下落相場で注目の「配当金」重視の株式投資。銘柄選びと注意点は?利回り、分割、配当性向の考え方
トウシル / 2019年1月17日 18時28分
下落相場で注目の「配当金」重視の株式投資。銘柄選びと注意点は?利回り、分割、配当性向の考え方
株価が多少値下がりしてもそれほど問題にならないのが「配当金」を目的とした投資。
ただし、注意点もいくつかありますので、しっかり押さえておきましょう。
注意点(1)配当利回りの高低だけで銘柄を選ばない
下落相場でも収入を得られる配当金の魅力について「下落相場でも収入を受け取れる「配当金目的」の投資・その魅力とは?」でお伝えしました。配当金目的の投資は、注意しておきたい点があります。
配当金目的で銘柄を選ぶとき、多くの方が配当利回りランキングやスクリーニングを用いて、配当利回りが高いものを探している方がいます。
それは正しい選び方とは思えません言えません。なぜなら、配当利回りが高い銘柄には、高いなりの理由があるからです。「配当利回りが高いから割安だ・お得だ」考えるのは危険だと思います。
配当利回りが高くなっている銘柄は、今は多くの配当金が受け取れるものの、将来配当金が減らされたり、時にはゼロになってしまうというリスクを投資家が感じているため、高い配当利回りで放置されているのだと考えてください。
「配当利回りが高いからお得!」ではなく、「配当利回りが高いのには何か理由があるに違いない」という目で銘柄を選ぶようにしましょう。
注意点(2)過去の配当金の推移を確認する
配当金を期待して株式投資を行うのであれば、配当金が今後も安定して支払われる可能性の高い会社の株に投資する必要があります。
そこで、投資しようとしている会社の過去10年程度の配当金の推移を確認することをお勧めします。
10年間で配当金が増加傾向にある会社なら今後も配当金が減額されるリスクが小さいと判断されますので投資候補となるでしょう。配当金が増えないまでも安定して横ばいであれば合格です。
逆に10年間の間、配当金が増えたり減ったりしている会社はできるだけ避けた方が無難です。そうした会社は、業績も安定しないことが多く、今後もらえる配当金も上下に変動する可能性が高いからです。
注意点(3)株式分割による配当金の変動に注意
1株40円の配当金を出していた会社が1株を2株にする株式分割をすると同時に、配当金を1株20円に変更する……よくあるケースです。
単純に配当金の額の推移だけを見ると、40円が20円に減額されているため、投資対象としてはそぐわない、と勘違いをする恐れがあります。
でも実際は、1株で40円の配当が、2株で40円になっただけなので、トータルでもらえる配当金は変動ないのです。
もし株式分割と同時に、配当を1株当たり25円にしたのであれば、40円の配当が、25×2株=50円の配当になるわけですから、実質的には増配となります。
逆に5株を1株にする株式併合とともに、それまで1株10円だった配当金を50円にした場合は、配当金が5倍に増えたと同時に株式数も5分の1になるので実質的には何も変わりません。
過去の配当金の推移を確認するときには、配当金の額それ自体をみるだけではなく、株式分割や株式併合などによる影響も加味するようにしてください。
注意点(4)配当性向を確認する
筆者は配当金目的での株式投資はしませんが、もしするとしたら、銘柄選択の際に必ず確認するであろう指標があります。それが「配当性向」です。
配当性向は、利益のうちどのくらいの額を配当金に回しているかを表すもので、次の式により計算できます。
配当性向(%)=1株当たり配当金÷1株当たり当期純利益×100
例えば1株当たり当期純利益がいずれも100円のA社とB社があり、A社の1株当たり配当金が30円、B社の1株当たり配当金が90円とします。
この場合、A社の配当性向は30%、B社の配当性向は90%です。
実は配当性向の高低で、業績の変化に対する配当金の減額リスクの大きさが分かります。
同じ1株当たり当期純利益100円であるならば、そこから90円の配当金を出しているB社の方が良いのではないか、と考えがちですが、そうとも言えません。
A社は今後1株当たり利益が半分の50円になっても、これまで通り30円の配当金を出す余力があります。
一方B社は、1株当たり利益が半分の50円になると、今まで通り90円の配当金を出すためには剰余金(過去の利益の蓄積)からねん出しなければならないため、配当金が減らされるリスクが高くなります。
B社の今の株価は、90円という配当金が今後も期待できるという前提でついています。この配当金が減額となれば、株価も大きく値下がりしてしまう可能性が高いです。
配当金が高いかどうかを見るだけではなく、配当性向が高くないかを確認し、将来の利益減少に伴う配当金減額リスクを考慮するようにしてください。配当性向が高いほど、リスクが上昇すると押さえておきましょう。
なお、会社によっては配当政策を決める際、配当性向自体をある程度固定化しているものもあります。例えば「配当性向50%」という配当政策を掲げている会社の場合は、利益が半分になれば、配当金も半分になる、と思っておいた方がよいです。
それ以外にも、配当政策を明確に掲げているところは多いので、それを確認したうえで配当金の減額リスクが低そうな銘柄へ投資するようにしましょう。
(足立 武志)
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