雨降って地固まらなかった日経平均。「反発狙い」に買いチャンスはあるか?
トウシル / 2018年12月10日 15時10分
雨降って地固まらなかった日経平均。「反発狙い」に買いチャンスはあるか?
2018年相場もいよいよ最後の月に入った先週の国内株市場ですが、週末12月7日(金)の日経平均終値は2万1,678円となりました。週足ベースで下落に転じ、前週末終値(2万2,351円)比では673円安、そして節目の2万2,000円台も下回ってしまいました。
「掉尾の一振(とうびのいっしん)」という相場格言があるように、12月の相場は年末株高に向けての期待が高まりやすい傾向にありますが、いきなり出鼻をくじかれてしまった格好です。相場のムードが決して明るいとは言えない中、テクニカル分析の視点で、今後の見通しのヒントになるものはないか、取引タイミングのポイントはないのかについて探ってみたいと思います。
早速、足元の状況から確認します。下の図1は日足の日経平均チャートです。
■(図1)日経平均(日足)の動き(2018年12月7日取引終了時点)
「アフター米中首脳会談」で迎えた先週の日経平均は、週初の12月3日に上昇でスタートしました。「窓」空けで75日移動平均線に乗せ、この日の高値(2万2,698円)は、11月8日の直近高値(2万2,583円)も超えてきました。前回のレポートでも指摘した通り、交渉が破談して貿易戦争が激化してしまうのを回避できたことと、来年1月に予定されていた2,000億ドル相当分の中国製品に対する関税率の引き上げを90日間猶予して時間を稼いだことについて、ある程度評価されたと考えられます。
ただし、米中摩擦の長期化と先行きの不透明感の構図は変わっておらず、今回の会談結果を好感する買いは長く続きませんでした。さらに、米国債の長短利回りが逆転する「逆イールド」の状態が発生して米国景気のピークアウトが警戒されたり、中国のハイテク企業である華為(HuaWei)の幹部がカナダで逮捕されて、米中関係の悪化が懸念されたりするなどの悪材料が重なり、その後の日経平均は下げ足を速めてしまうことになりました。
日経平均は75日移動平均線乗せから、今度は25日移動平均線の下抜けへと動き、また、下の図2のように、エンベロープで見ても、25日移動平均線のプラス3%水準からマイナス3%水準へと下げているほか、MACDも0円ラインを上抜けできずに下向きとなり、シグナルも下抜けてしまいました。11月下旬からの日経平均が「イイ感じ」で戻していただけに、相場の地合いがガラリと反転した印象です。
■(図2)日経平均(日足)エンベロープとMACD(2018年12月7日取引終了時点)
では、このまま日経平均が下げ続けてしまうのかというと、現時点ではまだ判断できない面があります。
あらためて図1に目を向けると、直近の安値どうしを結んだ線のところでかろうじて踏ん張っており、「悪材料が重なった割には頑張った」と考えることができるからです。今週は安くスタートしそうですが、週末の時点でこの線を維持できるかが注目点のひとつになります。
また、先週の株価下落の要因となった「逆イールド」についても、今回、長短金利が逆転したのは米国の2年債と5年債です。一般的に注目されるのは2年債と10年債の逆転であるほか、逆イールドが発生してから、実際の景気後退までにはある程度のタイムラグがあることを踏まえると、先週の国内外の株式市場の反応は、米国景気のピークアウトに対して先取りし過ぎた面も少なからずあると思われ、買い戻しの展開があってもおかしくはありません。
ただし、米中関係の悪化が懸念されるほか、さらに今週は英国でEU離脱協定案の議会採決が控えていること、そして週末にはメジャーSQが控えていますので、今週が波乱含みである点は要注意です。値動きの振れ幅が大きくなる可能性があるため、株価が下げたところを拾う押し目買いよりも、反発からの戻りを狙う買いの方が有効かもしれません。
そうは言っても、この反発狙いの見極めとタイミングの判断は難しいものがあります。そこで、今回はその目安としてRSIの「逆行現象」に注目する見方を紹介します(下の図3)。
■(図3)日経平均(日足)とRSI(2018年12月7日取引終了時点)
「逆行現象」とは、株価の動きとRSIの動きの向きが反対になる状態のことです。RSIをはじめ、サイコロジカルラインやストキャスティクスなど、いわゆる「オシレーター系」のテクニカル指標には、しばしばこの逆行現象に注目する見方が登場します。
逆行現象には、トレンドの反転を示す「トレンド転換型」と、トレンドの継続を示す「トレンドフォロー型」の二つが存在するのですが、ここで注目するのは「トレンド反転型」です。
今回は細かい説明を省きますが、具体的には株価が下方向に安値を更新していく一方で、RSIが上向きになっている状況を捉えます。実は上の図3のように、この状況が10月の急落時に出現していて、その後の株価はしばらく戻り基調を演じました。
トレンド反転型の逆行現象は下落トレンドの終盤で現れやすい傾向があります。株価が安値を更新しながら下がった後に反転の動きを見せたとき、RSIが逆行現象となっていれば、ひとまず下げ止まりの目安になるほか、その後は戻りを試す展開になる可能性が意識されやすくなります。
トレンド転換の判断材料として、これまで平均足とMACDの組み合わせ(平均足の転換とMACDとシグナルのクロス)について紹介したことがありましたが、さらに波乱含みの展開が想定される際には、RSIの動向もチェックすると良いかもしれません。
(土信田 雅之)
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