「7の年や大統領選挙翌年の平均サイクルからみると4月末から5月にかけての動きが焦点に・・」
トウシル / 2017年4月20日 0時0分
「7の年や大統領選挙翌年の平均サイクルからみると4月末から5月にかけての動きが焦点に・・」
トランプのみせかけのグローバリスト転向は中間選挙までのバブル温存が目的か?
スティーブン・バノンの失脚以来、シリアへのミサイル発射、アフガニスタンへの大規模爆風爆弾(MOAB)投下などきな臭い動きが続いている。トランプはバノンについて、「彼は選挙戦に後から入ってきた人間だ」と発言しており、バノンの唱えていた過激な孤立主義や保護主義から距離を置いているように見える。
ウォールストリートジャーナルで、『バノン氏の失速、トランプ政権激変の兆しか』(4月18日)、『トランプ氏はグローバリストに転じたのか?』(4月20日)という報道がされているように、トランプは軍産複合体と正面衝突するのを避け、方針を転換したような報道が多い。だが、トランプが軍産複合体に本当に寝返ったのかどうかはわからない。
トランプの「中国を為替操作国に認定しない」、「NATOはもはや時代遅れではない」、「イエレン議長を敬愛しており、次期FRB議長はまだ決めていない」、「FRBの低金利政策は好ましい」といった発言や、ムニューシン財務長官の「強いドルは長期的に好ましい」、「トランプ大統領のドル高牽制は口先介入ではない」との発言からは、トランプの「軍産複合体に表面的にすり寄りながら、中間選挙までなんとかバブルを温存しよう」とする意図が見え隠れしている。
「民主主義の指導者たちは気づいていた。手っ取り早く民衆の支持を得られるのは、民衆を結束させられる戦争があるときしかないと。だからこそ、いたずらに暴力的な問題に手を出し、戦争を作り上げ、民心を惑わそうとする。そして、その権力を確固たるものにするため、自分たち指導者の立場を重要なものとする法規を作る。また、庶民が支配者に反抗できない、あるいは反抗を望まないよう徹底するため、重税を課す。(中略)指導者たちに異を唱える者は、誰であれ、敵のレッテルが張られ、スパイとして迫害される。(中略)私たちは、おかしな時代を生きることになる。老いも若きも嘘を教え込まれ、思い切って真実を語る者は、すぐに狂ったバカ呼ばわりされるのだ」と、プラトン(紀元前429 ~ 347 年)は述べたが、3億総右翼といわれる米国では、シリア、アフガニスタン、北朝鮮などへの威嚇は、トランプのポピュリズム的な政治姿勢と親和的である。
マーケットでは北朝鮮情勢などを囃して、<地政学リスク>がメインのマーケットテーマとなってしまっている。一方で、4月15日におこなわれた金日成生誕105年記念の軍事パレードをCNNが生中継(現地取材)しており、米中と北朝鮮の間でなんらかの合意がなされた可能性も指摘されている。実際、噂されていた核実験は行われず、ミサイルは発射したものの失敗している。「米国の目標は、北朝鮮の政権転覆ではなく6か国協議に北朝鮮が復帰し核開発をやめさせることだ」とトランプ政権は表明しており、結局、何事も起こらなかったということだ。
標準偏差ボラティリティトレード
北朝鮮の<地政学リスク>で円買いが持ち込まれたものの有事は起こらなかった。その結果、円買いポジションが手仕舞いとなり、円高気味の相場ではあるがドル/円の日足は緩慢な動きとなっている。今年に入ってからのドル/円相場でワークしているのは、4時間以下の時間枠(タームフレーム)での標準偏差ボラティリティトレード(順張り)である。以下は、4月末に発売になる筆者の新しいDVD『相場で道をひらく7つの戦略 ~トレード戦略編~』のチャート画面だが、円高であろうと、円安であろうと、相場についていけばいい。
<標準偏差ボラティリティトレードのチャート作成とチャートの見方>
21日ボリンジャーバンドを表示させる
(株式インデックスは±0.6シグマ・通貨は±1シグマ)
26日標準偏差ボラティリティを表示させる
- トレンドの発生(保ち合い離れの判定方法)
26日標準偏差ボラティリティが上昇しはじめた時 - 新規建玉のポイント
エントリー(新規注文)は相場が21日ボリンジャーバンド±1シグマ(株式インデックスは±0.6シグマ)の外に飛び出した時 - 損失を限定しつつ利益を伸ばす手仕舞いのポイント
手仕舞い(エグジット)は相場が21日ボリンジャーバンド±1シグマ(株式インデックスは±0.6シグマ)の内側に入った時
<サンプルチャート ドル/円4時間足>
ドル/円(4時間足) アダムセオリーとアナログモデルの予測
上段:ボリンジャーバンド(21)±1シグマ=赤のバンド
下段:標準偏差ボラティリティ(26)=青いライン
アダムセオリーは、RSI、パラボリック、DMIなどのテクニカル指標を考案したテクニカルトレーディングの第一人者であるワイルダーが、ジム・スローマンから100万ドルで購入した相場予測の方法で、「ある点を中心に過去の動きを180度回転」させてチャートの現在点につなぐことで、将来のトレンドや相場の転換点を探す予測方法である。
トレンド相場とは、うねりを伴いながらも相場がある方向に継続する運動である。アダムセオリーはトレンド相場では効力を発揮するが、相場がアダムセオリー通り動くことはほとんどない。むしろ、はずれることが多い。
では、なぜ筆者がアダムセオリーの予測する相場の軌道をみているかというと、「アダムセオリー」の軌道から相場が逸脱した時(離れた時)、相場はもはやトレンドの軌道にはないということだ。つまり、「はずれていることがわかればいい」のである。
筆者は現在、トレンドが頻繁に発生している4時間足以下のタイムフレームのすべてでトレーディングをおこなっている。<標準偏差ボラティリティトレード>は、すべての市場と時間枠(タイムフレーム)の順張り取引に拡張が可能である。
ドル/円(日足)アダムセオリーとアナログモデルの予測
上段:ボリンジャーバンド(21)±1シグマ=赤のバンド
下段:標準偏差ボラティリティ(26)=青いライン
ドル/円(4時間足)アダムセオリーとアナログモデルの予測
上段:ボリンジャーバンド(21)±1シグマ=赤のバンド
下段:標準偏差ボラティリティ(26)=青いライン
ドル/円(1時間足)アダムセオリーとアナログモデルの予測
上段:ボリンジャーバンド(21)±1シグマ=赤のバンド
下段:標準偏差ボラティリティ(26)=青いライン
ドル/円(30分足)アダムセオリーとアナログモデルの予測
上段:ボリンジャーバンド(21)±1シグマ=赤のバンド
下段:標準偏差ボラティリティ(26)=青いライン
ドル/円(15分足)アダムセオリーとアナログモデルの予測
上段:ボリンジャーバンド(21)±1シグマ=赤のバンド
下段:標準偏差ボラティリティ(26)=青いライン
長・短スプレッドが拡大しないとドル/円や株価の上値は重くなる
「トランプが現実的になると、市場が期待していた減税や財政出動などの政策も縮小均衡していくだろう。米国債の長短スプレッドをみると、トランプラリーは終了している」と先週のレポートに書いたが、米国株は軟調に推移している。
米国株がリスク選好相場に転じるには、
- トランプが減税や財政出動を早期に実現する見通し
- 地政学リスクの低下
- 欧州の政情安定化
が必要となろう。
米国債の長・短スプレッド(10年国債金利-2年国債金利)とNYダウの推移(2017年4月19日現在)長・短スプレッドが拡大しないと株価の上値は重くなる
原油先物(日足)アダムセオリーとアナログモデルの予測
原油や商品価格も軟調・・
上段:ボリンジャーバンド(21)±1シグマ=赤のバンド
下段:標準偏差ボラティリティ(26)=青いライン
個別株の標準偏差ボラティリティトレード
昨年末から今年にかけての米国株式市場は、株価指数も個別株もうねりのあるトレンド相場が展開されていて、順張り(トレンドフォロー)売買がうまくワークしている。筆者が関わる株式ファンドは、個別株でも<標準偏差ボラティリティトレード>をおこなっている。
2016年後半から2017年の前半の相場では、4時間足以下の標準偏差ボラティリティトレードで大きな収益を上げることが出来た。この手法はFX・株価指数CFD・個別株・債券先物・原油先物・ゴールド先物など、多くの市場で有効に機能している。
NYダウ(日足) エントリー=赤の矢印・エグジット=青の矢印
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±0.6シグマ(緑)
ゴールドマンサックス(日足) エントリー=赤の矢印・エグジット=青の矢印
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±0.6シグマ(緑)
現在の米国の景気成熟局面や株のバブル局面が延長するか否かは、今後米国の金融株が上がるか否かにかかっている。金融株が上がらない相場はバブルしないからだ。
(4月18日の市場で、ゴールドマンは4.7%安。第1・四半期決算で、トレーディング収入が振るわず、利益は市場予想を下回った)
ジョンソン&ジョンソン(日足) エントリー=赤の矢印・エグジット=青の矢印
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±0.6シグマ(緑)
(ジョンソン&ジョンソンは、4月18日の市場で3.1%安。売上高が医薬品の需要減を背景に市場予想を下回ったことなどから売られた)
7の年の循環からみると4月末から5月にかけての動きが焦点に・・
今年のここまでのNYダウは概ね7の年の循環で動いている。7の年の平均のサイクル分析では、3月~4月の相場は上がらない。しかし、基本的に夏までは買い循環となっている。7の年の循環や大統領選挙翌年の平均サイクルからみると、4月末から5月にかけての動きが焦点になるだろう。
NYダウと<7の年の平均サイクル>(ラリー・ウィリアムズ作成)
今年のここまでのNYダウは概ね7の年の循環で動いている
Copyright © 2016 Larry Williams CTI Publishing. All Rights Reserved.
大統領選挙翌年のパターン(ラリー・ウィリアムズ作成)
Copyright © 2016 Larry Williams CTI Publishing. All Rights Reserved.
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日々の相場動向についてはブログ『石原順の日々の泡』を参照されたい。
(石原 順)
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