3月決算間近!配当金目的の買いで注意するべきポイント「権利付き最終日」と「権利落ち日」
トウシル / 2019年3月20日 16時10分
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3月決算間近!配当金目的の買いで注意するべきポイント「権利付き最終日」と「権利落ち日」
もう間もなく3月末を迎えます。3月決算企業の配当金を目当てに株を買おうと思っている方もいるはず。でも、いくつか注意したい点があります。
3月末までに株を買っておくと、配当金はもらえるの?
早いもので今年も3月終盤。3月決算企業の決算日を迎えます。3月決算企業の場合、3月末の決算日時点で株主名簿に登録されている株主は、配当金や株主優待(企業によってこれと異なる場合がある)を受け取ることができます。でも3月末ギリギリ、今年であれば3月29日にお目当ての株を買っておけばよいかというと、それでは間に合いません。
売買代金の受け渡しや、株主登録の事務作業などの理由で、3月末の株主名簿に登録するには、3月最終取引日を含めて4営業日前(土曜・日曜・祝日除く)の時点で株を保有している必要があるからです。
2019年の場合、3月29日が月内の最終取引日です。ここから4営業日さかのぼった3月26日の時点で株主になっていないと、配当金などを受け取ることができません。これを「権利付き最終日」と呼びます。
1日持っているだけで配当金をもらえる?
そして、翌日の27日になると、3月末の株主が対象となる配当金を受け取ることができません。配当金を受け取る権利がなくなって(落ちて)しまうことから、これを「権利落ち日」と呼びます。
2019年の場合は3月26日が権利付き最終日、3月27日が権利落ち日。ということは、3月26日に3月決算企業の株を買い、翌3月27日に売れば、配当金を受け取ることができます。
今は配当利回りの高い銘柄が数多くあり、投資金額に対して3%、4%の配当金を受け取ることができるケースも珍しくありません。1日持っているだけで、3~4%の利回りになるなんて、そんなおいしい話があるのでしょうか?
確かに、配当金は1日保有するだけでももらえるが・・・
もちろん、そうは問屋が卸しません。通常、「権利落ち日」になると、理論上は配当金の分だけ株価が値下がりします。
例えば26日の株価500円、1株当たり配当金20円の銘柄の場合、26日に買って27日に売れば20円の配当金を受け取れますが、27日の株価は20円下がって480円になります。つまり、配当金で20円受け取ることができる一方、株価が20円値下がりするので、差し引きでプラスマイナスゼロになるのです。そして実際には、この理論通りに株価が動かないケースが結構あります。良くあるのが、配当金相当額以上に株価が値下がりしてしまうことです。
上記の例でいえば、26日の株価500円、1株当たり配当金20円であるにもかかわらず、27日には480円ではなく460円まで値下がりする、という状態です。こうなると、配当金でプラス20円の一方、値下がりでマイナス40円と、差し引きでマイナスになってしまいます。
配当金を受け取るだけのつもりが、株価の値下がりで結局マイナスになる・・・こんなことも結構頻繁に起こります。
配当金よりはるかに大きな損失を抱え込まないようにしよう
ですから、配当金の権利落ち日が近づいた段階で、配当金のみを目的として株を買うのは意外とリスクもある、ということは理解してください。
そしてもっと怖いのが、「配当金以上に株価が値下がりしたから、しばらく持っていよう」とした場合です。
株を持ち続けた結果、株価下落が止まらず、結局は多額の含み損を抱えて売るに売れずに塩漬け・・・となってしまう個人投資家がとても多いのです。筆者が個人投資家の方に常々お伝えしているのが、「株価が想定外の動きをしたことにより、株を買った当初の目的を捻じ曲げないようにしてください」という点です。
典型的な例が、短期売買で利ザヤ(売買で得た利益)を稼ごうと思ったが株価が下落してしまったので長期投資に(消極的に)切り替えた、という場合です。その結果、値下がりが続いて塩漬け株になってしまうことがとても多いです。短期売買が当初の目的なのですから、株価下落で損失となっても、短期間で決済して取引を終わらせなければいけません。
配当金目的の投資もこれと同じことが言えます。権利落ち日の直前に株を買い、権利落ち日に売って配当金を手に入れようという考え方、これ自体は筆者も別に否定はしません。
でも、権利落ち日に売ろうと思ったが株価が配当金以上に下落したので売るのをやめ、値下がりが配当金の範囲内、つまりトータルでプラスマイナスゼロになるまで待とう、という考え方は危険です。
最悪のケースに陥らないためには、当初の目的を貫徹すること
最悪のケースは、
・権利落ち日に株価が大きく値下がりしたので売らずに保有
・決算発表があまりよくない内容で、配当金も当初予定から減額
・それを受けて株価が大きく下落、含み損拡大で塩漬け株に
といった経過をたどります。
配当金はあくまでも現時点での予想ですから、実際に支払われる額と異なる場合は当然あります。大赤字の決算で、無配に修正することもあります。
配当金目的で短期的な売買をしようと決めたら、その結果が思わしくないものであっても当初の目的を貫徹すべきです。損失が生じたならそれは受け入れるべきですし、それができずにズルズルと株を保有し続けて「延長戦」を展開すれば、さらに大きな損失を被ってしまう危険性があるからです。
投資スタイル、投資手法は色々あってよいと思います。でも、大きな損失を被る恐れがある行動は、くれぐれも避けるようにしてくださいね。
(足立 武志)
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