ディープ・バリュー株を見直し:ディフェンシブ5銘柄+景気敏感6銘柄を紹介
トウシル / 2018年12月13日 7時59分
ディープ・バリュー株を見直し:ディフェンシブ5銘柄+景気敏感6銘柄を紹介
景気先行きに不透明感。ディフェンシブな大型ディープ・バリュー株に注目
今日は、昨日のレポートの続きです。昨日の要約は、以下の通りです。
昨日のレポート要約
世界景気は、2019年に減速、20年に回復と予想。2019年の世界景気が停滞か後退か、株式市場は手探り中。日本株は、前半、景気減速で低迷、後半に2020年の景気回復を織り込んで上昇と予想。日本株ポートフォリオで、今はディフェンシブ株を多めに、景気敏感株を少なめに保有すべきと判断。
今日のレポートでは、今、持つならばどのような株が良いか、私の考えをお伝えします。結論からいうと、「ディフェンシブな大型ディープ・バリュー株」が良いと思います。いきなりカタカナだらけで、意味不明だったかもしれません。まず、言葉の意味を説明します。
◆ディフェンシブ=防衛的
世界景気や為替変動の影響を受けにくいビジネスをやっている企業の株を、ディフェンシブ株と言います。医薬品、食品、電鉄、情報通信、日用品小売り、サービス業などの業種に多いです。景気が悪化するときに、株価の下落率が相対的に小さいと期待されます。ただし、景気変動の影響が相対的に小さいだけで、影響を受けないわけではありません。また、株である以上、短期的に乱高下することもあります。
◆ディープ・バリュー=激安(とても割安)
株価指標から割安な株を「バリュー株」といいます。中でも、株価指標から見た割安度が際立っているものを「ディープ・バリュー株」といいます。
株価の割安度を測る最も代表的な指標は、PER(株価収益率)です。株価が1株当たり利益(今期予想)の何倍まで買われているか、示します。PERが高いと「株価は割高」、PERが低いと「株価は割安」と判断します。東証一部の平均PERは、12月12日時点で13.6倍です。それより、PERが大幅に低い銘柄は、ディープ・バリュー株の候補となります。
詳しい説明は割愛しますが、PBR(株価純資産倍率)が1倍を割れている銘柄や、予想配当利回りが4%を超えているような銘柄も、ディープ・バリュー株の候補となります。
ただし、ディープ・バリュー株を買ったら必ず値上がりするわけではありません。株価指標で見て割安な銘柄がさらに売り込まれることもあります。たとえば、PERが低い銘柄が、業績予想の大幅下方修正を発表すると、PERが高くなるので、割安だったはずの株が割安ではなくなります。また、配当利回りの高い銘柄が減配を発表すると、配当利回りが下がるので割安ではなくなります。そうなると、株価が下がることもあります。
以下に、筆者がディフェンシブな大型ディープ・バリュー株の候補と考える銘柄を挙げます。
ディフェンシブな大型ディープ・バリュー株の候補
コード | 銘柄名 | 業態 | 株価 :円 |
配当 利回り :% |
PER :倍 |
PBR :倍 |
---|---|---|---|---|---|---|
8306 | 三菱UFJ FG | メガバンク | 587.2 | 3.7 | 8 | 0.5 |
8316 | 三井住友FG | メガバンク | 3,910.0 | 4.3 | 8 | 0.5 |
2914 | 日本たばこ産業 | タバコ | 2,854.0 | 5.3 | 14 | 1.9 |
9433 | KDDI | 通信 | 2,651.0 | 3.8 | 10 | 1.5 |
9437 | NTTドコモ | 通信 | 2,575.0 | 4.3 | 14 | 1.6 |
出所:楽天証券経済研究所が作成。配当利回りは、1株当たりの年間配当金(会社予想)を12月12日の株価で割って計算。PERは、12月12日株価を今期1株当たり利益(会社予想または会社目標)で割って算出 |
景気敏感株にも分散投資。ディープ・バリュー景気敏感株とは?
私は、来年、世界景気が減速すると考えていますが、景気停滞で済むか、景気後退まで行くか、現時点でよく分かりません。もし景気停滞で済むならば、株価指標で見てとても割安なところまで売り込まれている景気敏感株は、買っていって良いと思います。
来年の景気についてリスクはありますが、景気停滞で済む可能性もあるので、ディープ・バリュー景気敏感株にも、分散投資した方が良いと思います。
以下に、筆者が、景気敏感ディープ・バリュー株の候補と考える銘柄を挙げます。
景気敏感ディープ・バリュー株の候補
コード | 銘柄名 | 業態 | 株価 :円 |
配当 利回り :% |
PER :倍 |
PBR :倍 |
---|---|---|---|---|---|---|
3436 | SUMCO | 半導体材料 | 1,412.0 | 4.2 | 7 | 1.5 |
5301 | 東海カーボン | 黒鉛電極 | 1,430.0 | 1.7 | 4 | 1.7 |
5108 | ブリヂストン | タイヤ | 4,560.0 | 3.5 | 11 | 1.4 |
7267 | 本田技研工業 | 自動車 | 3,082.0 | 3.6 | 8 | 0.6 |
8058 | 三菱商事 | 総合商社 | 3,126.0 | 4.0 | 11 | 0.9 |
8031 | 三井物産 | 総合商社 | 1,726.0 | 4.6 | 7 | 0.7 |
出所:楽天証券経済研究所が作成。配当利回りは、1株当たりの年間配当金(会社予想)を12月12日の株価で割って計算。PERは、12月12日株価を、今期1株当たり利益(会社予想)で割って算出 |
世界景気の減速が予測される中、景気敏感株に投資するのは当然リスクがあります。短期的な景気予測に賭けるのではなく、中長期(景気1サイクル:3~4年)投資の候補銘柄を考えた方が良いと思います。
以下、上記銘柄を簡単にコメントします。
◆SUMCO
半導体シリコンウエハで世界シェア高い。半導体メモリの需給が緩和して、半導体ブームがピークアウトしつつありますが、シリコンウエハの需給逼迫は続いており、SUMCOの業績は好調が続くと見ています。半導体関連株が軒並み大きく下がる中、株価指標から見て割安になったSUMCOに投資妙味を感じます。
◆東海カーボン
黒鉛電極で世界シェア高い。黒鉛電極の供給不足が深刻で市況が上昇、その恩恵で利益が拡大。株価が伸び悩んでいるので、PERは4倍まで低下。黒鉛電極は、電気炉で鉄スクラップを溶融して鉄鋼製品を作るのに使う中核素材。中国が国策として、電炉拡大をはかっているため、需要が急拡大しています。中国の国策が変更されるリスクはあるが、国策が変更されなければ、需給逼迫は2~3年以上続くと考えられます。
◆ブリヂストン
自動車タイヤで世界トップ。米国で高いブランド力。補修タイヤが高収益で、トヨタより利益率が高く、世界景気変動の影響を、トヨタほど受けないと考えられます。米国での現地生産比率が高く、貿易戦争のターゲットとなるリスクが相対的に低いと考えています。
◆本田技研工業
世界景気減速が予測される中、貿易戦争に巻き込まれるリスクもある自動車株に今投資するリスクは高いと思います。ただし、株価指標で見て、とても割安になっているので、少し投資しても良いと考えています。東南アジアなど新興国では二輪車を生活にも仕事にもフル活用していますが、そこで、本田が高いブランド力があり、安定的に収益を稼いでいることは、評価できます。
◆三菱商事、三井物産
両社とも、資源事業の比率が高いことで知られていますが、最近、原油が急落したため、株価が下落しました。両社とも、近年は非資源事業を拡大することで、最高益を更新してきています。株価指標で見て、とても割安となっているので、投資していって良いと考えています。
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