バリュー?グロース?「ウォーレン・バフェット」が、アマゾンは買えないけど、アップルは大好きなワケ
トウシル / 2020年2月5日 7時39分
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バリュー?グロース?「ウォーレン・バフェット」が、アマゾンは買えないけど、アップルは大好きなワケ
読者から、「バフェットはグロースでしょ」とコメントをいただきました。これは、以前書いたレポート「もしバフェ銘柄(もしバフェットが日本株のファンドマネージャーなら買うだろう銘柄)」で、私が大型バリュー(割安)株を挙げたことに対するコメントと思います。
ウォーレン・バフェット氏は、無名だった若年期にはハゲタカ・ファンドばりのディープ・バリュー(激安)株投資で荒稼ぎしていたこともあります。運用手法の根底に、バリュー重視があります。今日は、そこを重点的に解説します。
なお、私の「もしバフェ」レポートをお読みいただきたい方は、本レポート末尾の「著者おすすめのバックナンバー」からご覧ください。
年齢とともに変化してきた投資手法:バリュー(割安)重視からグロース(成長)重視へ
米国株投資で高い実績をあげたバフェット氏は、「オマハの賢人」として、世界中で知られています。彼の言葉を直接聞こうと、米国中西部のオマハで行われる運用報告会には、世界中から何万人もの投資家が集まります。バフェット氏は、この運用報告会で、次々と出てくる質問に1つ1つ丁寧に答え、その発言は、世界中で報道されます。
バフェット氏は日本でも有名で、彼の運用手法について書かれた「バフェット本」が書店にたくさん並んでいます。ただし、バフェット氏自身は、自ら投資教育の本を書いたことはありません。
彼が書き続けているのは、自ら運用している投資会社(バークシャー・ハサウェイ)の株主(投資家)に当てた手紙だけです。それを参考に、バフェット氏の投資手法を研究した本がたくさん出版されているということです。
「バフェット氏の運用手法」と一言でいっても、若年期と壮年期で異なります。若い頃はバリュー重視、年齢とともにグロースを重視するようになりました。ただ、根底には、常にバリューを考えながら投資銘柄を選ぶ慎重さがあります。運用で「勝つ」ことを考えつつも、常に「大負け」しないようにリスクをコントロールしてきたからです。それが、グロースを重視しつつ、バリューも見る運用手法につながっていったと思います。
アップルが大好きなバフェットは、アマゾンに投資することができなかった
バフェット氏は「自分が理解できないものには投資しない」考えです。ハイテク株やIT株に積極的には投資せず、コカコーラやアメリカンエクスプレスのような、事業が分かりやすい安定成長株を重視して投資してきました。
したがって、米国株の上昇を牽引してきたGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)などのIT株では、アップル以外には積極的に投資してきませんでした。アマゾンは高成長期待から、いつでもPER(株価収益率)などの株価バリュエーションで高く評価されていたので、バフェット氏の投資意欲をかきたてませんでした。「なぜ、アマゾンを買わなかったのか」という投資家の質問に、彼は「自分は間違っていた」と素直に認めています。
そのバフェット氏が大好きなのが、携帯電話などIT機器大手のアップルです。安定成長が続いている割に、PERなどの株価バリュエーションで割安に評価されていたからです。
アップルは、これまでの成長を牽引してきたハード(iPhone)の成長余地が小さくなってきたことから、最近はPERで10倍台の低い評価に甘んじています。ただ、バフェット氏はアップルがハードではなく、音楽配信や決済などのサービス事業で成長し始めていることに注目しています。
バフェット氏がアップル好きなのは、「高成長は見込めなくても、安定成長を期待するPERの低い株だから」と、考えられます。つまり、成長を見ながらバリューも見る手法にぴったり合っているわけです。
日本株投資でも、心に留めておいていただきたいバフェットの言葉
バフェット氏の、若い頃の言葉を紹介する著作『Warren Buffett’s Ground Rules(ウォーレン・バフェットのグラウンド・ルール)』(Jeremy C. Miller著)を原書で読みました。私が、25年のファンドマネージャー時代にやってきたバリュー運用に通じる極意が、若きバフェットによって熱く語られており、感動しました。
私が強く共感した言葉を、2つ紹介します(日本語訳は窪田)。
1:「企業の本源的価値がわかっていれば、それを生かして有利にトレードできる。株価が、本源的価値と比較して、ばかばかしいほど、安い水準まで売られた時に買うことで、利益が得られる」
2:「最近、新時代の投資哲学を語る人が増えた。その哲学によると、木々が空まで伸びるように上昇し続ける株が出るという。そんな哲学に乗って割高株を高値づかみするくらいなら、過度に保守的といわれてペナルティを科せられた方がましだ」
ファンドマネージャー時代に、バリューを重視して運用してきた私は、「そうだ、そうだ」と納得です。ところで今の日本株で、本源的価値を割り込んでいる株はあるでしょうか? たくさんあると思っています。
TOPIXコア30にバリューで注目できる銘柄多い
私は、今の日本株でいうと、TOPIX(東証株価指数)コア30など、時価総額が大きい銘柄に、バリュー(割安)株が多いと思っています。コア30とは、東証1部上場の時価総額上位30銘柄を中心に構成される指数です。まさに、日本を代表する巨大企業の集まりです。それが割安とは、どういうことでしょう?
日本株は昨年末、外国人投資家の売りで急落しました。外国人は大型株を中心に日本株の下値を叩くように売ってきました。その結果、今、大型株にPERや予想配当利回りで見て、割安な銘柄が多くなっています。私は、今はもう運用の最前線からは退きましたが、ファンドマネージャーをやっていれば、TOPIXコア30の組入比率を高めたくなる局面だと思います。
小型株にも「もしバフェ」候補はある
私が考える「もしバフェ銘柄」は、小型株にもあります。ただし、巨額資金を動かし、グロースも重視するようになった今のバフェット氏は見向きもしないかもしれない銘柄です。今のバフェットではなく、若い頃のバフェット氏が食指を伸ばすだろうと考える銘柄です。
それについて、1月29日のレポート「ハゲタカがいれば狙われそうな株」に書いています。具体的な銘柄については、以下「著者おすすめのバックナンバー」をご参照ください。
▼もっと読む!著者おすすめのバックナンバー
2019年1月29日:ハゲタカがいれば狙われそうな「含み資産株」:不動産・倉庫株に多い2018年5月10日:「もしバフェ銘柄」を探せ!もしも、ウォーレン・バフェットが日本株を選ぶなら!?」
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(窪田 真之)
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