先進国、新興国で投資をするなら?経済が高成長する国を見つけよう!
トウシル / 2019年5月16日 5時10分
![先進国、新興国で投資をするなら?経済が高成長する国を見つけよう!](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushiru/toushiru_21152_0-small.png)
先進国、新興国で投資をするなら?経済が高成長する国を見つけよう!
これまで何度か、世界経済の成長による金融市場の拡大の流れに乗り、株価は長期的には上昇する蓋然性(がいぜんせい)が高いと書いてきました。今回は、世界経済をブレークダウン。国別に見て、どの国が高い成長を上げやすいかを見極める方法についてお伝えします。
経済が高成長する国の株価は上がりやすい
経済成長率が高い国では、企業収益は、短期的にはアップダウンがあっても、長期的には伸びることになります。理論的には、株価の裏付けは企業収益であり、企業収益が伸びれば、株価は上がり、落ちれば、株価は下がります。株価は、企業収益以外の影響でも動くため、絶対ではありませんが、一般的には、経済成長率が高い国の株価は、長期的には上昇トレンドになりやすいと言えます。
つまり、投資で利益を上げるには、長期的に高い経済成長ができる国を見つけて、その国の株式に投資すればよいことになります。そんなことは可能でしょうか?
実は、長期的に高い経済成長率を上げられる可能性が高い国を見つけることはできます。
高成長する国を見つけるには、人口動態に注目
人口動態という言葉を聞いたことがありますか?
辞書で調べると「ある一定期間の人口の変動、動き」とあります。この人口動態を見れば、高い経済成長を上げる可能性が高い国を見つけることができるのです。
新聞などを読んでいると、GDP(国内総生産)という言葉がよく出てきます。GDPは、難しい言葉で言うと、国内で生産された付加価値の総額ですが、平たく言うと、経済の規模を表します。このGDPは、「労働人口」と呼ばれる労働者の数と、「労働生産性」と呼ばれる労働者一人当たりが生み出す成果を掛け合わせたものになります。式で書くと、以下のとおりです。
GDP = 労働人口 × 労働生産性
このGDPをできるだけ大きく伸ばすことが、ずばり高い経済成長率につながりますので、その実現のためには、上記の式の労働人口か、労働生産性の両方、またはどちらか一方をできるだけ大きくすることが必要になります。
労働生産性は、労働者一人当たりが生み出す成果と書きましたが、この長期的な動きを予測することは簡単ではありません。例えば、今から30年前の1989年に平成の世が始まりましたが、そのときにはインターネットは存在せず、職場にパソコンはなく、携帯電話もごく一部のお金持ちしか持っていませんでした。しかし、今はインターネットが当たり前の世の中となり、職場だけでなく家庭にもパソコンがあり、誰もが携帯電話やスマートフォンを持っています。この技術革新は、一人の労働者が同じ仕事を仕上げるためにかかる時間を大幅に短縮しましたが、30年前にこれほどの労働生産性の向上を予測することは困難でした。
一方、労働人口は、ある程度の予測が可能です。その国の出生率と死亡率には、一定のトレンドがあり、それらの水準は簡単には変わりません。そのため、人口構成の変化を予測できますし、海外から入ってくる人の数も外国人の受け入れ政策からある程度予測できます。つまり労働人口の動きについては、相当な長期にわたって精度の高い予測が可能なのです。
各国の人口動態を見てみよう
世界全体と先進国、新興国の人口動態を具体的に確認します。いろいろな角度から見ることができますが、今回は労働人口の動きを見ることにします。
以下は、先進国と新興国の労働人口(15歳から64歳までの人口)を10年単位で、過去の実績から未来の推計までを表示したもので、10年毎の伸び率も表示しています。
世界全体は、2050年まで、10年毎に労働人口が増えていきます。しかし、新興国は、プラスで伸び続ける一方、先進国は、2020年以降は減っていきます。GDPを成長させるには、労働人口は増え続けたほうがいいので、先進国は、新興国に比べ、経済成長の面で不利と言えます。
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/c/8/-/img_c817051dd9a57b62b49346703487167a79700.jpg)
次に、先進国各国の状況を見てみましょう。
日本やドイツ、フランス、イタリアは、先行き労働人口が減っていきますが、米国、カナダ、オーストラリアは労働人口が増え続けます。先進国全体では、前述のとおり、労働人口は減っていきますが、国によって増える国もあれば、減る国もあります。
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/e/6/-/img_e6eb274a3951664fd54c8a4b3d27dca5106559.jpg)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/0/e/-/img_0ea57786e944acbc73b83b455b3b5b7e105502.jpg)
最後に、新興国を見てみましょう。
中国、ロシアの労働人口が今後どんどん減る一方、インド、南アフリカは増え続けます。新興国全体では、労働人口は増え続けるものの、国によっては、減り続ける国もあるのです。
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/6/e/-/img_6e8ee545acc9ec457398c109a0b60070130123.jpg)
このように、先進国も新興国も労働人口の状況は国により異なります。ただ筆者がこの表を見た印象では、移民などで人が流入しやすい国のほうが労働人口は増えやすい予想になっていると感じます。あくまで、2017年時点の国連の予想数字ですが、先進国では、移民大国である米国、カナダ、オーストラリアの労働人口の伸びが顕著で、新興国でも、インド、南アフリカのように国外に民主化が進み、外国から人が入ってきているやすい国の労働人口が伸びるという推計になっています。
株価が上がる条件は、人口動態のみではありませんが、長期的に見て、株価の裏付けとなる経済成長についていえば、労働人口が増えていく国に比べ、減っていく国が不利なことは否めません。みなさんも長期投資を考えるときには、人口動態の視点を取り入れてみてはいかがでしょうか。
(大澤 健吾)
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