下値模索の日本株は意外な反発も?時間軸の「ねじれ」には注意
トウシル / 2019年6月3日 15時0分
下値模索の日本株は意外な反発も?時間軸の「ねじれ」には注意
日経平均、NYダウともに下落、「Wボトム」形成ならず
5月の取引最終日となる31日(金)の日経平均終値は2万601円で、前週末終値(2万1,117円)比では516円安でした。週足ベースでは4週連続の下落となり、「令和」相場が始まってまだ上昇を見せていません。
今週から6月入りとなりますが、先週末の先物取引が大取(大阪取引所)で2万450円、CME(シカゴ)で2万435円と2万500円を下回って終えているため、軟調なスタートが予想されますが、このまま日経平均は下値を模索する展開となるのでしょうか?
まずはいつもの通り、図1で足元の様子から見ていきます。
■(図1)日経平均(日足)の動き(2019年5月31日取引終了時点)
先週の日経平均の値動きを振り返ると、戻りを試すような動きで始まりましたが、直近の戻り高値(5月20日の2万1,430円)に届かなかったことで、週の半ばからは失速し、週末にかけてさらに下げ足を速める展開となりました。
終わってみれば、節目の2万1,000円台だけでなく、直近安値(5月14日の2万751円)も下回ってしましました。これにより、前回指摘した「Wボトム」の形成は崩れたことになります。また、ローソク足に注目しても、週末31日(金)に見せた下落がきつくなっていて、大きな陰線になっています。
この週末の株価下落をもたらしたのは、不法移民対策を背景に「メキシコに対して制裁関税を課す」とつぶやいたトランプ米大統領のツイートでした。米中摩擦以外にも政治的による景気下押し材料が突如として湧いて出てきたことで不透明感が強まった格好です。実際に行動に移されるのかどうかはまだ不透明ですが、事実となってしまえば米国経済への影響は避けられません。
このように、上値・下値ともに切り下がる形が目立ち始めている他、移動平均線でも25日線が75日線を下抜ける「デッド・クロス」が実現していますので、確かに相場の地合いは下方向への意識を強めているように感じられます。
また、前回も紹介した通り、米NYダウも日経平均と同じく、Wボトムの形成が意識されていましたが、こちらも崩れています。さらに、上値と下値が切り下がる下落トレンドの形成が色濃くなっている他、25線と75日線のデッド・クロスも達成し、株価水準も2万5,000ドルの節目を下回っています(下の図2)。
■(図2)米NYダウ(日足)の動き (2019年5月31日取引終了時点)
日足チャートには意外な反発の兆しも?
日米ともに日足チャートの形が悪くなっていますが、では、このまま日経平均が2万円を割り込むような下落を見せるのかというと、確かに相場のムード的には可能性は高そうです。ただし、実は意外な反発を見せる兆しも残っています。株価のトレンド形成にはその勢いの強さがポイントになるわけですが、こうした買いや売りの勢いを見るテクニカル指標として「RSI(相対力指数)」というのがあります。下の図3は日経平均の日足チャートとRSIです。
■(図3)日経平均(日足)とRSIの動き(2019年5月31日取引終了時点)
日足では、日経平均の下値が更新しているのに対して、RSIの下値は切り上がっているという反対の動きを示しており、いわゆる「逆行現象」になっています。株価が下落する一方で、RSIの下値上昇は売りが弱まってきているのではという解釈ができますし、直近のRSIは売られ過ぎとされている20%あたりが底になっていますので、株価が反発してもおかしくはなさそうです。
これまでのレポートで、「様子を見ながら株価は下落している」と指摘してきましたが、こうした値動きが功を奏した格好です。そのため、今週の前半に見せそうな下落局面で売りが殺到する展開にならず、これまでと同様に様子を探りながら下落していくのであれば、株価が反発していくシナリオも想定しておく必要があるのかもしれません。
中長期的には株価が下に向かいやすい
ただし、時間軸を中長期に移し、週足チャートで日経平均とRSIの動きを見ていくと別の景色が見えてきます(下の図4)。
■(図4)日経平均(週足)とRSIの動き(2019年5月31日取引終了時点)
図4でもいくつかの「逆行現象」を示していますが、こちらは株価が高値を更新しているのに対して、RSIの上値が切り下がっているパターンになっています。この逆行現象により、相場はトレンド転換で下落していったことが分かります。
足元も下落に転じている最中といった状況ですが、過去に見せた例ではRSIが20%の辺りまで相場の軟調が続きました。そのため、今週に株価が反発できたとしても、中長期的には下に向かいやすくなっていますので、「株価の戻りは基本的に長くは続かない」とみた方が良さそうです。
(土信田 雅之)
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