社長が社員に「保有株」をプレゼント!税金はどうなる?
トウシル / 2019年4月19日 9時8分
社長が社員に「保有株」をプレゼント!税金はどうなる?
社長が社員に「保有株」をプレゼント!税金はどうなる?
会社は株主のもの。でも会社が発展成長するためには社員へ報いることも必要です。例えば社長が保有する自社株を社員にプレゼントすることもあります。でも、その場合、税金はどうなるのでしょうか?
社長が保有する株式を役員・社員に贈与?
4月10日、メディアドゥホールディングス(3678)が「当社社長保有株式の従業員などに対する贈与に関するお知らせ」というプレスリリースを出しました。
社長の藤田 恭嗣氏が、子会社含む役員、社員へ、社長自身が保有しているメディアドゥホールディングス株を贈与するという内容です。
社長が保有する自社株を社員に贈与するというのは珍しいですが、社員にとっては臨時ボーナスのようなもので、うれしいですよね。
ただここで気になるのが「税金はどうなるの?」という疑問。そこで今回は、これを題材にして贈与税について学んでみましょう。
株式を贈与する側・もらった側の税金は?
まず、今回のように、自分が持っているものを他の誰かにタダであげた(贈与した)場合、贈与した側(今回であれば社長)には税金はかかりません。よく、相続対策で親御さんが子どもや孫に財産を生前に贈与することがありますが、タダで渡す分には、渡す側は税金の問題は生じません。
一方、贈与を受けた(もらった)側は、贈与税の対象となります。従業員が社長から株をもらう場合、会社から給料を受け取ったのではなく、あくまでも社長個人からもらったので、所得税ではなく贈与税の対象となるのです。
一般に税務の世界では、贈与した側(渡した側)を「贈与者」、贈与を受けた側(もらった側)を「受贈者」と呼びます。
贈与を受けた株は果たして「いくら?」
贈与税を計算するには、まず贈与を受けた財産がいくらなのか、金銭価値に置き換えなければなりません。もし100万円の贈与を受けたなら、それは当然100万円として評価されます。ですが、株式の場合は少し複雑になっています。
例えば、メディアドゥホールディングス株の贈与日(4月11日)の株価の終値は2,578円でした。上場株式の場合、贈与日の終値で評価するのが原則です。ただし、贈与日の終値よりも「贈与日の属する月の終値の平均値」「贈与日の属する前月の終値の平均値」「贈与日の属する月の前々月の終値の平均値」の方が低い場合は、そちらを使ってもよいことになっています。
したがって、4月11日に贈与を受けた場合は
- 4月11日の終値
- 4月の終値の平均値
- 3月の終値の平均値
- 2月の終値の平均値
のいずれか最も低い金額で評価することになります。
現時点で4月の終値の平均値はまだ出せませんが、3月終値の平均値は2,738円、2月終値の平均値は2,356円です。4月の株価次第ですが、現時点では最も低い2月終値平均の2,356円で評価することになります。
贈与税には「非課税枠」がある
贈与税には「非課税枠」があります。年間の贈与額のうち110万円までは税金がかかりません。なので、もし上記の2,356円でメディアドゥホールディングス株を評価するとした場合、400株の贈与を受けても2,356円×400株=94万2,400円となり110万円以内になるので贈与税はかかりません。
もし500株の贈与を受けた場合は、2,356円×500株=117万8,000円となります。ここから110万円を差し引いた7万8,000円が贈与税の対象となります。この場合の税率は10%ですから、贈与税は7,800円と計算されます。
他に贈与がある場合は要注意!
1つ注意したい点があります。1年の間に複数の人から贈与を受けている場合、それらを合算して贈与税を計算しなければなりません。
例えばメディアドゥホールディングス株の例で、400株の贈与を受けた場合は94万2,400円と110万円以内に収まっているので贈与税はかかりません。しかしこれ以外に、同じ年に親から100万円の現金の贈与を受けているとしたら、合計で94万2,400円+100万円=194万2,400円となり、110万円を超えます。したがって、贈与税がかかることになります。
他に、贈与を受けたのが現金であれば、そこから贈与税を支払うこともできますが、もし現金ではなく株式や不動産などの場合は、それらを換金するか、自分の手元金を贈与税の納税に充てなければなりません。
社長から株をもらうのは誰だってうれしいと思いきや、もしかしたら、ちょっと複雑な心境に陥っている人がいるのかもしれませんね。
※本コラムの内容は一般的な税務の取り扱いについて記したものであり、個々の状況に応じて、これとは異なる取り扱いになる可能性もあります。最終的な判断や意思決定は、税務署や税理士に相談の上、行うことをおすすめします。
(足立 武志)
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