今さら聞けない「ふるさと納税」最初の一歩!ワンストップ特例って?寄付上限額って?
トウシル / 2019年1月31日 7時51分
今さら聞けない「ふるさと納税」最初の一歩!ワンストップ特例って?寄付上限額って?
「ふるさと納税」をまだやったことのない読者から、「やってみたいが何していいかわからない」と質問があります。今日は、改めてふるさと納税について、解説します。
「ふるさと納税」とは
ふるさと納税は、「自分が応援したい市町村に、実質2,000円の負担で、寄付ができる制度」のことです。寄付した自治体から、返礼品が贈られてくる魅力もあります。年収などの条件によって決まる上限額の範囲内で寄付をすれば、寄付額から2,000円を差し引いた金額だけ、ご自身の納税額(所得税および住民税)が減ります。
たとえば、実質2,000円の負担で5万円まで寄付できる方の場合、5万円を応援したい市区町村に寄付し、寄付金控除の手続きをすると、2,000円を差し引いた4万8,000円【注】だけ、ご自身が納めるべき税金が減ります。5万円寄付すると、4万8,000円分、納税額が減るわけですから、実質2,000円の負担で5万円の寄付を行ったことになります。
【注】「ふるさと納税」を実施し、確定申告を行うと、所得税、住民税(都道府県民税および市町村民税)の納税額が減ります。5万円を寄付した場合、(1)所得税・(2)都道府県民税・(3)市町村民税の納付額の減少額を合計すると、ちょうど4万8,000円となります。
確定申告なしで、税額控除を受ける方法もあります。
寄付する自治体の数が5つ以内なら、ワンストップ特例制度が使える
「確定申告で寄付金控除の手続きをしてください」と言われても、確定申告した経験のない方には、とても難しいことです。でも、あきらめる必要はありません。確定申告しなくても、ふるさと納税の寄付金控除を受ける方法があります。それが、「ワンストップ特例制度」です。
1年間に「ふるさと納税」で寄付する自治体の数が5つ以内なら、確定申告をしないでも、ふるさと納税の寄付金控除を受けることができます。それが「ふるさと納税ワンストップ特例制度」です。ふるさと納税を行う際に、寄付を行う自治体に「ワンストップ特例の適用を受ける申請書」を提出する必要があります。
ワンストップ特例を使う場合は、所得税は減りません。住民税だけで、「ふるさと納税額―2,000円」分、納税額が減ります。先に例に挙げた、6万円まで実質2,000円負担で寄付できる方の場合、6万円をワンストップ特例で寄付すると、確定申告しないでも、5万8,000円だけ、ご自身が納める住民税が減ることになります。
「楽天ふるさと納税」などを通じて、ふるさと納税(寄付)を行う際、「ワンストップ特例申請書の送付」について、「希望する」を選択すれば、後で、寄付をした自治体から、申請書が送付されてきます。
送付方法は、自治体により異なります。封筒に入れて送ってくることが多いですが、返礼品の中に一緒に入っていることもあります。送られてきた申請書に必要事項を書き込み、「マイナンバー」関連の必要書類を添付して返送すれば手続き完了。返送用封筒は、入っている場合と入っていない場合があります(それも自治体により異なります)。入っていない場合は、自分で返送用封筒を作成して、返送してください。
寄付した翌年の1月10日までに、申請書が自治体に着かなければならないことに注意してください。2019年のふるさと納税なら、2020年1月10日までに提出してください。間に合いそうにない場合は、寄付する自治体に相談してください。
締め切りに間に合わなかったときは、「確定申告」すれば寄付金控除を受けることができます。「ワンストップ特例申請書」の提出が間に合わなかったとき、忘れたときは、「確定申告」しましょう。
確定申告で寄付金控除を受けるときは、寄付する自治体が何件でも(5件を超えても)問題ありません。
「ふるさと納税」最初の一歩!何はともあれ、まず、ご自身の「寄付上限額」を知ろう
年収、家族構成、扶養家族の人数などの条件により、ふるさと納税で自己負担額が2,000円を超えずに寄付できる「寄付上限額」が決まります。その上限額を知らないことには、ふるさと納税は始められません。
まず、以下の楽天ふるさと納税の「かんたんシミュレーター」から、ご自身がふるさと納税の寄付金控除を受けられる「寄付上限額」の目安を、調べる必要があります。
楽天ふるさと納税「かんたんシミュレーター」
ここで、「年収(2019年の見込み額)」「家族構成」「扶養家族」に関する情報を入力していただくと、寄付上限額(目安)が表示されます。
そこで表示される金額の上限いっぱいではなく、まず1~3月に4分の1程度のふるさと納税を始めてみるのが、良いと思います。たとえば、「あなたの寄付上限額(目安)は60,550円」と表示された方は、その約4分の1、1万5,000円くらいから始めたら良いと思います。
確定申告する予定なら、何件に寄付してもOKです。5,000円の寄付を3つの自治体に行っても良いと思います。ワンストップ特例制度を使うなら、寄付する自治体の数が年間で5件以内となるように考えて、1自治体への寄付額を決める必要があります。
寄付する時期によって、返礼品は異なります。「1~3月」「4~6月」「7~9月」「10~12月」に分散して寄付すると、春・夏・秋・冬に、季節おりおりの返礼品楽しめます。
「10~12月」が近づき、2019年の年収額もほぼわかるようになり、寄付上限いっぱいまでふるさと納税を行う際には、「かんたんシミュレーター」ではなく、「詳細版シミュレーター」で、正確に計算する必要があります。
楽天ふるさと納税「詳細版シミュレーター」
次に、寄付する自治体を選びましょう。ワンストップ特例を使うなら5自治体まで
返礼品が魅力的な自治体、応援したい自治体から選ぶのが良いと思います。楽天ふるさと納税サイトを使えば、気に入った返礼品を、自由自在に検索できます。
同時に、ふるさと納税の寄付金控除を受ける方法を、決める必要もあります。確定申告を行うか、確定申告不要の「ワンストップ特例制度」を利用するか、どちらかです。
確定申告をしたことがない人は、確定申告が不要の「ワンストップ特例制度」を利用したらいいと思います。そのためには、1年間に寄付する自治体を5件以内にする必要があります。
医療費控除や寄付金控除などを受けるために、確定申告をしたことがある人は、確定申告によって、ふるさと納税の寄付金控除を受ければ良いと思います。確定申告するならば、寄付する自治体の件数はいくつでも問題ありません。今年は、確定申告する予定がなく、「わざわざ確定申告するのは面倒」ならば、ワンストップ特例から始めたら良いと思います。
次に、寄付する時期を考えましょう
次に考えるべきは、寄付する時期です。理想的には、1~3月、4~6月、7~9月、10~12月に分散して寄付する方が良いです。なぜならば、寄付する時期によって、贈られる返礼品が異なるからです。季節に応じた、さまざまな特産品を楽しむことができます。
多数の自治体に、時期を分散しないで寄付すると、返礼品が一時期に集中する問題もあります。お米のように、保存の効くものならばいいですが、生鮮食料品などは、冷蔵庫に入りきれなくなることもあります。旬のものを、旬のときにいただくには、時期の分散が望ましいと言えます。
行き過ぎた高額返礼品に規制が入る予定。6月以降にふるさと納税する際は要注意
ふるさと納税する人は、どんどん増加しています。応援したい自治体に寄付するというよりは、返礼品が魅力的な自治体を選んで寄付するのが、普通となっています。本来の趣旨とは異なるのですが、ふるさと納税=「2,000円のコストで魅力的な返礼品をもらえる制度」と理解している人が増えています。
そのため、SNSで話題になる魅力的な返礼品を出す自治体に、全国から多額の寄付が集まる事例がたくさん出ました。それに伴い、自治体間の返礼品競争も過熱しています。地元の特産品や農水産物の中から、えりすぐったものを、返礼品に使う自治体が増えています。そのおかげで、ふるさと納税をするだけで、全国自治体えりすぐりの特産品をもらうことができるようになりました。
返礼品は、特産品ばかりとは限りません。その自治体への旅行を誘致するために、地元での宿泊券や食事券を出す自治体もあります。全国の自治体が知恵をしぼって、さまざまな返礼品・返礼サービスを競っています。
ただし、ふるさと納税の趣旨に反する、行き過ぎた高額返礼品は、税制改正によって廃止させられる予定です。
2019年度の税制改正案に、
○寄付額の3割を超える高額返礼品(調達費ベース)
○地元産品でない返礼品
を出す自治体などを「ふるさと納税」の寄付金控除対象から除外することが盛り込まれました。正式に決定すると、6月1日以降は、基準を満たした自治体への寄付だけが、ふるさと納税制度の対象となります。基準を満たす自治体のリストは、総務省から公表されます。6月以降にふるさと納税する場合は、ふるさと納税サイトなどで総務省の基準を満たしている自治体であることを確認してから、寄付を行うようにしましょう。
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