先行上昇の日経平均は「水平線(2万2,000円)上のストラテジー」。楽観ムードに水を差す展開には要警戒
トウシル / 2019年4月15日 15時0分
![先行上昇の日経平均は「水平線(2万2,000円)上のストラテジー」。楽観ムードに水を差す展開には要警戒](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushiru/toushiru_20630_0-small.jpg)
先行上昇の日経平均は「水平線(2万2,000円)上のストラテジー」。楽観ムードに水を差す展開には要警戒
日経平均は年初来高値更新、まだ上値を追える?
先週末4月12日(金)の日経平均株価は2万1,870円となりました。前週末終値(2万1,807円)比では63円高と小幅上昇にとどまりましたが、週足ベースでは2週連続の上昇、そして終値ベースでは年初来高値を更新して取引を終えています。また、この日はミニ先物取引およびオプション取引の精算日(SQ)でしたが、そのSQ値も週末の終値と同じ2万1,870円でした。
今回もいつもの通り、日足チャートで足元の状況から確認していきます。
■(図1)日経平均(日足)の動き(2019年4月12日取引終了時点)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/4/c/-/img_4c0393895b306a2df5cea629782e4a5463914.jpg)
まずはローソク足の並びから値動きをチェックしていくと、週初の8日(月)は一段高でスタートしましたが、上値を伸ばせずに上げ幅を縮小させて、大きめの陰線となりました。その後は売りが優勢となるものの、しぶとく買いが入って陽線が続いて下げ渋りを見せ、週末にかけて値を戻していく展開となっています。
冒頭でも触れた通り、日経平均は終値ベースで年初来高値を更新したわけですが、取引時間中の高値についても年初来高値を更新しています。ただ、その高値は8日(月)の始値である2万1,900円でもありますので、週初の取引開始時がいちばん高い、「寄付天井(よりつき天井)」だったわけです。
さらに、5本のローソク足を合成して週足にすると、実体が短く、下ヒゲも長くなっていて、「カラカサ」もしくは「トンボ」と呼ばれる線になっています。下げた分をほぼ取り戻したわけですから、形としては悪くはなく、まだ上値を追える状況と考えることができます。もっとも、その上値については、200日移動平均線が抵抗線として立ちはだかっていますが、株価水準は保ち合いの上限の線をキープしていますので、こちらも上方向への意識を感じさせます。
他の株価指数も日経平均にキャッチアップできるかが焦点に
ただ、TOPIX(東証株価指数)にも注目すると別の景色が見えてきます。
■(図2)TOPIX(日足)の動き(2019年4月12日取引終了時点)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/f/c/-/img_fc89c40b7ef91afeffff98503238ef9557826.jpg)
先週のTOPIXの値動きを振り返ると、日経平均とは異なり、週初の下げを取り戻せていません。株価位置は25日移動平均線水準、200日移動平均線との距離も少し離れています。特徴的なのは週末12日(金)の取引で、この日は日経平均が前日比で0.73%の上昇となる一方、TOPIXは0.07%のマイナスとなっています。マザーズ指数や日経JQ平均についても、それぞれ1.37%安・0.33%安となっていて、日経平均だけが強い動きを見せました。その背景にあるのは、指数寄与度の高いファーストリテイリングやソフトバンクの両銘柄が上昇したことになります。
先行して上昇した格好の日経平均ですが、今週もさらに値を伸ばす展開でスタートしそうです。予想以上に好調だった中国の貿易統計の結果や米国企業の決算期待を受けて、12日(金)の米国株が大きく上昇し、日経平均の先物取引の終値は大証で2万2,070円、CME(シカゴ)で2万2,080円と、節目の2万2,000円台乗せとなっています。さらに、為替(ドル/円)も1ドル=112円台の円安へと動いていることも追い風となりそうです。
そのため、今週の日経平均は「200日移動平均線を上抜け」と「2万2,000円台水準との位置関係」を中心に、「TOPIXなど他の株価指数が日経平均にキャッチアップ」できるかが焦点になります。
日米の通商会合、中国の経済指標発表の影響に注意
とはいえ、今週は市場の楽観ムードに水を差すかもしれない伏兵も待ち構えています。具体的には日米間の閣僚級の通商会合(TAG:物品貿易協定)が週初の15日(月)~16日(火)にかけて行われます。先日、トランプ米大統領がEU(欧州連合)からの輸入品に関税を課す方針を示したばかりですので、日本に対しても要求のハードルを上げたり、要求を通すために圧力をかけてくる可能性には注意が必要です。
また、17日(水)には中国で1-3月期のGDP(国内総生産)をはじめ、小売売上高や工業生産、固定資産投資など、3月の経済指標がまとめてドンと発表されます。最近の国内外の株式市場は中国経済の底打ち感と持ち直し期待で上昇してきただけに、実体経済の状況も確認したいところです。これまでは、中国経済減速に対して「底打ち感を与える材料」を好感してきましたが、今後は次第に「底打ちから回復の強さ」が問われることになります。いわゆるV字回復なのか、緩やかに回復するのか、それとも底打ちしたものの低迷が続いてしまうのかなど、中国経済の見極めはここからが本番です。
逆を言えば、これらのイベントを無難に通過できれば、さらなる株価上昇の展開も期待できるわけです。来週は国内10連休前で動きづらくなることも予想されるため、今週のうちに「行けるところまで行ってしまえ」と、思わぬ上昇を見せることがあるかもしれません。その際には前回も紹介したエンベロープの+3%や+6%の線が目安の参考として意識されそうです。
■(図3)日経平均のエンベロープ(25日移動平均線を基準)(2019年4月12日取引終了時点)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/9/d/-/img_9dd6c07789aea35349c7be12750f89d472701.jpg)
そのため、基本的には強気スタンスで良いのですが、前回も指摘した通り、下落に転じた時は下げのピッチが速くなる状況に変わりはないため、深追いには要注意で、引き際の潔さも試される週になると思われます。
(土信田 雅之)
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