分かりやすさがモットー!【シンプル型富裕層】の投資術
トウシル / 2019年5月29日 5時0分
分かりやすさがモットー!【シンプル型富裕層】の投資術
分かりやすさがモットー!【シンプル型富裕層】の投資術
今回は、経営業務に忙殺される中、個別株と投資信託に投資し、4年間で合計2.5億円の投資利益を上げている「J・J文氏」の“シンプル イズ ベスト”、というべき投資法をご紹介します。価格変動や業績変動が「分かりやすい」商品を選択し、その背景を冷静に分析する「シンプル型」投資術とは?
個別株も投資信託も「分かりやすい」が一番
J氏の資産運用のモットーはズバリ、「シンプルに徹すること」。運用内容は個別株と投資信託ですが、どちらもシンプルな考え方を貫いています。
個別株投資では、会社の内容や状況が見えやすく、株価の動きを追うというシンプルな取引。信用取引にて、自身で積極的に売買しています。
投資信託では、「価格変動の要因の分かりやすさ」を重視。基準価額が動いた要因が自分ですぐに確認、理解できる単純な仕組みの投資信託しか選びません。投資信託の基準価額よりも、実際の投資先の資産の価格状況を重視します。さまざまな資産が複合的に組み入れてある投資信託だと、どういった要因で基準価額が動いたのか、組み入れてある投資資産の価格状況はどうなっているのか、といった取引の判断に大切な要素が見えにくくなってしまうからです。
株式や債券といった異なる商品が組み入れてあるバランス型の投資信託や複合資産の投資信託は避け、株式投信、それも投資先の国を1国に限定したものしか取引しません。さらに、投資信託にはテーマが設定されているため、例えば大型株中心のものや、中小型株中心のもの、インターネットに関係する企業のみを組入れるもの、といったように対象をより狭く見ることができる商品を選びました。
米国の大型株に投資する投資信託であれば、ドル円の為替レートの動きと、NYダウの動きと、投資信託の基準価額の動きを照らし合わせ、変動要因が株価によるものか為替によるものかを把握しながら米国株の動きを見つつ、投資信託の基準価額の動きをチェックします。投資信託と比較するNYダウや日経平均株価との動きの差が、コスト以上に悪いものであれば運用がうまくいっていないことになりますし、うまくいっている場合は組み入れ銘柄の選別効果と考えることができます。比較のためには、ある程度長期間の運用実績が必要です。それではJ氏の実際の取引例を見てみましょう。
売り時バッチリで総利益2.5億円!
J氏が購入したファンドの一つ、米ブラックロック社が運用を行い、設定が1998年7月というロングセラー商品【ブラックロックのUSベーシック・バリュ・オープン】について解説します。ファンドの目的は、「主に米国株式を投資対象として、過小評価されている株式に投資し、値上がり益及びインカム収益を追求します」とあり、シンプルな米国株式へのバリュー投資スタイルを取る投資信託です。
J氏は、この投資信託を2011年10月に1億円買付けました。基準価額は7,000円ほどでした。「リーマン・ショックからちょうど3年が経ち、これから米国を中心に世界経済が回復に向かうとすれば、過去を見ても米国株式の上昇なくして世界経済の回復はないだろう。だとしたらシンプルに米国の大型割安株を中長期保有するのが有効だ」というのがJ氏の判断です。
そして2015年の10月頃、中国経済の不安が話題になり、米国では9年半ぶりの利上げ開始を控えて市場が不安定な傾向へ。J氏はそこでいったん利益確定しました。実際、この年がほぼ頂点となって価格は緩やかに下落または横ばいへ。売却タイミングはバッチリで、基準価額は1万8,000円ほど。1.5億円の利益を得ました。
過去の米国株の歴史を見る限り、長期の力強い上昇トレンドが失われる事態は考えにくく、米国株全体の上昇の動きと為替の動きをほぼダイレクトに反映する、という点から、J氏はこの投資信託を使いました。シンプルな仕組みで価格変動要因が掴みやすいため、売買のタイミングも検討しやすかったのです。
J氏はその他にも、日本株式、インドネシア国債、オーストラリア株式、J‐REITなど、投資対象を一国の同一商品のみに絞った投資信託を活用しています。このようなシンプルな投資信託であれば、一見して分かりにくい価格変動要因やリスクを不必要に負うこともなく、仕組みがシンプルな分だけ比較的コストも控えたものもあり、また長期間運用されているロングセラー商品も多いようです。
中長期的な視点でこれらの商品を運用し、総額約1億円の利益を得ました。4年間で合計2.5億円の利益です。
真似できる!富裕層投資戦略
J氏の投資の極意をまとめると、以下のようなものになります。
富裕層の資産運用では分散ポートフォリオがよく話題になりますが、実際には金融機関から提案された商品の集合体になってしまったり、商品の組み合わせのバランスが悪かったりすることもあります。そもそも金融商品の種類や数がとても多く、どのような視点で選べばよいのか、入り口で悩むこともしばしばです。
しかしJ氏のように、投資信託の価格変動の実態をできるだけ正確に把握しやすい商品を選択することが、投資信託を活用した資産防衛の第一歩といえます。雑音を取り払い、シンプルな視点でシンプルな商品を運用するJ氏の運用スタイルは、ぜひ真似したいものです。
(山口 聰)
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