日本株は長期投資で買い場と判断。まず3大割安株などから
トウシル / 2019年3月4日 7時42分
日本株は長期投資で買い場と判断。まず3大割安株などから
円安進行を好感して、日経平均の上昇続く
先週の日経平均株価は、1週間で177円上昇し2万1,602円となりました。米朝首脳会談が合意に至らなかったと伝わった2月28日(木)は、失望から日経平均は前日比171円下がり2万1,385円となりました。
ところが、翌日(3月1日)の日経平均は、1ドル=111円台の半ばまで円安(ドル高)が進んだことを好感。前日比217円高の2万1,602円まで切り返しました。28日に発表された10-12月の米GDP(国内総生産)成長率が前期比年率2.6%増と、市場予想(2%増)を上回ったことが好感され、それが円安(ドル高)につながりました。
2月14日に発表された12月の米小売売上高が前月比1.2%減と市場予想を大きく下回っていたことから、10-12月の米景気に不安が広がっていました。しかし、10-12月のGDPがそこそこ良かったため、米景気は堅調との見方が復活しました。
なお、北朝鮮との交渉については、トランプ大統領が協議継続を表明したことが、とりあえず安心感につながりました。
日経平均週足:2018年1月4日~2019年3月1日
日経平均は昨年のボックス圏(2万1,000~4,000円)まで戻り、引き続き、堅調に推移しています。このまま日経平均が2万1,000円台で値固めすれば、心理的な上値抵抗線となりつつあった2万1,000円が、逆に、下値抵抗線になっていく可能性もあります。
米国にマネーが集まり「ドル高(円安)、米国株高」続く
1月3日に、ドルはフラッシュ・クラッシュ(一瞬の急落)で、一時、1ドル=104.08円をつけました。ところが、その後、ドル高(円安)が続いています。昨年12月に急速にドル安(円高)が進みましたが、既に、昨年10-11月の水準(1ドル=112~114円)近くまで戻りました。
ドル円為替レート:2018年10月1日~2019年3月1日
NYダウも既に、昨年10-12月の急落の大部分を取り戻しています。
NYダウ週足:2018年1月2日~2019年3月1日
ISM製造業景況指数が低下しても不安は広がっていない
3月1日に発表された、2月の米ISM製造業景況指数は、事前の予想通り、低下しました。
米ISM製造業景況指数の推移:2014年1月~2019年2月
昨年、米国株の上値を抑えていたのは、利上げ加速の不安と、貿易戦争エスカレートの不安でした。足元、2つの不安とも緩和しつつあることが、NYダウの強さにつながっています。
また、米景気減速も、予想ほど深刻ではないと、考えられています。米中貿易戦争が、一定の落としどころに落ち着くならば、米国も中国も景況が持ち直すとの期待があります。
1.パウエルFRB議長がハト派に豹変、株式市場に配慮
昨年までタカ派発言を繰り返していたパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が、今年に入ってから、一貫してハト派発言を繰り返しています。利上げを急がないだけでなく、イエレン前FRB議長が始めた、FRBの保有資産縮小(量的引き締め)を年内にも終了する方針を打ち出しました。
2.米中とも貿易・ハイテク戦争でいったん休戦合意したい模様
2月までに米中通商交渉で合意を得ることはできませんでしたが、米国は、中国向けの制裁関税の引き上げは行なわず、継続協議しています。4~5月中に、何らかの合意を得ることが期待されています。
貿易戦争が、中国景気にも米景気にも悪影響を及ぼし始めていることから、両者ともいったん休戦したいと考えている模様です。4~5月に何らかの合意に落ち着くと考えられます。
ただし、それで解決ではありません。将来、米中の貿易・ハイテク戦争は、何度でもぶり返すでしょう。米中の対立は長期化が予想されます。ただ、目先は何らかの合意を作って、いったん休戦することを目指していると考えられます。
日本株は、長期投資で買い場の見方を継続
「1-3月が2019年の世界景気悪化を織り込む株安の最終局面になる」との予想を継続します。4月以降は、2020年の世界景気回復を織り込んで、世界的に株が上昇すると考えています。
ただし、1月からの世界株高は、ややピッチが速すぎると感じています。3月には、世界の政治経済で大きなイベントが多数控えています。足元、日経平均のボラティリティ(変動性)が低下していますが、3月には再び荒れる可能性も残っています。
長期投資で日本株は買い場との見方は変わりませんが、できれば押し目を待って買い出動した方が良いと思います。
ただし、「押し目待ちに押し目なし」となる可能性もあるので、大きな押し目がなくても、時間分散しながら少しずつ日本株の保有を増やしていって良いと考えています。とりあえず、株価指標で見た割安度がきわだっている「三大割安株」などから買っていくと良いと思います。「三大割安株」については、以下、著者おすすめのバックナンバーのレポートを参照してください。
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