1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

利回り4%超も。「10万円以下」で買える、好配当利回り株の選び方

トウシル / 2019年1月16日 7時20分

写真

利回り4%超も。「10万円以下」で買える、好配当利回り株の選び方

日本株は配当利回りから見て割安と判断

 日本株は、配当利回りや、PER(株価収益率)などの株価指標で見て、割安と判断しています。長期投資で、資産形成に貢献する投資対象と考えています。

日本の長期金利(10年もの新発国債利回り)と東証一部予想配当利回りの推移:
1993年5月~2018年11月(15日まで)

注:楽天証券経済研究所が作成

 

 1993年、長期金利が5%あった当時、東証一部配当利回りは1%未満でした。この時、長期国債は割安で日本株は割高でした。ところが2019年1月現在、長期金利はゼロ近くに低下しましたが、配当利回りは2.5%まで上昇しています。今は、長期国債が割高で日本株が割安と判断しています。

 

10万円から始める好利回り株投資

 日本株は、配当利回りから見て割安で、長期投資対象として魅力的と考えています。ただし銘柄選択は大切です。人気株に飛び乗って高値づかみとなり、株価が急落すると大きな損失をこうむることもあります。

 これから日本株への投資を考える初心者は、日経平均に連動するインデックスファンドや、10万円以下で買える株への小口投資から始めたら良いと思います。一度に大きな金額を買うのではなく、毎月一定額を買い付けるなど、堅実に投資を増やしていく買い方が良いと思います。

 そこで、今日は、10万円以下で買える好配当利回り株をご紹介します。

スーパースクリーナーを使って銘柄選択

 楽天証券ホームページでは、さまざまな条件を指定して、その条件に合った銘柄をスクリーニング(抽出)する「スーパースクリーナー」というツールを提供しています。スーパースクリーナーの使い方は、以下をご参照ください。

スーパースクリーナーを使った銘柄分析方法を動画で解説

 今日は、スーパースクリーナーを使って選ぶ、10万円以下で投資できる好配当利回り株を、ご紹介します。

10万円以下で買える1,469銘柄を抽出

 まず、東証一部・二部・東証マザーズ・ジャスダック・名証に上場する銘柄について、「投資金額10万円以下」と条件を指定すると、1,469銘柄が出てきます。この1,469銘柄が、2019年1月15日時点で、最小投資単位が10万円以下の銘柄です。

 

予想配当利回りが3%以上の93銘柄を抽出

 10万円以下で買える銘柄から、配当利回りが高めのものを抽出します。「配当利回り(予想)が3%以上」という条件を加えると、銘柄数は、一気に93まで減ります。これが、10万円以下で買える好配当利回り株の候補となります。

10万円以下で買える予想配当利回り3%以上の93銘柄のうち、利回り上位20社:
2019年1月15日時点

出所:楽天証券スーパースクリーナー。「市場」東1は東証一部上場、JQはジャスダック上場を示す。「現在値」は1月15日終値。「投資金額」は1月15日終値で最小投資単位(100株)を買うのに必要な金額

 

 配当利回り(予想)は、高ければ高いほど良いというわけではありません。なぜならば、株の配当利回りは確定利回りではないからです。業績が悪化して、減配(1株当たり配当金を減らすこと)になり、株価が下がることもあります。好配当利回りを選別する時は、なるべく減配リスクの低い銘柄を選ぶべきです。

 予想配当利回りが高すぎる(5%超)銘柄には、減配リスクの高い銘柄が入る場合もあります。きちんと調査して選別する場合は良いのですが、そうでない場合は避けた方が無難です。

さらに、時価総額が1,000億円以上の銘柄に絞り込む

 減配リスクの低い銘柄にさらに絞りこむ方法は、いろいろあります。減配リスクが低い銘柄には、一般的に以下のような特色があります。

  1. 時価総額が大きい
  2. 経常利益率が高い
  3. 自己資本比率が高い(借金が少ない)
  4. 景気の影響を受けにくい業種(ディフェンシブ株)
  5. 経営者が株主への利益配分に積極的

 すべてを満たす銘柄はありません。上記の1つか2つを満たせば十分と考えます。今日は、一番単純でわかりやすい「時価総額が大きい」という条件で絞り込んでみました。「時価総額1,000億円以上」の条件を加えると、銘柄数は、33に絞り込まれます。

 

10万円以下で買える、時価総額1,000億円以上、配当利回り(予想)3%以上の33銘柄

スーパースクリーナーで抽出した33銘柄:2019年1月15日時点 

出所:楽天証券スーパースクリーナー

私が投資してみたいと考える8銘柄

 スクリーニングで選んだ銘柄に、機械的に投資するのは得策とは言えません。配当利回りが高めの銘柄には、将来、減配になるリスクもあるからです。ここから、さらに絞り込む必要があります。証券会社4社(大和・野村・東海東京・カブドットコム)について、私は投資判断を述べることはできませんので、この4社を除いた29社から選別します。

 私は、1987年から2013年まで、日本株ファンドマネージャーをやっていました。私がもし今、ファンドマネージャーならば買ってみたいと思う銘柄は、8銘柄あります。投資魅力が高いと考える順に並べると以下の通りです。

筆者がファンドマネージャーならば買ってみたい8銘柄

コード 銘柄名 配当利回り 業種 最低投資額
7201 日産自動車 6.3% 自動車 90,370
4188 三菱ケミカルHD 4.5% 化学 88,630
8411 みずほFG 4.3% 銀行 17,490
8002 丸紅 4.2% 商社 80,040
8306 三菱UFJ FG 3.9% 銀行 57,130
9412 スカパーJSAT HD 3.8% 情報通信 47,900
2768 双日 3.6% 商社 41,200
5020 JXTGホールディングス 3.3% 石油 60,550
金額単位:円
​出所:楽天証券スーパースクリーナーより筆者作成

 

日産自動車に投資ポジションを持ちたいと考える理由

 日産株の投資リスクは高いが、極めて割安と考えられる水準まで売り込まれたので、少しだけ投資ポジションを持ちたいと思います。個人投資家の場合、100株だけで良いと思います。

 ゴーン元会長逮捕のニュースが出てから、経営の混乱・ブランドイメージ低下・親会社ルノーとの関係悪化などのマイナス影響が出始めています。日産株が、ニュースに反応して、急落したのは当然と考えられます。

 ただし、冷静に考えて、ゴーン元会長が去ることは、悪いことばかりではありません。日産が、仏ルノーの支配を脱し、経営の自主権を取り戻すきっかけとなる可能性もあります。日産は、経営危機に陥っていた1999年にルノーから約8,000億円の出資を受け、経営危機を脱しました。最高経営責任者に就任したゴーン氏のもとで1兆円を超えるコストカットを行って財務を立て直しました。その後、世界中で販売を拡大し、高収益企業に生まれ変わりました。そのことについて、日産は、ルノーに恩があります。

 ただし、それは20年前の話です。今、高収益企業に生まれ変わった日産は、収益悪化に苦しむルノーを、逆に支える存在になっています。ところが、経営危機を救ってもらった時にできたルノーを親会社とする経営体制は変わっていません。現在でも、ルノーは日産の発行済株式の43.4%を握る親会社です。日産は、ルノー株を15%保有していますが、ルノーの子会社であることは変わっていません。そのため、日産の経営は、事実上、ルノーに握られた状態が続いています。

 子会社が親会社よりも力を持った状態を、「資本のねじれ」といいます。日本で過去の例をあげると、かつて「イトーヨーカ堂がセブンイレブンの親会社だった」「ニッポン放送がフジテレビの親会社だった」のが、「資本のねじれ」です。さまざまな問題を生んだので、今は、資本を組み替えて、ねじれを解消しています。

 力をつけた日産が、ルノーの子会社である「資本のねじれ」が、さまざまな問題を生じています。ゴーン元会長は、当初日産の収益回復に全力を尽くしましたが、ルノーの最高経営者を兼務するようになってから、次第にルノーの利害で動く面も見られるようになりました。その矛盾は、次第に無視できないものになりつつありました。

 フランス政府は、ルノーに15%出資する大株主です。フランス政府は、ルノーへの出資比率を30%に高めるとともに、日産をルノーの完全子会社にし、フランスに製造拠点を移させることを構想するようになっていました。ゴーン元会長は、この構想に反対し、日産を守っていたと言われますが、それでも、フランス政府の意向を汲んで動かざるを得ない面もあったと考えられます。日産の製造拠点をフランスに移すように、誘導していた可能性もあります。

 今から10年以上前ですが、私は、日産自動車の経営説明会で、ゴーン元会長のプレゼンを何回も聞きました。よく聞いたのは、「人件費の高い国には投資しない」という話しです。日本ではなく、メキシコなど新興国に積極投資していく戦略を説明するときに出ていた話です。それは、日産が生き残るために必要なことだったかもしれません。ただ、フランスに生産を移していくという、今の戦略は、当時聞いた話から考えると、整合性がありません。フランス政府の意向が、日産の経営の舵取りに影響している可能性があります。

 ただし、ゴーン氏の元で決められた経営方針すべてが、問題含みと言うつもりはありません。日産にとって、有益な判断もありました。たとえば、次世代自動車の開発で、ハイブリッド車に深入りせず、電気自動車に傾斜していったのは、今となっては良い判断だったと言えます。おかげで、日産は、世界の自動車大手の中では、電気自動車の開発で先行している方です。

三菱ケミカルを評価する理由

 三菱ケミカルHDは、前期(2018年3月期)に、純利益が前期比36%増の2,117億円と最高益を更新しました。MMAモノマーの市況上昇でケミカル部門の利益が大きく拡大したことが寄与しました。今期(2019年3月期)の純利益(会社予想)は、前期比0.6%増の2,130億とほぼ横ばいの見込みです。ケミカル部門の利益が高水準を維持しています。

 ただし、ケミカル部門は市況変動によって、収益が大きく変動するので、高水準の利益が出てもあまり評価できません。

 私が三菱ケミカルを高く評価するポイントは、中長期的に成長が期待される高機能化学品やリチウムイオン電池材料など戦略製品を、数多く保有していることです。応用分野として、自動車・半導体・食品などがあります。

 

その他の銘柄コメント

 買ってみたい8銘柄の中に、三菱UFJ・みずほと、銀行が2つ入っています。私は、銀行に投資するならば、海外で収益を拡大させている3メガ銀行に限定すべきと考えています。日銀の低金利政策でダメージを受け、収益悪化が長引く地方銀行には、投資すべきでないと考えています。

 3メガ銀行では、三菱UFJ FGとみずほFGのほか、三井住友FG(8316)も、予想配当利回りが4.4%と高く、投資魅力は高いと考えています。ただし、三井住友FGは、最低投資金額が約39万円と大きいので、上記リストには入りません。3メガ銀行の中で比較すると、海外収益拡大で先行する三菱UFJの魅力が一番高いと判断しています。

 丸紅・双日は、総合商社です。丸紅は、今期(2019年3月期)の純利益(会社予想)が前期比9%増の2,300億円と、2期連続で最高益を更新する見込みです。双日は、最高益には届きませんが、同様に業績好調です。足元、原油など資源価格が下がっているため、今後、資源事業の利益が減少する可能性がありますが、非資源事業の利益拡大でカバーすると予想しています。

 中長期に両社を高く評価するのは、非資源事業を積極的に拡大してきたからです。資源事業の利益は不安定で高くは評価できません。ただ、両社とも世界景気敏感株で、世界景気が悪化すると株価が下がる可能性があることには、留意が必要です。

 スカパーJSATは、有料多チャンネル放送のスカパー事業の利益が不安定ですが、衛星のJSAT事業が安定高収益となっていることを評価しています。

 JXTGホールディングスは、新日本石油・新日鉱ホールディングスが統合してできた会社です。石油精製・非鉄精錬・資源開発事業などを行っています。原油価格急落の影響で、短期的には収益悪化が懸念されますが、中長期的に安定収益を確保していくと期待しています。

 

▼もっと読む!著者おすすめのバックナンバー

1月8日:2019年の銘柄選択:18年の下落率上位5社、上昇率上位5社を分析

 

▼他の新着オススメ連載

今日のマーケット・キーワード:運用者の視点:中国株の『2019年の注目点』

今日、あの日:米国がキューバへの経済制裁を緩和【4年前の1月16日】

(窪田 真之)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください