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12月人気優待、権利落ち直前の株価チェック:すかいらーく・JT・日マクド・キリンなど

トウシル / 2018年12月19日 8時0分

12月人気優待、権利落ち直前の株価チェック:すかいらーく・JT・日マクド・キリンなど

12月人気優待、権利落ち直前の株価チェック:すかいらーく・JT・日マクド・キリンなど

 12月末の人気優待銘柄を今から買うのは有利か、直前の株価の動きを見ながら考えます。

12月末に権利が確定する株主優待銘柄の、権利付き最終売買日は12月25日

 12月25日(火)は「権利付き最終売買日」、26日(水)は「権利落ち日」となります。

<2018年12月末(大納会=年内の最終売買日:28日)が権利確定日の場合>

注:楽天証券が作成

 

 2018年12月25日(火)は、2018年12月末基準の配当金や株主優待を受け取るための、「権利付き最終売買日」です。12月25日までに株を買うと、12月末の株主に与えられる配当金や株主優待を得る権利が確定します。気をつけなければならないのは、12月26日(水)に買っても、12月末基準の配当金や株主優待を受け取る権利は得られないことです。12月26日を「権利落ち日」といいます。

 

株主優待が魅力的な優待銘柄を、権利付き最終売買日に買うのは、有利か?

 買ってすぐに株主優待や配当金を受け取る権利が確定するので「お得」に感じる人が多いようです。そのため人気の優待銘柄では、権利付き最終売買日に向けて、権利取りの買いが増えます。

 ただし現実には、権利付き最終売買日の直前に買って「お得」とは限りません。かえって損なこともあります。権利付き最終売買日の買いが「得」か「損」かは、直前の株価の動きによって決まります。

 人気の優待銘柄は、権利付き最終売買日に向けて、権利取りの買いで大きく上昇することがあります。その場合、権利落ち日に株価が大きく下がる可能性が高くなります。配当金や株主優待を受ける権利が得られても、その価値以上に、株価が大きく下がっては意味がありません。権利取り直前に株価が大きく上がっている銘柄の買いは見送るべきです。

 

日経平均下落で安くなった銘柄が多い。逆行高のすかいらーくは要注意

 日経平均が急落しています。長期投資で良い買い場と判断しています。株価下落で割安になっている12月優待銘柄は、今から買って良いと思います。

 ただし、人気の優待銘柄の中には、日経平均が急落しているにもかかわらず株価が上昇しているものもあります。そういう銘柄の買いは控えた方が良いと思います。それが、12月優待の人気トップ「すかいらーくHD」です。足元、日経平均が下落する中で、逆行高しています。

すかいらーくHD週足:2018年7月2日~12月18日

 すかいらーくHDは、株主優待人気がきわめて高いので、12月末の優待権利を取るための買いが入って、株価が高止まっている可能性もあります。

 業績は、足元あまり良くありません。2016年12月期に最高益を更新した後、今期まで、2期連続減益となる見通しです。人件費上昇や、店舗運営コスト削減のためのシステム開発費が、減益要因となっています。

すかいらーくHDの連結営業利益:前期実績と今期会社予想

出所:同社決算短信

 

 私は、すかいらーくHDは、店舗運営コスト削減の効果などで、来期以降、増益に戻ると予想しています。魅力的な店舗開発に成功しており、中長期的に収益を伸ばす余地があると考えています。中長期投資では買っていきたい銘柄ですが、権利取りと見られる買いで上昇した今は、買いを控えるべきと考えています。

12月優待人気トップ10

 今日のレポートは、以下のレポートの続編です。
 11月29日:すかいらーく優待にリスク!?12月人気優待トップ10:アナリストの選び方

 11月29日のレポートに掲載した、12月優待の人気トップ10【注】を以下に再掲します。

【注】人気トップ10:楽天証券での保有者が多い順に人気が高いとみなし、ランキングを作成。「楽天」株は投資判断の対象外なので除外して表示。

12月の人気優待銘柄トップ10:2018年12月18日時点【単位:円】

人気
順位
コード 銘柄名 株価 最低
投資金額
優待内容
1 3197 すかいらーくHD 1,903 190,300 優待内容
2 2914 日本たばこ産業 2,831 283,100 優待内容
3 2702 日本マクドナルドHD 4,945 494,500 優待内容
4 7267 本田技研工業 3,028 302,800 優待内容
5 1435 TATERU 349 34,900 優待内容
6 2193 クックパッド 332 33,200 優待内容
7 5301 東海カーボン 1,396 139,600 優待内容
8 4563 アンジェス 387 38,700 優待内容
9 3673 ブロードリーフ 568 56,800 優待内容
10 2503 キリンHD 2,343 234,250 優待内容
出所:楽天証券「株主優待検索」

 優待内容は、予告なく変更されることもありますので、常に最新の情報をチェックしてください。楽天証券HPでは、1ヶ月ごとに優待内容を更新しています。

 

11月29日のレポートに記載した投資判断を、株価変動を勘案して見直し

 まず、足元の業績をチェックしましょう。人気トップ10の前期(2017年12月期)から今期(2018年12月期)にかけての連結営業利益の推移を見てください。

12月優待人気トップ10の連結営業利益:2017年12月期実績と2018年12月期会社予想(クックパッドのみ市場予想)

  2017年
12月期
実績
:億円
前期比
:%
2018年
12月期
会社予想
:億円
前期比
:%
すかいらーくHD 281 ▲10.1 240 ▲14.6
日本たばこ産業 5,611 ▲5.4 5,320 ▲5.2
日本マクドナルドHD 189 +172.9 235 +24.3
本田技研工業 8,335 ▲0.9 7,900 ▲5.2
TATERU 58 +55.0 30.6 ▲48.1
クックパッド 53 +7.5 27
※市場予想
▲49.1
東海カーボン 114 +915.1 750 +553.0
アンジェス ▲32 赤字 ▲31 赤字
ブロードリーフ 30 +2.0% 39 +29.5
キリンHD 2,110 +7.4% 1,940 ▲8.1
出所:各社決算短信、クックパッドの2018年12月期のみ市場予想(日経QUICKコンセンサス予想)

 

 以下、トップ10銘柄について、11月29日時点の投資判断を再掲し、さらに足元の株価変動を勘案したコメントも付けます。

売るべきと考える銘柄:TATERU

 → 11月29日以降、株価はさらに15%下がったが、売り判断変わらず

 アパート施工・管理を手がけるTATERUは、今年8月31日に建設資金借り入れ希望者の預金残高を改ざん(水増し)して、融資を受けやすくしていた問題が発覚し、株価が急落しました。この問題を受けて、同社のブランド価値は毀損し、アパートプラットフォーム事業の成約数は4-6月の255件から、7-9月は45件に急減しています。この不祥事の顛末がわからない状況で、投資すべきでないと考えています。保有していれば、売却した方が良いと考えます。

 

投資は避けた方が良いと考える銘柄:クックパッド・アンジェス

 → 11月29日以降、クックパッドは19%、アンジェスは13%株価が下がったが、投資を避けた方が良いとの判断は変わらず

 料理レシピサイト運営会社クックパッドは、2015年12月期まで、成長企業として投資家の人気が高かった銘柄です。ところが、成長を牽引してきた穐田氏(前社長)が、創業家出身の佐野取締役(現社長)と対立する「お家騒動」が起こって社長を退任してから、業績は低迷しています。2018年1-9月の連結営業利益は前年同期比50%減の20億円でした。業績回復の道筋が見えない中では、投資を避けた方が良いと思います。

 アンジェスは、東証マザーズ上場のバイオ・ベンチャー企業です。遺伝子治療薬の開発を進めています。夢はあるものの、成功するかどうか現時点でわかりません。過去10年以上、赤字が続いており、投資リスクはきわめて高いと考えられます。優待銘柄として長期投資するならば、赤字銘柄は避けるべきと思います。

 

優待銘柄として長期保有して良いと考える銘柄:日本たばこ産業・日本マクドナルドHD・キリンHD

 → 11月29日から日本たばこ産業は0.2%、日マクドナルドは3.2%株価が下がったが投資判断は変わらず。キリンHDは株価が14%下がり、投資魅力がさらに高まったと判断。

 日本たばこ産業は、予想配当利回り(2018年12月期・会社予想ベース)が、12月18日時点で5.3%と高いことも魅力です。優待が魅力な好配当利回り株として、注目しています。

 

リスクを理解した上で投資すべき銘柄:すかいらーくHD・本田技研工業

→ 11月29日からすかいらーくHDは株価が3%上昇、優待取りで株価が高止まりしている可能性あり。現時点では投資を控えたほうが良いと判断。本田は、株価が4%下落。投資判断変わらず

 本田は、長期投資で保有していい銘柄だと思いますが、世界景気や為替変動の影響を受けやすく、世界景気の変動にともなって株価が乱高下するリスクに注意が必要です。

 

私がファンドマネージャーなら積極的に買いたいが、リスクは高い銘柄:東海カーボン

→ 11月29日から株価は11%下落。リスクは高いが、積極的に投資してみたい銘柄との見方は変わらず。

 東海カーボンは、先に掲載した通り、足元の業績は急拡大しています。業績拡大に株価上昇が追いついていないため、予想PERは12月18日時点で、4.0倍まで低下しています。今後、業績が急激に悪化しない限り、割安株として見直されて株価が上昇する余地が大きいと判断しています。

 業績拡大を牽引しているのは、黒鉛電極です。鉄スクラップを溶かして鉄鋼製品を生産する電炉【注】に必須の中心的素材です。

【注】電炉と高炉
鉄鋼を生産する方式に、電炉法と高炉法がある。電炉では、電気で鉄スクラップを溶融して鉄鋼を生産する。高炉では、鉄鉱石と石炭から、鉄鋼を生産する。

 中国が、国策として、高炉にかたよった製鉄方式を見直して電炉拡大を打ち出したため、黒鉛電極に大量の注文が集中し、2017年後半から需給逼迫が続いています。深刻な品不足が続く中、価格上昇と数量増の両面から、東海カーボンの業績拡大につながっています。同社社長は、中国が急に国策を変更しない限り、ブームは長期化するとコメントしています。
中国は環境規制を強化し、大気汚染の原因となっている高炉から電炉への切り替えを急いでいます。国策が急に変更されるリスクはありますが、そうならない限り、来期(2019年12月期)以降も営業利益の拡大が続くと考えられます。来期も増益が続くと見通せるようになれば、PERで割安な同社株が見直されて上昇すると予想しています。

 

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