2万2,000円回復に潜む矛盾とは?値上がり数<値下がり数で日経平均が上昇!?
トウシル / 2019年4月22日 5時10分
2万2,000円回復に潜む矛盾とは?値上がり数<値下がり数で日経平均が上昇!?
「日経平均は上がっているのに、私の持っている株は全然利益が出ていない」
今、株投資をしている人の中で、こう考えている方は多いのではないでしょうか。この相場の上昇動向については、以前も本連載でお伝えしましたが、筆者は懐疑的です。
確かに「マーケットが提示する価格が常に正しい」ので、今の市場価格は誰が何と言おうと正確な値段であると思います。しかしながら、不自然な相場の動きはこれまで「神の見えざる手」によって、ほとんど修正されています。
今回は、現在の相場について強気になれない理由をお伝えします。
TOPIXと日経平均がかい離している
前回の記事「売りが増える『半年ルール』?需給悪化で日本株どうなる。10連休はポジション減の備えも」にて、日経平均株価の「日柄」について述べました。回転日数から考えると、4月12日前後まで強いのではないかとしましたが、その後も日経平均自体は上昇が続いて、あっと言う間に2万2,000円を超えてきました。
改めて紹介しますが、この回転日数とは「買い終える日数」と「売り終える日数」のリズムのことです。市場はある程度、限られた資金の中で売買が行われており、取引参加者が「買い終えたら下がる」「売り終えたら上がる」と筆者は考えています。
東証1部上場全銘柄の指数であるTOPIX(東証株価指数)と日経平均を比較し、今の相場が強いかどうか、考えてみます。
ちなみに、日経平均よりTOPIXの方が指数算出に偏りがないため、相場の体温を計るには、より正しい指数であると筆者は考えています。
まずは日経平均ですが、図1のように抵抗ラインを上抜け、強そうに見えます。
図1:日経平均株価のチャート
では、次に図2でTOPIXを見てみます。
図2:TOPIXのチャート
TOPIXは日経平均と違い、上値抵抗線を抜け切っていません。日経平均だけ見れば強く感じますが、TOPIXを見ると、もう一段の上昇がないと強気転換はできないと思います。
「2万2,000円回復!」と華やかなニュースが出るウラで、投資家が満足するパフォーマンスを出せていないと思うのは、これを見れば分かります。
市場は含み益の投資家が多くいなければ、本当の意味では強くなりません。TOPIXは2018年1月高値1911.31ポイントを高値に、下落したまま。ここに前回の記事に掲載した信用買いの期日が、4月ごろから到来していくわけです。まだまだ予断は許さないでしょう。
日経平均と採用銘柄の値上がり、値下がり銘柄数の関係
さらに、4月に入ってから日経平均の上昇の中身が非常に偏ってきています。
通常、日経平均が上昇していれば、日経平均採用銘柄の中で「下落している銘柄」よりも「上昇している銘柄」の方が多いというのが当然です。
図3:日経平均の実績動向(3月)
黄色で表示した日は日経平均が上昇しています。このように、日経平均が上昇した日は「上昇数−下落数」の項目を見ると、下落銘柄数よりも上昇銘柄数の方がおおむね多いことが分かります。
では、4月に入ってからの状況をご覧ください。
図4:日経平均の実績動向(4月)
表中の項目「下落銘柄>上昇銘柄」にある●マークは、日経平均が上昇しているにもかかわらず225銘柄の中で「上昇した銘柄」よりも「下落した銘柄」の方が多いことを表しています。4月に入り、このような日が5日もあるのです(4月16日現在)。
日経平均という指数は、分かりやすく言えば「価格の大きな株」の影響を受ける指数です。例を挙げれば、4月12日にファーストリテイリングが急騰し、それだけで日経平均を160円程度押し上げることが発生しました。
このように4月に入ってからの上昇というのは「普通ではない」と言えるのです。
戦わないも戦略
このような「普通ではない」相場は、投資家の思考を狂わせます。
2018年年末は悪いニュースやレポートばかりが取り上げられましたが、このように相場が回復すると、今度は楽観的なニュースばかりが出てきます。熱心に情報収集するような投資家の方ほど「難しすぎて分からない」と思う相場だと思います。そのようなときは、無理に買わず売らずのスタンスでいいと思います。
「待つも相場」「待つは仁」です。
※次回の本連載は5月7日(火)5時頃に公開予定です。
(菅原 良太)
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