相場下落は予測できる!?株の売り時を見極めるシンプルな裏ワザ
トウシル / 2019年1月17日 18時5分
相場下落は予測できる!?株の売り時を見極めるシンプルな裏ワザ
昨年2018年も株式相場は波乱の展開でした。年明けに高値をつけたかと思えば、1月末から急落し、3月26日まで下落を続けました。これで「2018年はダメかな」と思っていたものの、9月には一転、2万4,000円台をつけ、「年末は2万5,000円か!?」という声も聞こえてきました。ところが、10月より再度急落し、まさかの2万1,000円台。このような変動幅の大きすぎる相場では、ほとんどの人が利益を出せず「2万4,000円台の時に売っておけばよかった」などと考えるものです。
しかし、実は相場が急落する前にマーケットはサインを出しています。これに気付けたかどうかで、結果は大きく違ってくるのです。
相場には変調の兆しを測るシンプルな体温計がある
筆者の考える最も重要な指標の一つが「新高値銘柄数」です。株を売買されている方なら一度は聞いたことがありませんか。
「新高値」とは、比較期間の中で更新した最高値のことで、「新高値銘柄数」は同期間内で新高値となった銘柄数を表す、シンプルな指標です。ここでは52週(だいたい1年)新高値を用います。
高値更新をしている銘柄が多いことは、相場が強いことの裏付けです。筆者はこの新高値銘柄数を「相場の体温計」として利用しています。
図1は比較チャートと言います。日経平均株価(赤)と東証1部新高値更新銘柄数(緑)の推移を合わせて表示したものです。
グラフの中の①、②、③が注目ポイントです。それぞれ解説していきます。
①2015年の急落時
日経平均株価の上昇とともに、新高値銘柄数も増えていましたが、2015年半ばくらいから日経平均は上昇しているものの、新高値銘柄数は減少しています。これは、相場全体は強くなっていないのに、日経平均だけが買われている証拠で、日経平均は上がっても相場は弱いという状況です(図2)。
②2018年年初の急落時
2015年の急落を経て、2016年末の米大統領選の日から上昇を始めました。およそ1年にわたって上昇し、高値を付けるたびに新高値も増えています。しかし、年明けに急騰。日経平均が20数年ぶりの高値をつけたときは、新高値銘柄数は減少していることが分かります。やはり、その後急落しました(図3)。
③2018年10月の急落時
2018年年初の20数年ぶりの高値を抜けましたが、新高値銘柄数は急減しています。このような状態では、とても2万5,000円方面に抜けるような力はありません。その後急落しています。
新高値銘柄数と日経平均のかい離が見せる相場の地平線
このように、新高値銘柄数の増減と日経平均株価のかい離を見ると、相場が本当に強いかどうかということが分かり、「高値更新の銘柄数が減っているのに日経平均が上昇しているから売りに回ろう」というような判断ができるのです。2018年10月の下げは、PER(株価収益率)やROE(自己資本利益率)などを見ていても理解ができませんが、新高値銘柄数に注視していれば「大型株主導で吊り上げられた株価が適正水準に戻っただけ」と理解をすることができます。
実際、上がっていたのは日経225への寄与度が高いファーストリテイリング(9983)やソフトバンク(9434)などの値がさ株でした。相場には適正な水準というものがありますので、その水準から大きく上下に振れたとき、よくよく観察していれば、売買のポイントも間違えにくくなるようになってきます。
新高値銘柄数はインターネットでも簡単に調べられます。投資というのは上がるか下がるか2分の1で、非常にシンプルですよね。シンプルなものはシンプルな視点で考えるということが大切です。新高値銘柄数なら、難しいテクニカル指標などを見る必要もありません。さまざまな難しいテクニカル指標などを勉強して、シンプルなものを難解なものにする必要はないのです。
(菅原 良太)
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