下がってもよし、上がったらなおよし!子へ。孫へ。ジュニアNISAで相続対策
トウシル / 2019年4月5日 14時56分
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下がってもよし、上がったらなおよし!子へ。孫へ。ジュニアNISAで相続対策
相続対策は早めに行うのが効果的だといわれています。そのため「ジュニアNISA(ニーサ:少額非課税制度)」をうまく活用することも有効な対策の1つとなります。
相続税を減らすのに、なぜ生前贈与が有効なのか?
「相続税を減らしたいなら生前に贈与をすべき!」というのは、何となく聞いたことのある方が多いと思います。でも、なぜ生前贈与をすると相続税対策になるのか、その理由について理解している人は意外と少なかったりします。
なぜ生前贈与が有効なのか、それは相続税と贈与税の税率の差にあります。贈与税の税率は相続税の税率より高いと思われていますが、それは一度に多額の財産を贈与した場合の話です。一度に贈与するのではなく、何年かにかけて小分けに贈与をしていけば、贈与税の税率は相続税の税率よりはるかに小さくなるのです。
1人に対して年間300万円贈与すると、受け取った側の贈与税は19万円。税率でいえば6.3%に過ぎません。
例えば、子ども(将来の相続人)が3人いて、相続が現状のまま発生するとします。相続税の税率が30%かかる方の場合(基礎控除後)、それぞれの子どもに年間300万円ずつ5年贈与すると、合計で300万円×3人×5年=4,500万円です。これに対する贈与税額は19万円×3人×5年=285万円です。
もし、この4,500万円を贈与しないと相続財産として残りますから、4,500万円×30%=1,350万円の相続税がかかります。1,350万円の税金がかかるものが、生前に贈与しておけば285万円で収まるのです。
「父母から子へ」より「祖父母から孫へ」の方が、より有効な対策に
また、生前贈与は「父母(親)から子」より「祖父母から孫」へ行った方が、より有効な対策となります。
親から子の場合、親が亡くなる以前(相続開始前)3年以内になされた贈与については、相続財産に加算されますので、相続税を軽減する効果がなくなってしまいます。
また、税金とは直接関係はありませんが、相続人への生前贈与は遺留分算定の際に加味されたり、遺産分割協議の際に問題になったりしますので、やり方を間違えると逆にトラブルの原因になる可能性もあります。
しかし、祖父母から孫への贈与(いわゆる「一代飛ばし」と呼ばれる方法です)であれば、孫は祖父母にとって相続人ではないので、相続開始前3年以内の贈与であっても相続財産とはなりません(ただし、養子縁組で孫が祖父母の相続人になっている場合は、相続開始前3年以内の贈与は相続財産に加算されます)
つまり、祖父母から孫への贈与を行えば、その時点で祖父母の相続財産から切り離すことができるのです。すでに子が高齢になっているのであれば、親から子ではなく、祖父母から孫への贈与を検討してみてもよいでしょう。
ジュニアNISAを活用すると期待できる効果とは
ジュニアNISAを相続税対策として活用するのであれば、ジュニアNISA口座への入金は、親、もしくは祖父母が贈与するという形が一般的です。
ジュニアNISAの年間非課税枠は80万円、それが最大5年間使えますから合計400万円です。これをすべて贈与で行えば、400万円の財産を親から子、もしくは祖父母から孫へ無税で移すことができます。※ジュニアNISAの概要についてはこちらのコラムをご覧ください。
そして、ジュニアNISAで運用した結果、資産が増えた場合、受け取る側は親もしくは祖父母が贈与した以上の金額を受け取ることができます。
逆に、もしジュニアNISAでの運用がマイナスになったとしても、受け取る側の金額が減るだけで、贈与する側にとっては、当初の贈与額分、相続財産を減少させるという効果は変わりません。
まとめると、次のようになります。
・ジュニアNISAの運用成果にかかわらず、贈与する側(親・祖父母)は贈与した金額につき財産を移転させることができるため、相続税の軽減効果あり。
・受け取る側はジュニアNISAの運用次第で、贈与額以上の財産を受け取ることができる。ただしマイナス運用であれば、受け取る財産は目減りする。
ジュニアNISA以外の対策との違いは?
ジュニアNISAを用いる以外の対策としては、例えば以下のようなものが考えられます。
・金銭そのものを贈与する
・教育資金の一括贈与の特例
・生命保険の利用
筆者は、相続税対策を行う際は、その目的をしっかりと意識して実行すべきと考えています。ジュニアNISA口座へ投資資金を贈与する場合は、受け取った側は運用成果次第で金額が上下することになります。したがって、例えば教育資金など、渡した金額が目減りしては困る場合、ジュニアNISAへの贈与ではなく、金銭そのものを贈与すべきです。
なお、教育資金については一括贈与の特例もありますが、必要な都度贈与する教育資金については非課税となっています。贈与する側が余命いくばくもない場合を除いては、必要な都度、現預金を贈与すればよいでしょう。
また、生命保険金の相続税非課税枠(法定相続人の数×500万円)をまだ使っていない場合は、この枠を活用するため、子(相続人)を受取人とする生命保険に加入しておけば、相続税を軽減することができます。
個人的には、まず教育資金の都度贈与や生命保険金の相続税非課税枠活用を考えるのが望ましいと思います。それでもまだ、子や孫に移転するだけの財産を親や祖父母が有している場合には、ジュニアNISAを相続税対策として考えるのがよいのではないでしょうか。
(足立 武志)
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