「ふるさと納税」新制度スタート。今さら聞けない「最初の一歩」!税金の仕組み、選び方は?
トウシル / 2019年6月4日 7時57分
「ふるさと納税」新制度スタート。今さら聞けない「最初の一歩」!税金の仕組み、選び方は?
6月1日から、ふるさと納税の新制度がスタートしました。読者の方から、「やってみたいが何していいかわからない」との質問が今でもあります。今日は改めて「ふるさと納税」の基礎を解説します。
ではまず、6月1日にスタートした新制度の概要を説明します。
行き過ぎた高額返礼品に規制。6月1日より新制度スタート
ふるさと納税する人は、どんどん増加しています。応援したい自治体に寄付するというよりは、返礼品が魅力的な自治体を選んで寄付するのが、普通となっています。そのため、一部でふるさと納税の趣旨に反する、行き過ぎた高額返礼品競争が起こっていました。
これを是正するために6月1日にスタートした新制度では、自治体が寄付者に贈る返礼品で、以下は禁止されることになりました。
・寄付額の3割を超える、高額返礼品
・地元産品でない返礼品
このルールを守らない自治体は、「ふるさと納税」の対象から除外されることになりました。今回、除外されることになったのは、以下の4つの市町村です。
・大阪府泉佐野市
・静岡県小山町
・和歌山県高野町
・佐賀県みやき町
この4自治体に6月1日以降寄付しても、「ふるさと納税」で認められる税額控除は受けられません。
このほかに、43の市町村で、税優遇が受けられる期間が2019年6~9月の4カ月に限られています。この43市町村は、7月中に改めて総務省に申請して制度適用の審査を受けることになります。審査が通れば、10月以降も制度の対象となりますが、通らないと除外されます。
ふるさと納税を行う方は、ふるさと納税サイトなどで、寄付する自治体が制度から除外されていないか確認が必要です。
それでは、以下でふるさと納税の制度概要とやり方を解説します。
「ふるさと納税」とは
ふるさと納税は、自分が応援したい市町村に、実質2,000円の負担で、寄付ができる制度のことです。寄付した自治体から、返礼品が贈られてくる魅力もあります。年収などの条件によって決まる上限額の範囲内で寄付をすれば、寄付額から2,000円を差し引いた金額だけ、ご自身の納税額(所得税および住民税)が減ります。
たとえば、実質2,000円の負担で5万円まで寄付できる方の場合、5万円を応援したい市区町村に寄付し、寄付金控除の手続きをすると、2,000円を差し引いた4万8,000円【注】だけ、ご自身が納めるべき税金が減ります。
5万円寄付すると、4万8,000円分、納税額が減るわけですから、実質2,000円の負担で5万円の寄付を行ったことになります。
【注】「ふるさと納税」を実施し、確定申告を行うと、所得税、住民税(都道府県民税および市町村民税)の納税額が減ります。5万円を寄付した場合、(1)所得税、(2)都道府県民税、(3)市町村民税の納付額の減少額を合計すると、ちょうど4万8,000円となります。
また、確定申告なしで、税額控除を受ける方法もあります。
ふるさと納税で寄付を行う自治体の数が5つ以内ならば、ワンストップ特例制度が使える
「確定申告で寄付金控除の手続きをしてください」と言われても、確定申告した経験のない方には、とても難しいことです。でも、あきらめる必要はありません。確定申告しなくても、ふるさと納税の寄付金控除を受ける方法があるからです。それが、「ワンストップ特例制度」です。
1年間に「ふるさと納税」で寄付する自治体の数が5つ以内ならば、確定申告をしないでも、ふるさと納税の寄付金控除を受けることができます。それが「ふるさと納税ワンストップ特例制度」です。ふるさと納税を行う際に、寄付を行う自治体に、「ワンストップ特例の適用を受ける申請書」を提出する必要があります。
ワンストップ特例を使う場合は、所得税は減りません。住民税だけで、「ふるさと納税額―2,000円」分、納税額が減ります。先に例に挙げた、6万円まで実質2,000円負担で寄付できる方の場合、6万円をワンストップ特例で寄付すると、確定申告しないでも、5万8,000円だけ、ご自身が納める住民税が減ることになります。
「楽天ふるさと納税」などを通じて、ふるさと納税(寄付)を行う際、「ワンストップ特例申請書の送付」について、「希望する」を選択すれば、後で、寄付をした自治体から、申請書が送付されてきます。
送付方法は、自治体により異なります。封筒に入れて送ってくることが多いのですが、返礼品の中に一緒に入っていることもあります。送られてきた申請書に必要事項を書き込み、「マイナンバー」関連の必要書類を添付して返送すれば手続き完了です。返送用封筒は、入っている場合と入っていない場合があります(自治体により異なります)。入っていない場合は、自分で返送用封筒を作成して、返送してください。
寄付した翌年の1月10日までに、申請書が自治体に着かなければならないことに注意してください。2019年のふるさと納税ならば、2020年1月10日までに提出してください。間に合いそうにない場合は、寄付する自治体に相談してください。
締め切りに間に合わなかったときは、「確定申告」すれば寄付金控除を受けることができます。「ワンストップ特例申請書」の提出が間に合わなかったとき、忘れたときは、「確定申告」しましょう。
確定申告で寄付金控除を受けるときは、寄付する自治体が何件でも(5件を超えても)問題ありません。
「ふるさと納税」最初の一歩!まずは自分の「寄付上限額」を知ろう
年収、家族構成、扶養家族の人数などの条件により、ふるさと納税で自己負担額が2,000円を超えずに寄付できる「寄付上限額」が決まります。その上限額を知らないことには、ふるさと納税は始められません。
まず、以下の楽天ふるさと納税サイトの「かんたんシミュレーター」から、ご自身がふるさと納税の寄付金控除を受けられる「寄付上限額」の目安を、調べる必要があります。
ここで、「年収(2019年の見込み額)」「家族構成」「扶養家族」に関する情報を入力すると、寄付上限額(目安)が表示されます。
そこで表示される金額の上限いっぱいではなく、まず毎月少しずつふるさと納税をやっていくのが、良いと思います。たとえば、「あなたの寄付上限額(目安)は60,550円」と表示された方でしたら、その半分、3万円くらいを6~9月にやってみても良いと思います。
確定申告する予定ならば、何件に寄付してもOKです。5,000円の寄付を3つの自治体に行っても良いと思います。ワンストップ特例制度を使うならば、寄付する自治体の数が年間で5件以内となるように考えて、1自治体への寄付額を決める必要があります。
「10~12月」が近づき、2019年の年収額もほぼわかるようになり、寄付上限いっぱいまでふるさと納税を行う際には、「かんたんシミュレーター」ではなく、「詳細版シミュレーター」で、正確に計算するのが安心です。
楽天ふるさと納税「詳細版シミュレーター」
次に、寄付する自治体を選ぶ。ワンストップ特例を使うなら5自治体まで
返礼品が魅力的な自治体、応援したい自治体から選ぶのが良いと思います。楽天ふるさと納税を使えば、気に入った返礼品を、自由自在に検索できます。
同時に、ふるさと納税の寄付金控除を受ける方法を、決める必要もあります。確定申告を行うか、確定申告不要の「ワンストップ特例制度」を利用するか、どちらかです。
確定申告をしたことがない人は、確定申告が不要の「ワンストップ特例制度」を利用したらいいと思います。そのためには、1年間に寄付する自治体を5件以内にする必要があります。
医療費控除や寄付金控除などを受けるために、確定申告をしたことがある人は、確定申告によって、ふるさと納税の寄付金控除を受ければ良いと思います。確定申告するならば、寄付する自治体の件数はいくつでも問題ありません。今年は、確定申告する予定がなく、「わざわざ確定申告するのは面倒」ならば、ワンストップ特例から始めたら良いと思います。
次に、寄付する時期を考えよう
次に考えるべきは、寄付する時期。理想的には、「1~3月」「4~6月」「7~9月」「10~12月」というようにに分散して寄付する方が良いです。なぜなら、寄付する時期によって、返礼品は異なるからです。寄付する時期を分散することで、春・夏・秋・冬に、四季折々の返礼品が楽しめます。今から始めるなら、6月~12月まで、時期を分散して行っていくのが良いと思います。
多数の自治体に、時期を分散しないで寄付すると、返礼品が一時期に集中する問題もあります。お米のように、保存の効くものならばいいですが、生鮮食料品などは、冷蔵庫に入りきれなくなることもあります。旬のものを、旬のときにいただくには、時期の分散が望ましいと言えます。
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(窪田 真之)
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