倒産リスクの高い会社への投資と6つの注意点。継続企業の前提に「重要事象」「注記」について考える
トウシル / 2019年5月30日 12時50分
倒産リスクの高い会社への投資と6つの注意点。継続企業の前提に「重要事象」「注記」について考える
継続企業の前提に関する「重要事象」や「注記」が記された会社は、記されていない会社よりも倒産リスクが高いのは事実です。でも、投資してはいけないわけではありません。どんな点に注意すべきでしょうか?
復習:継続企業の前提に関する「重要事象等」や「注記」とは?
前回のコラムにて、『継続企業の前提に関する「重要事象等」と「注記」について』お話ししました。少し復習しておくと、これらの記載がある会社は、他の会社に比べて倒産リスクが高くなっています。
そして、継続企業の前提に関する「重要事象等」が記されている会社より、継続企業の前提に関する「注記」が記されている会社の方が、倒産リスクがより高いといえます。
『会社四季報』の各企業ページには、該当の場合その旨の記載があり、末尾には継続企業の前提に関する重要事象等や、注記が記されている会社のリストが掲載されています。
「倒産リスクが高い=投資してはいけない」というわけではない
では、これらの会社は絶対に投資対象にすべきではないかといえば、そんなことはありません。実際、筆者も重要事象等や注記が記されている会社の株に投資したことがあります。
もちろん、注意することなくやみくもに手を出すことはリスクが高いです。倒産リスクは高いので、会社の財務状況などをチェックして、自分自身でよく確認しておく必要があります。
『会社四季報』などから筆者が注意している6つのポイント
◯自己資本比率が低くないか
◯現金同等物に比べて有利子負債が多くないか
◯営業キャッシュ・フローがマイナスでないか
◯累積損失(利益剰余金がマイナス)がないか
◯債務超過でないか
◯赤字が3年以上続いていないか
これらに該当する数が多いほど、倒産リスクが高いと判断し、その銘柄への投資は慎重にします。
注記がついた会社だと、上記に該当する数が多い傾向にありますが、重要事象等の記された会社の場合は、それほどでもないケースもあります。個人的には、「重要事象等が記されるまでもないと思うのだけれど」と感じる会社もあります。
赤字続きだが夢のある株はどう考えるか?
例えば、バイオ関連株のように、足元は研究開発費などがかさみ赤字続きだが、画期的な新薬が開発されれば株価は大きく上昇することが期待できる。この様な会社に投資したいと考えている人も多いでしょう。
でも、その中には「継続企業の前提に関する重要事象等」や「注記」がついている会社もあります。
赤字続きで倒産リスクも高いが、夢もある、筆者がこんな会社に投資するとしたら、倒産して投下した資金がゼロになっても良い範囲で投資するようにしています。
とはいえ、足元が赤字続きだと倒産リスクが高まるのは確かです。夢が実現されずに倒産する可能性も頭に入れておかなければいけません。「良い方向」だけを考えるのではなく、「良くない方向」に動いた場合も考慮して、対処するようにしてください。
やはり株価の動きは重要視したい
これまで実際に倒産した会社の株価の推移をみると、右肩下がりに下落を続けることが多いです。一方、「継続企業の前提に関する重要事象等」の記載があっても、業績が順調に回復している会社の株価は、反発して上昇に転じているケースが目立ちます。
そのため、筆者だとやはり株価の動きは重要視しています。まず、先に挙げたようなチェック項目を確認して、
(1)倒産リスクが比較的低そう
(2)かつ今後の業績回復が期待できそう
であれば投資候補とします。
そして、株価のトレンドを確認して上昇トレンドであれば買うことを検討します。
バイオ関連株など「夢を買う」銘柄についても基本的な考え方は同様ですが、もし「株価がゼロになっても良いから持っておきたい」という銘柄があれば、株価トレンドにかかわらず、少量だけ保有を続けるというケースもあります。
仮に、株価が下降トレンドのときに画期的な新薬の開発などが発表されると、何日もストップ高買い気配が続き、買う機会を逸してしまうリスクがあるからです。
以上をまとめると、次のような流れになります。
◯会社四季報などで倒産リスクの高低を自分なりにチェックする
◯倒産リスクが比較的低く今後の業績回復が見込める銘柄を選ぶ
◯株価のトレンドが上昇のときにのみ投資する
◯「夢を買う」場合は株価がゼロになっても良いと思える範囲内の金額で投資して保有し続ける
業績が回復すればもちろん、株価も大きく上昇する可能性があるのが継続企業の前提に関する重要事象等や注記が記された会社。一方で、実際に倒産する可能性が高い会社がその中に含まれているのも事実です。
リスクを取って果敢に攻めるのも1つの投資手法ですが、特に初心者や初級者の方には、見込み違いで失敗しても致命傷とならない範囲内の投資がよいのではないでしょうか。
(足立 武志)
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