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2019年の日本株:どんな年になるか? 投資戦略は?

トウシル / 2018年12月25日 7時33分

2019年の日本株:どんな年になるか? 投資戦略は?

2019年の日本株:どんな年になるか? 投資戦略は?

 今日は、2019年の日本株見通しをお伝えします。

2019年1~3月は「世界景気悪化を織り込む局面」、4~12月は2020年の世界景気回復を織り込む局面と予想

 2019年の日本株は、3月安値・12月高値と予想しています。年初安、年末高のパターンです。年初は、2019年の世界景気悪化を織り込んで、日経平均株価は軟調に推移すると思われます。ただし、2019年4月以降は、2020年の世界景気回復を織り込んで、上昇に転じると考えています。

 日経平均の3月安値は1万8,000~2万円、12月高値は2万3,000~2万5,000円と予想しています。

 株価低迷が続く1~3月が日本株の良い「買い場」になると判断しています。

2019年1月には、世界景気減速を示す指標の発表が増えると予想

 年初は、世界景気悪化を織り込む局面と考えています。2018年に最初に変調を来したのは、中国でした。貿易戦争の影響で、設備投資に急ブレーキがかかっています。中国に工場を作って欧米に輸出するビジネスモデルが維持できるか疑問符がついたため、中国での設備投資計画を一時凍結する企業も出ています。

 米国景気は今のところ好調ですが、2019年には減速が鮮明になると考えています。米景気が減速局面に入っていることに気づくのは、経験則では1月が多いと言えます。10~12月期は、クリスマス商戦があり季節的に経済活動が活発なので、景気が減速局面に入っていても気づきにくいからです。季節的に経済活動が停滞する1~3月に、景気が減速局面に入っていることに気づくことが多くなります。

 GDP(国内総生産)規模で世界第1位の米国と、第2位の中国景気の調子が冴えないと、世界全体に景気減速感が広がるでしょう。当然、日本も影響を受けます。中国景気の減速、資源価格下落を受けて、設備投資関連株や、素材・市況関連株の業績が悪化すると考えられ、今期(2019年3月期)の企業業績(会社予想)は、今後、下方修正が優勢になると思います。

東証1部上場3月期決算、主要841社の純利益(前期比):2016年3月期実績~2019年3月期予想

出所:楽天証券経済研究所が作成

世界景気減速を織り込んだ世界株安は2018年10月から既に始まっている

 日経平均は、2018年10月以降、下げ足を速めています。NYダウ平均株価や独DAX株価指数も下げ足を速め、世界株安の様相を呈しています。

日本・米国・ドイツ・中国の株価指数推移:2017年12月末~2018年12月21日

注:2017年末の値を100として指数化、楽天証券経済研究所が作成

 経験則では、株は、景気循環よりも半年から1年先に動きます。ということは、今の日経平均は、2019年の半ばから終わりごろの景気を織り込んで動いていると、考えられます。

 2018年10月から世界株安が始まっていますが、それは、2019年半ばから始まる世界景気悪化を先んじて織り込み始めているとも考えられます。

日経平均株価と、日本の景気循環:1999年1月~2018年12月(21日まで)

出所:景気後退期・拡大期の認定は内閣府、景気停滞期の判断は楽天証券

 上のグラフをご覧いただくと分かる通り、ITバブル崩壊による景気後退(2000年11月~2002年1月)、リーマンショック前後の景気後退(2008年2月~2009年3月)では、景気がピークアウトする半年~1年前に、日経平均はピークアウトしています。

 上のグラフで、さらに注目していただきたいのは、赤で「景気停滞」と書いたところです。3カ所あります。2004年7~12月の景気停滞(「景気踊り場」と呼ばれる)、2014年4月~9月の景気停滞(消費税引き上げ後の停滞)と、2015年10月~2016年3月の景気停滞(資源安ショック)です。3回の景気停滞期でも、日経平均は数カ月早くピークアウトしています。当時は、「いよいよ景気後退期に向かう」と不安が広がっていました。ところが、後から振り返れば、景気後退に至らず、景気は盛り返しました。日経平均は、景気が踊り場を脱け出したところから上昇に転じています。

 さて、2019年の世界景気は、「停滞」するのでしょうか? あるいは、「後退」まであるのでしょうか? 2019年1~3月の世界景気の状況を見ながら、考える必要があります。

1~3月に景気敏感株を少しずつ買っていくべきと判断

 さて、こんな時、日本株への投資は、どうしたら良いでしょうか。

 景気悪化を織り込む局面では、景気敏感セクターの組み入れを低く、ディフェンシブ・セクターの組み入れを高く保った方がいいと思います。ディフェンシブとは、「為替(円高)や世界景気変動の影響を受けにくい」という意味です。以下の表で、上に行くほど、景気敏感度が高い業種が多く、下に行くほど、ディフェンシブな業種が多くなっています。

業種分類別の景気敏感度

出所:楽天証券経済研究所が作成

 2018年は、景気敏感株を避けて、ディフェンシブ株中心に投資していた方が良い年でした。しばらく、同様の相場環境が続くと思います。ただし、2019年1~3月のどこかで、ディフェンシブ株を売り、景気敏感株を買うべき局面が来ると思います。2020年に世界景気の回復を見込んでいるからです。

 2018年の日経平均の高値は10月2日ですが、景気敏感株だけを見ると、1月高値のものが多いことが分かります。つまり、典型的な景気敏感株は1月から1年間下げ続けてきたわけです。

 景気敏感株の中には、既に売られ過ぎと考えられるものもあります。1~3月にもう一段売られたら、長期投資で良い買い場となると思います。相対的に値もちが良かったディフェンシブ株を売り、少しずつ売られ過ぎの景気敏感株を買っていったら良いと思います。

 

2018年の投資戦略レビュー

 2017年12月に2018年の日経平均見通しについて書きました。2018年は、前半高く、後半安いと予想しました。その根拠について、以下の通り、書いています。

「2018年も世界景気は、好調と予想しています。ただし、忘れてはならないことは、景気は循環することです。永遠に世界景気が良いはずは、ありません。いつか必ず、世界景気が不調になるタイミングが来るはずです。私は、2019年のどこかで、世界景気は失速すると考えています。それでは、日経平均はいつピークアウトするでしょうか? メインシナリオでは、2018年の半ばと考えています。日経平均は、世界景気よりも、半年から1年早くピークアウトする傾向があるからです。

 日本の景気が2019年に息切れすると考えると、日経平均の天井は、それよりも半年~1年前で、2018年半ばとなります。メインシナリオでは、日経平均が2018年半ばに、2万5,000~2万6,000円に上昇して、その後、ピークアウトすると想定しています。ただし、世界景気が想定より早く、失速する場合は、日経平均の天井はもっと低くなります。」

 2018年の日経平均のピークは、10月2日の2万4,270円でした。2万5,000~2万6,000円まで上昇するとの見方は、残念ながら当たりませんでした。ただし、2018年の世界景気が好調で、2019年に減速するとの見方は、正しかったと思います。

 2019年に私が、年初安・年末高と予想しているのは、世界景気が2019年に悪化し、2020年に回復すると見ているからです。世界景気は循環します。いつまでも良いわけありませんが、いつまでも悪くありません。景気悪化は、近年は1年続いていません。2020年には、米中貿易戦争が緩和し、世界景気が回復すると予想しています。

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