手が出せなかった株が値下がり!これは買い時?判断を誤らない見方と条件
トウシル / 2019年1月24日 6時0分
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手が出せなかった株が値下がり!これは買い時?判断を誤らない見方と条件
2018年秋以降の株価下落で、成長株の中にも株価が大きく値下がりするものが目立っています。これを絶好の買い時とみる専門家もいるようですが、本当にそうなのでしょうか。
アベノミクス相場で株価が大きく上昇した銘柄が今では「買える」水準に
2012年11月から始まったいわゆる「アベノミクス相場」。6年余りの間、特に毎年増収増益が続く成長株を中心に、株価が大きく上昇する銘柄が数多く出現しました。
5倍、10倍は当たり前、中には50倍、100倍に株価が大化けした銘柄もありました。
こうした株を上昇の初期から買えていれば、非常に大きな恩恵を受けることができました。しかし実際にはそうしたことは困難ですし、アベノミクス相場が始まってしばらくたってから株式投資を始めた方の場合は、せっかく増収増益の成長株を見つけても、株価が大きく上昇しすぎて手を出せなかった、というケースもあったと思います。
しかし最近の株価下落により、高くて手を出せなかった銘柄が、手を出せるレベルまで下落してきたのです。
いわゆる「投資のプロ」と呼ばれる人たちも、好業績でありながら高すぎた銘柄の株価下落を歓迎し、買い時が到来したと個人投資家に対してアドバイスしています。
株価が大きく下落した株を手放しで歓迎して良いのか?
でもこの考え方は果たして正しいのでしょうか? 筆者は必ずしもそうとは思いません。
例えば典型的な例として、次のようなA社株をイメージしてください。
- 3月決算銘柄で毎年増収増益が続いている。2019年3月期の業績予想も好調
- アベノミクス相場開始時の株価200円から、2018年9月の高値4,000円まで20倍に株価上昇
- 高値4,000円をつけたときのPER(株価収益率)は60倍
- 現在は1,600円まで株価が値下がりしている
A社株が2018年に高値をつけたときのPERは60倍だったわけです。そして安値から20倍にも株価が上昇していました。いくら成長株といっても、この時点で新規買いするのはさすがに強い抵抗感を感じる水準です。
これが現在は株価が60%値下がりして1,600円、PERも24倍まで低下しています。増収増益が続いていて業績に陰りも見られないのであれば、かなり魅力的な水準にまで株価が下がってきたといえます。
重要なのは、これを手放しで喜んでよいのか、という点なのです。
好業績銘柄のツレ安なら40%前後が下落の限度
筆者の経験上、増収増益が続いていて、今後の業績にも陰りがないような銘柄が相場全体の調整局面でツレ安するとき、高値から30~40%程度の下落で収まることが多いという印象を持っています。
しかし、それ以上の下落、例えば60~70%の下落率となった場合は、ツレ安をしたというよりは、その銘柄の業績に陰りが生じていることが多いです。
そしてその業績の陰りは、まだ表面化していないことが多く、個人投資家レベルでは気がつかないことも多々あります。しかし、よく業績を見ると、変化の兆候が見える場合があります。
まず確認したいのは四半期決算です。通期の業績予想は増収増益のまま変化ないものの、例えば四半期決算では前年同期と比べて減益になっている、というケースはよくあります。
この状況で株価が大きく下がっている場合は、プロ投資家や外国人投資家は会社が発表している通期の業績予想を信じておらず、逆に四半期決算での業績悪化の兆候を懸念しているために株価が下落している可能性が高いのです。
「株価下落=割安」になったといえる条件とは?
もし株価4,000円だったものが60%値下がりして1,600円になったA社株が、本当に割安になったといえるためには、どのような条件が必要でしょうか?
それは、4,000円の株価のときも、1,600円の株価のときも、足元の業績および将来の業績予想が何も変わっていないということです。
株価を構成する要素である将来の業績予想に何も変化がなく、株価のみが大きく下落しているなら、その株は割安になったと評価してよいでしょう。
でも私たち個人投資家が、株価が4,000円から1,600円に下がった銘柄の将来の業績予想に何も変化がないと、自信をもって言えるでしょうか?
自信をもって言えるとしても、その自信は正しいものでしょうか?
やはり株価が高値から50%を超えて値下がりした場合は、好業績に陰りが生じていることが多いのです。まだ表面化していなくても、近い将来に会社業績の下方修正を発表されることになります。
株価が大きく値下がりした銘柄・筆者ならこう対応する
もし、株価が大きく値下がりしてPERから見ても妥当で手が届く水準にまで下がってきた銘柄があったとしたら、筆者であれば次のように対応します。
- 株価が下降トレンドの間、つまり株が下げ続けているうちは手を出さない
- 決算発表前後はできるだけ手を出さない(決算の結果急落する可能性があるから)
- 決算発表後に上昇トレンドになったら新規買いを検討する
株式市場全体が天井をつけて下落に転じる局面では、個別銘柄でも高値から大きく値下がりするものが増えてきます。それを手放しに喜ぶのではなく、業績悪化を株価が先取りしている可能性も念頭においたうえで、投資するかどうかを慎重に判断するようにしましょう。
(足立 武志)
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