上げた大型減税効果が剥落する
【2】米中貿易戦争の悪影響が米景気にも及びつつある
【3】米FRB(連邦準備制度理事会)が利上げを続けている
【4】米IT大手(フェイスブック、アマゾン、グーグルなど)に対し規制や課税強化の動きが広がっている
ファーウェイ・ショックで、貿易戦争が緩和に向かう期待が消え去る
逆イールド・ショックでNYダウが急落した直後、12月5日に飛び込んできたのが、中国の通信機器大手ファーウェイのナンバー2孟晩舟副会長が、カナダで米国の要請により逮捕されていたニュースです。これで米中貿易戦争がさらにエスカレートする不安が強まりました。
12月1日の米中首脳会談直後、貿易戦争はいったん休戦となり、融和に向かう期待が出ましたが、その期待は消え去り再び不安が高まっています。
米中首脳会談で、貿易戦争の休戦に向けての合意があったと見られていましたが、その後の両国の発表を聞く限り、合意にはまだ遠いと考えられるようになりました。
ファーウェイ社の孟副会長が、米国の要請で逮捕されたのは、首脳会談があった12月1日でした。逮捕の容疑は、米国が経済制裁を実施しているイランへ、不正に輸出を行っていたことです。今後、中国の通信大手ZTE社と同様に、ファーウェイ社に対しても、さまざまな制裁が課せられると考えられます。これで米中の合意がさらに難しくなりました。
米国政府は、この件について、「ファーウェイ副会長の逮捕は、安全保障上の問題から行ったことで米中通商交渉とは別」とコメントを出しているが、ハイテク戦争が激しさを増し、通商交渉の合意が難しくなっているのは事実です。
米国政府の意向を受けて、既に、オーストラリア・ニュージーランド政府がファーウェイ製品の締め出しに動いており、日本も名指しはしないものの、実質的にファーウェイやZTEを政府調達から閉め出す方針を発表しました。こうした一連の動きを受けて、日本では、ファーウェイと取引のある半導体や電子部品株、ファーウェイ製の通信機器を使っているソフトバンクGの下落率が大きくなりました。
11月の米雇用統計はやや市場予想より弱いが、引き続き雇用は好調と言える内容
11月の米雇用統計は、非農業部門の雇用者増加数(前月比)が15.5万人増と、事前予想の20万人増を下回り、やや弱い内容でしたが、失業率が3.7%と低水準にあり雇用が強いとの見方は変わりません。注目された平均賃金上昇率(前年比)は3.1%で、3%を超えた状況が続いていますが、特にサプライズはありませんでした。
今週は、英国発のリスクにも注意
ブレグジット(英国のEU離脱)の条件について、英国とEU(欧州連合)の交渉が大詰めを迎えています。4月から離脱の移行期間に入るため交渉期限は来年3月です。それまでに離脱条件について、合意が成立しないとハード・ブレグジット(合意なき離脱)となります。英国とEUの間の通商・経済連携にいきなり大きな障壁ができ、英国・EUともに大きなダメージを受けます。
12月11日、英国議会で、英・EUがまとめた離脱合意の採決が行われます。与党内からも反対派が多く、成立するか予断を許しません。万一、否決されるとハード・ブレグジットのリスクが高まります。
政権が不安定化しているのは、英国だけではありません。フランスでは、マクロン大統領の支持率が低下し、全国で抗議デモが活発化しています。反EU政党の五つ星が政権を握ったイタリアも、いつ反EUに舵を切りかねない状況です。ドイツでも、メルケル首相退任を求める圧力が強まりつつあります。
EU各国で「自国中心主義」「反EU・反移民」を唱える極右・極左勢力が力を持ち始め、政権が不安定化しつつあります。
日本株は、長期的には買い場に入っていると考えています。ただし、短期的には一段の下落を警戒した方が良い環境と考えています。
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(窪田 真之)
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