第3四半期決算は無難に着地。銘柄選びで「増収増益」に加えたい条件は?
トウシル / 2019年2月21日 6時0分
第3四半期決算は無難に着地。銘柄選びで「増収増益」に加えたい条件は?
2月15日をもって3月決算企業の第3四半期決算発表が終了しました。株価もこれに反応していますが、どんな点に注意すべきなのでしょうか?
意外と無難に過ぎた今回の四半期決算
3カ月に1度訪れる決算発表シーズン。日本は3月決算企業が多く、4月下旬~5月中旬に本決算の発表。その後3カ月ごとに第1四半期決算、第2四半期決算、第3四半期決算の発表がそれぞれ行われます。
2月15日に各企業からの第3四半期決算が出そろいました。昨年の夏・秋ごろは「好業績であろうがなんであろうが決算発表後はみんな売られる」という非常に厳しい状況でしたが、今回は「業績が良くない銘柄が大きく値下がり、好業績が確認できた銘柄はしっかりと株価が上昇」。比較的素直に業績に株価が反応したと思います。
そうした意味で、今回の第3四半期決算発表は意外と無難に過ぎたな、という印象を持っています。
投資家が気にしているのは当期の決算内容ではなく…
決算発表が行われると、投資家は企業側から過去に発表された当期の業績予想と比べた進捗率や、独自に分析した予想と比較をして、投資判断を決定していきます。
もちろん、決算内容が良く、投資家の予想をも上回る結果となると、株価も大きく上方に反応することになります。
ただ第3四半期決算は、時期的な関係上、他の決算とは少し事情が異なっている点があります。
それは、今すでに2月下旬。つまり、3月決算企業の決算日である3月末まではあと1カ月ほどしかないということです。
プロ投資家の人たちは、おそらく各企業の当期の業績の着地点はほぼ調べており、当期ではなく、今年4月に始まる来期以降の業績に強い関心を持っているはずです。
プロ投資家は独自の情報網やリサーチ力で、さらに企業の来期の業績についても予想をし、投資戦略を立てていることでしょう。
決算内容と株価の動きが一致しない場合に注意すべき点
ここで注意すべき点があります。株価というものは、すでに終わった過去にはあまり反応をしない、という点です。あくまでも株価は将来を織り込んで動きます。
例えば「当期の決算は極めて好調、第3四半期決算も問題なし、しかし株価は決算発表後も上方に反応せず、逆に値下がりしている」という場合。まさに決算内容と株価の動きが一致しない典型例です。
こうした現象が起こる理由はいくつか考えられますが、第3四半期決算が出そろった今の時期であれば、やはり当期の業績ではなく来期の業績の方にプロ投資家の関心が集まっていることが大きな理由として考えられます。おそらく、当期の業績は確かに好調だが来期以降の業績に懸念をもたれているのだと思います。
筆者の具体的な対応方法とは?
第3四半期決算が出そろった今のような状況で、筆者であれば、次のように対応します。
まず各企業の第3四半期決算や、通期の業績予想を確認して、業績が伸びている(増収増益を続けている)かどうかを確認します。それを踏まえ、増収増益が続いていて、かつ上昇トレンドになっていれば、投資対象とします。
逆に、増収増益の予想であっても、株価が下降トレンドの場合は投資対象から外します。なぜなら、そうした銘柄は当期こそ増収増益だが来期以降は伸び悩む、とプロ投資家が考え、買いの手が入ってこない可能性が高いからです。
なお、当期の業績予想がそれほど良くないにもかかわらず株価が上昇を続けているケースもあります。これは、確かに来期以降の好業績をプロ投資家が察知して先回りの買いを入れている可能性もあります。
ただ、そうではなく、日本株を取り巻く相場全体の環境が良好なため、当期や来期の業績予想にかかわらず買われているケースもあります。
どうしても、増収増益が続いている銘柄よりは株価上昇に対する信頼度が低くなってしまうので、このような銘柄についてはあまり積極的には手掛けないようにしています。
いくら第3四半期決算や通期の決算予想が素晴らしいものであっても、株価が上昇していないならば要注意です。くれぐれもそうした銘柄に投資し、「業績は絶好調なのになあ」と首をかしげながら値下がりしても持ち続け、塩漬け株を作ってしまわないように気を付けてください。
(足立 武志)
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