パーク24、実質2桁増益へ。拡大中のシェアリングエコノミー市場に注目
トウシル / 2019年4月10日 5時10分
![パーク24、実質2桁増益へ。拡大中のシェアリングエコノミー市場に注目](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushiru/toushiru_20540_0-small.jpg)
パーク24、実質2桁増益へ。拡大中のシェアリングエコノミー市場に注目
1.パーク24に投資妙味あり
パーク24の株価推移
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/a/1/-/img_a1d2cce3ca8f99befd1cd8f22515fb8650283.jpg)
出所:楽天証券ホームページ(月足チャート、2019年4月8日取得)
足元の株価に投資妙味が感じられるパーク24(4666)に注目しています。株価は、減益計画の公表が嫌気され、2018年末頃に下落しました。
しかし、2019年10月期に発生する一時的なコスト(自然災害や本社移転コスト、東京オリンピックの公式スポンサー費用など)を除くと、当期純利益は17.5%増となる見通しです。このベースで求めたPER(株価収益率)は20.8倍であり(2019年4月4日終値ベース)、過去の実績PERと比べると低水準です。カーシェアリングサービスで伸びるという長期的な成長ストーリー自体に変わりがないことを考慮すると、現在の株価には投資妙味があると考えられます。
連結業績の推移
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/c/7/-/img_c743ede57ca1a234f9a328821326872f104589.jpg)
出所:会社資料より楽天証券作成
※1:特殊要因除去後の経常利益増減率は、2018年10月期特殊要因を除く経常利益236億円に対する前期比
※2:特殊要因除去後の当期純利益増減は、2018年10月期特殊要因を除く当期純利益146億円に対する前期比
※3:2013年10月期~2018年10月期PERは実績。2019年10月期PERは2019年4月4日の株価終値2,310円から求めた予想PER
同社は時間貸駐車場の最大手で「タイムズ」を展開していますが、2009年からカーシェアリングサービスの「タイムズ カー プラス」をスタートしています。同サービスを始めた頃はその収益性を懸念する声もあったようですが、同事業の営業損益は2014年10期に黒字転換をし、その後も利益は拡大中です。
なお、「タイムズ カー プラス」の特徴は、最寄りの専用カーステーションにある自動車をスマートフォンなどで出発の3分前まで予約できる点や、貸出手続きの対応が無人でできるため24時間受け渡しが可能な点です。
パーク24のセグメント業績推移
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/d/a/-/img_daa3b1a225e09bcaaf2ce7a11117c35774458.jpg)
出所:会社資料より楽天証券作成
過去の業績を振り返ると、2014年の消費増税や海外子会社買収コストが発生したタイミングで減益となっていますが、成長の要と考えられるモビリティ事業(カーシェアリングとレンタカー等で構成)は成長が続いています。
モビリティ事業の営業利益推移
(期間:2012年10月期~2019年10月期)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/c/2/-/img_c27b128402f2d194bfa88fa36ad000e837973.jpg)
注:2019年10月期は会社計画値
出所:会社資料より楽天証券作成
モビリティ事業の連結営業利益に対する割合
(期間:2012年10月期~2019年10月期)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/0/e/-/img_0e0e4daded4b5f2f86fa5ef7153b757b28986.jpg)
出所:会社資料より楽天証券作成
パーク24は単にシェアリングエコノミー拡大の恩恵を受けて成長しているわけではなく、自らそのサービスを発展させて効率的に利益を稼いでいます。個人の利用が少ない昼間の稼働率を上げるために法人の需要を取り込んでおり、直近では、東海道・山陽新幹線の全ての駅前にカーステーションを設け、利便性を向上させています。
さらに、足元では、自社レンタカー店の敷地と車両もカーシェアリングに利用できるように実験を始めています。実現できれば、様々な車種を、短時間から数日にわたって気軽に利用できるようになります。
同社の現時点での主力事業は駐車場ですが、モビリティ事業の営業利益構成比は今期2019年10月期に約4割まで拡大する見通しです。長期的には、駐車場管理事業が安定的に推移する中、モビリティ事業が業績をけん引する可能性が高いと考えられます。
2.他にはどんな企業が?シェアリングエコノミー銘柄一覧
シェアリングエコノミー(※)市場は、矢野経済研究所によると、2018年度に約825億円(前期比15%増)となり、その後も規模拡大が続く見通しです。
※シェアリングエコノミー:資産や資源を不特定多数の人と共有できる経済を指す
シェアリングエコノミー市場の推移(サービス提供事業者売上高ベース)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/8/e/-/img_8e1a2c5291be3f5edacc0cf2d746955e35606.jpg)
出所:矢野経済研究所「シェアリングエコノミー(共有経済)サービス市場に関する調査(2018年)」
拡大する需要を受けて、様々な企業がシェアリングサービスを提供しています。
シェアリングエコノミー関連銘柄
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/5/2/-/img_5298c3da57fc3abeb60794b4a26f5e03100367.jpg)
(1)乗り物のシェア
タクシー系企業がIT系企業等と提携し、配車サービスを強化する動きを強めています。Japan Taxi(非上場)は、KDDI(9433)、トヨタ自動車(7203)等と提携して、人工知能を活用した配車支援システムを試験導入しています。
一方、第一交通産業(9035)は、ソフトバンクグループ(9984)が出資する米配車サービス企業、ウーバー・テクノロジーズと提携しました。また、中国の配車サービス企業、滴滴出行(ディディチューシン)とは、訪日中国人が使っているアプリからタクシーを呼べるサービス等を一部地域で始めています。
レンタカー系企業では、先述したパーク24(4666)を筆頭に、保有する車両を活かしたカーシェアリングサービスを展開しています。カーシェアリングサービスは、1台の自動車を複数の会員が共同で利用する利用形態を指し、最寄りのカーステーションで好きな時間に自動車を利用できる点に特徴があります。
(2)スペースのシェア
民泊新法の発効や2020年の東京オリンピックが後押しになり、大企業が積極的に民泊ビジネスに参入しています。楽天(4755)はLIFUL(2120)と共同出資、その子会社が米旅行サイトのエクスペディアと提携、リクルートHD(6098)は米民泊サービスのエアビーアンドビーと提携しました。ニトリ(9843)も宿泊事業に参入しています。
(3)モノのシェア
非上場のエアークローゼットは、衣類のシェアサービスを展開しています。ラクスル(4384)はシェアリングエコノミーの代表的な銘柄で、印刷機のシェアサービスを展開しています。同社が主体となって印刷機を持つ多数の業者と提携し、空いている印刷機を活用することにより、割安な単価で印刷サービスを提供しています。
(4)人のシェア
個人のスキルと、そのスキルが必要な人をマッチングさせる仕組みをクラウドソーシングと言いますが、それを柱に事業を展開している企業としてクラウドワークス(3900)が挙げられます。同社プラットフォームでは、200種類以上の仕事のマッチングが可能です。
(5)カネのシェア
サイバーエージェント(4751)がクラウドファンディングを、GMOフィナンシャルHD(7177)傘下のGMOクリック証券が貸付型クラウドファンディングを展開しています。
以上のように様々な企業がシェアリングサービスを展開していますが、現時点では、以下3点のポイントから、乗り物のシェアに特に注目しています。その中でも、シェアリングサービスの業績に与える影響が大きいパーク24が有望銘柄と考えています。
- 潜在需要の高さ
訪日観光客の需要のみならず、節約意識や高齢化を背景にした長期的な需要の拡大が見込める。 - 参入障壁の高さ
日本では自家用車によるライドシェアが法律で禁止されているため、既に多くの自動車を抱える企業が有利な立場に立てる。 - 技術的発展による効率化
ユーザーの走行履歴から需要予測を立てることにより、将来的にはより効率的なサービス提供に期待が持てる。
(松村 梨加)
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