日経平均のトレンドは「何でもアリ」?今週は国内外の決算発表、重要イベント目白押し
トウシル / 2019年1月28日 12時13分
日経平均のトレンドは「何でもアリ」?今週は国内外の決算発表、重要イベント目白押し
先週末1月25日(金)の日経平均終値は2万773円となりました。前週末終値(2万666円)からは107円高、週足ベースでは3週連続の上昇です。
前回のレポートでは、「日経平均は戻りの助走を見せている」と指摘し、結果的には先週も戻り基調が続いたわけですが、何か注意すべき変化や兆候が現れたのでしょうか? まずは日足チャートで足元の状況から確認です。
■(図1)日経平均(日足)とMACD(2019年1月25日取引終了時点)
先週の日経平均の値動きを振り返ってみると、週初の21日(月)は一段高でスタートしたものの、その後は失速する展開でした。ローソク足の並びは陰線2本に陽線3本が続く形となり、これら5本の線を一つにまとめると、下ヒゲの長い陰線になります。
「下方向に押されたものの、頑張って値を戻した」格好で、力強さはありませんが、買いへの意欲は残されている印象です。
また、5本のローソク足が週を通じて25日移動平均線を維持している他、この25日移動平均線を5日移動平均線が上抜けるゴールデンクロスになっていることも前向きに捉えてよいと思われます。
下段のMACDも0円ラインを上抜けしつつあります。25日移動平均線がまだ下向きなのが気掛かりではありますが、比較的堅調だったと言え、まだ距離のある75日移動平均線をトライできる状況は維持していると見ることができます。
ただ、先週は取引がイマイチ盛り上がらず、東証1部の売買代金を見ると、活況の目安とされる2兆円を超えたのは、週末の25日(金)だけでした。様子見ムードが強い面もあったわけですが、その背景にあるのは、世界景気減速に対する警戒感の再浮上と企業決算の動向待ちになります。
週初の21日(月)に公表されたIMF(国際通貨基金)の世界経済見通しでは、2019年の世界経済成長率予想を3.5%と、前回(2018年10月)時より下方修正した他、同日発表された中国の実質GDP(国内総生産)についても、2018年通年で前年比6.6%と28年ぶりの低い伸びとなりました。
そして、企業決算についても今週は注目企業の決算発表が目白押しです。
国内では任天堂をはじめ、ソニーやファナック、東京エレクトロンなどが控える他、米国でもアップル、アマゾンやフェイスブックなどが予定されています。さらに、中国のアリババ集団や韓国のサムスン電子も決算発表を予定しています。
とりわけアップルについては、年初に売上高の下方修正見通しを発表し、「アップル・ショック」という見出しが踊るなど、株式市場にネガティブ・インパクトを与えた経緯があり、企業業績の動向が今週の相場を大きく動かしそうです。
もちろん、ある程度の業績後退については、昨年12月の株価急落ですでに先取りしたとの見方は強いのですが、やはり大きく株価を上昇させるには、ショックに打ち勝つだけのポジティブ・サプライズが必要になりそうです。
そこで、米国株(NYダウ平均株価)の状況についても見ていきます(図2)。
■(図2)NYダウ(週足)とMACDの動き(2019年1月25日取引終了時点)
週足チャートで見たNYダウは先週末時点で、3カ月間の値動きの中心線とされる52週移動平均線のところまで株価を戻してきており、今週の米国企業決算を受け、ここを上抜けできるか、それとも跳ね返されてしまうのかが、焦点になります。
今週のローソク足が52週と26週の2本の線をまたいで上昇すれば、「二本抜け」となり、上昇の期待が高まる形になります。
さらに、下段のMACDを見ると、MACDとシグナルがクロスしており、0ドルラインに向けて中期的に戻り基調が継続するかどうかという、大事なタイミングでもあります。
同様に、中期的に見た日本株はどうなのでしょうか? 図3は日経平均の週足チャートです。
■(図3)日経平均(週足)とMACDの動き(2019年1月25日取引終了時点)
13週移動平均線の下方向への傾きが緩やかになり、下げ止まり感が出始めているほか、NYダウと同様にMACDとシグナルのクロスが実現しており、上方向への意識が強まっている形となっている点は明るい材料です。
また、線形回帰トレンドでは、大きく下抜けてきたマイナス2σ水準まで値を戻しており、ここを上抜けてトレンドの流れに復帰するのか、それともこのマイナス2σの線で跳ね返されてしまうのかというところに位置しています(図4)。
■(図4)日経平均(週足)との線形回帰トレンド(2019年1月25日取引終了時点)
ただし、今週は国内外の企業決算だけでなく、米FOMCや米中の通商協議、EU離脱代替案の英国議会での採決など、とにかくイベントが多いのが厄介です。
多くの材料がポジティブで上値を追っていく展開もあれば、ネガティブ材料が続いて下値を探る展開もあるでしょう。そしてポジティブとネガティブのプラスマイナスゼロであまり動かない展開と、それぞれのイベントを受け、トータルでポジティブなのかネガティブなのかを差し引きしながら、相場のムードが決定されることになります。
チャートの形は悪くはないものの、値動きの想定はほぼ「何でもアリ」のため、柔軟な対応が求められる週になりそうです。
(土信田 雅之)
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