「底割れ」の寸前で耐え忍ぶ日本株。報われたいそのガマン
トウシル / 2018年12月17日 12時10分
「底割れ」の寸前で耐え忍ぶ日本株。報われたいそのガマン
先週の国内株市場ですが、週末12月14日(金)の日経平均は2万1,374円で取引を終えました。前週末終値(2万1,678円)比では304円安、さらにその前の週が673円安でしたので、日経平均はここ2週間で997円と1,000円近く下落したことになります。
足元の相場は相変わらず軟調ムードが優勢ですが、いつもの通り足元の状況から確認します。
■(図1)日経平均(日足)の動き(2018年12月14日取引終了時点)
先週の日経平均の値動きを振り返ると、下落で始まった後に買い戻され、かと思えば、再び下落に転じる展開でした。
上の図1で具体的に見ていくと、週初の10日(月)は「窓」空けの下落スタート、翌11日(火)も続落だったのが、12日(水)には一転して大きく上昇しました。そして、13日(木)には25日移動平均線の水準まで値を戻したものの、週末14日(金)の反落によって、その株価の戻り幅が打ち消されたしまった格好です。
結局は2週連続で下げたわけですが、実を言うと、先週の値動きが週足ベースで続落したことよりも、もっと重要な意味が含まれています。ポイントになるのは、株価が反発して大きい陽線を見せた12日(水)のローソク足です。
というのも、前週末の7日(金)〜11日(火)のローソク足の並びに注目すると、「下放れ二本黒」という形が出現していたからです。下放れ二本黒は、窓空けの下落と陰線が2本続くという形で、その後の株価下落が加速しやすいとされる要警戒のサインです。つまり、12日(水)に株価が反発したことで株価の底割れが回避されたことになります。
前回のレポートでも、「下値を結んだ線の維持が焦点になる」と指摘しましたが、この線からも離れないように踏ん張っているようにも見えます。
また、日経平均は10月の急落後、その下落幅の半値戻しの水準超えを回復できないまま、上げ下げを繰り返す状況が続いています。同様の展開は今年の前半にも見られ、当時はアップダウンしながら下値を更新していたのですが、今回は急落時の下値を今のところ下回っていない状況です。
従って、これまでの株価が底割れの寸前で耐え忍んできたため、そろそろ戻りを期待しても良いのではと考えることも可能です。そこで、別のテクニカル指標でもチェックしてみます。下の図2は今年に入ってからの日経平均とDMI(ディレクショナル・ムーヴメント・インデックス)の推移です。
■(図2)日経平均(日足)とDMI(2018年12月14日取引終了時点)
DMIとは、相場のトレンドの有無と強弱を探ろうとするために生み出された指標で、3本の線で構成されています。上昇の強さを+DI、下落の強さを−DIで示し、トレンドの強さと継続性をADXが表しています。
今回注目するのはADXです。ADXはその値が高いほどトレンドに強さと勢いがあることを示すのですが、足元のADXは低位での推移が続いていて、株価の値動きは荒い割にトレンドに方向感が出ていないことが分かります。今年の前半の展開でも、株価急落後のもみ合いから反発に転じる際にADXが低くなっていますので、最近のADXの低迷を前向きに捉えれば、日柄調整が順調に進み、次の展開に備えつつあると見ることができます。
その一方で、同じ株価指数のTOPIX(東証株価指数)に目を向けると、こちらは先週に年初来安値を更新する場面があり、週足チャートで見ても、上値と下値が切り下がる形となっているほか、3本の移動平均線(13週・26週・52週)がそろって下向きのため、下落トレンド色が強まっています。
■(図3)TOPIX(週足)の動き(2018年12月14日取引終了時点)
日経平均の週足チャートでも、株価が52週移動平均線を下回っている展開が続いているほか、13週移動平均線が26週・52週移動平均線を下抜けるデッドクロスとなっています(下の図4)。
■(図4)日経平均(週足)の動き(2018年12月14日取引終了時点)
さらに、52週移動平均線も含めると3本の移動平均線の距離がとても近くなっています。14日(金)の取引開始時点で13週が2万2,416円、26週が2万2,461円、52週が2万2,412円ですので、TOPIXのように、日経平均も状況が悪化する可能性が高い点には注意が必要です。
今週はクリスマス休暇で取引参加者が少ない中、FOMC(米連邦公開市場委員会)や日銀会合などの金融政策イベントが控えていることや、ソフトバンクの上場など年末に向けてIPOラッシュとなります。よって、株価が反発するためには、もう少しガマンが求められることになりそうです。
(土信田 雅之)
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