日経平均の下値メドは?パウエル議長のハト派サプライズで円高・株安
トウシル / 2019年3月25日 7時30分
日経平均の下値メドは?パウエル議長のハト派サプライズで円高・株安
日経平均は再び2万1,000円の攻防へ
先週の日経平均株価は、1週間で177円上昇し、2万1,627円となりました。世界的な景気減速を受け、FRB(米連邦準備制度理事会)やECB(欧州中央銀行)、中国人民銀行など世界の中央銀行がこぞってハト派(金融引き締めに消極的、緩和に積極的)に転じてきていることが、世界的な株高につながりました。この流れを受け、先週の日経平均は堅調に推移しました。
ところが、先週末(22日)に、NYダウが世界景気悪化への不安を受けて、460ドル安の2万5,502ドルと急落したため、今週の日経平均は、再び大きく下がる可能性が高まりました。今週は、再び、2万1,000円をめぐる攻防となりそうです。2万1,000円が日経平均の下値支持線として機能するか正念場となりそうです。
日経平均週足:2018年1月4日~2019年3月22日
2万1,000円は、2018年には、下値支持線として機能していました。ところが、昨年12月末に、日経平均が2万1,000円を割り込んで急落すると、2万1,000円は上値抵抗線として、意識されるようになりました。今年の1~2月には、リバウンドしてきた日経平均が2万1,000円に近づくと、打ち返されていました。
3月に日経平均が2万1,000円を超えてから、再び下値支持線となる可能性も出ていました。ただし、世界景気の悪化が鮮明になり、もう一度、割り込む可能性があります。
20日に発表されたFOMC結果は、ハト派サプライズだった
22日にNYダウが急落し、ドル安(円高)が進んだのは、20日に発表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)で、パウエルFRB議長が市場予想以上にハト派になっていたサプライズ(驚き)によるものです。3つの点でハト派色が鮮明になりました。
【1】年内に利上げなしを示唆
FOMCメンバーの予測(中央値)では、今年は、利上げがゼロでした。昨年12月のFOMCの予測(中央値)では、2019年に2回の追加利上げが予想されていました。今回は、中国・欧州を始め、世界的に景気減速が鮮明となったことを受け、一気にゼロに下がりました。市場予想では、「年内にあと1回だけ利上げ」という見通しが示されるはずでしたから、予想以上にハト派色を出しました。
【2】FRBの資産縮小(量的な金融引き締め)を9月までで終了すると正式に発表
事前の市場予想通りです。量的な引き締めは、終了に向かいます。
【3】一部に利下げの思惑生む
FRBの要人発言から、年内に利下げもあり得るとの見方も出ています。金利先物に織り込まれている年内利下げの確率は、約30%となっています。
ドル安(円高)・株安につながったハト派サプライズ
ハト派サプライズだったFOMC結果を、20~21日の米国株式市場では消化不足のままでした。「株式市場に優しいFRB」に安堵する一方、「それだけ世界景気の悪化が進んでいる」と警戒感も出ました。22日には、世界景気に加え、米国景気も悪化する不安が出て、米国株安、米ドル安(円高)が進みました。
今週の日経平均は、これを嫌気して、2万1,000円前後まで下がる可能性があります。米FRBが利上げ停止だけでなく、利下げも視野に入れてくると、日銀に追加緩和の余地がないことから、円高が進みやすい環境となります。
ドル/円為替レート日足:2018年10月1日~2019年3月22日
今が2019年の世界景気悪化を織り込む最終局面との見方を継続
私は、昨年12月末以降、世界的に株が急落し、日経平均が一時1万9,000円を割れたのは、2019年の世界景気悪化を織り込む動きであったと考えています。
今年に入ってから、世界的に株の急反発が続き、それに伴って、日経平均も反発が続いてきました。これは、世界景気が2020年に回復するのを織り込む、最初の動きだと考えています。
ただし、19年の悪化はまだ完全に織り込み済みとは言えません。今まさに、世界景気が悪化していることを示す指標の発表がどんどん増えています。これから、景気が悪いという話は、さらに増えるでしょう。
目先、円高・株安が復活する可能性があります。日経平均の下値メドは、2万1,000円と考えていましたが、円高がさらに進むと、2万円近くまで下がる可能性も出てきました。
ただし、そこは、長期投資で、日本株の良い買い場になると考えています。2020年に世界景気の回復を見ているからです。19年の景気悪化が織り込み済みとなれば、その後は、年末にかけて日経平均は上昇トレンドに入ると見ています。年末の日経平均の予想は、2万3,000~5,000円です。今週下げたところで、日本株をしっかり買っていくことが、長期の資産形成に貢献すると予想しています。
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