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今週にも米利下げ?タンカー炎上の余波は?どうなる日本株?

トウシル / 2019年6月17日 7時46分

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今週にも米利下げ?タンカー炎上の余波は?どうなる日本株?

先週は、日経平均株価が小幅高

 先週の日経平均株価は1週間で232円上昇し、2万1,116円となりました。先週は、米国の利下げ期待を背景にNYダウが堅調に推移し、日経平均や上海総合株価指数も小幅に上昇。ただし、米中貿易戦争が長期化する不安が続いており、上値は重いままです。

日経平均・NYダウ・上海総合株価指数の年初来の動き比較:2018年末~2019年6月14日

出所:楽天証券経済研究所が作成。2017年末の値を100として指数化

 6月10日に発動するとトランプ大統領が予告していた、メキシコからの輸入品への関税発動は、回避されました。

 中南米からの不法移民がメキシコを経由して米国に流入することに対し、メキシコが防止策を取っていなかったことが、関税を発動する理由とされていました。メキシコがグアテマラとの国境に治安部隊を配置し、中南米からの不法移民の流入を阻止すると表明したことで、米・メキシコの対立激化は回避された格好です。

 一方、米国と中国の、貿易戦争・ハイテク戦争は、解決の糸口が見えず、長期化の様相を呈しています。米中対立が原因で、半導体や電子部品などハイテク産業に悪影響が拡大。このまま対立が長期化すると、半導体や電子部品産業へのダメージが大きくなり、回復時期が遅れる可能性があります。

中東ホルムズ海峡で13日、タンカー2隻が攻撃を受け炎上

 中東ホルムズ海峡で13日、日本の海運会社が運航する1隻を含む2隻のタンカーが何者かに攻撃を受けて炎上しました。ホルムズ海峡は、世界の原油輸出量の約35%が通過する交通の要衝です。原油供給が不安定化する不安から、一時、ニューヨークのWTI原油先物が急騰しました。ところが、その後は落ち着いた動きとなっています。

WTI原油先物(期近)の動き:2018年12月末~2019年6月14日

 

 丁度、安倍首相がイランを訪問し、ハメネイ最高指導者と会合したタイミングで起こっただけに、さまざまな憶測を呼びました。トランプ米大統領は、イラン主犯説を唱え、イランを非難。イランは関与を否定し、米国を非難しています。

  米国とイランの対立は根が深く、解決の糸口が見えません。サウジアラビアとイランの対立もあり、中東情勢は不安定な状況が長期化しそうです。

  ただし、この事件が、原油価格や世界の株式市場に与える影響は、限定的と考えています。それには、2つの理由があります。

【1】ホルムズ海峡で次々とタンカーが攻撃される事態は想定されない

 今回の攻撃はどんな組織が行ったのか、現時点でまったくわかりませんが、今回の攻撃を受けて、ホルムズ海峡への国際的な監視の目は厳しくなると想定されます。次に攻撃が行われれば、攻撃を行っている主体がどこか露呈する可能性が高いと言えます。そのような状況で、さらに攻撃が続けられるとは考えられません。

 特定の国が関与している可能性は低いと考えられます。ホルムズ海峡を経由して原油が輸出できなくなることを望んでいる国はないからです。もしホルムズ海峡が封鎖されれば、イランは原油が輸出できなくなるので、大きなダメージを受けます。

 何らかの考えを持った組織が独自に行動したと考える方が自然です。どんな組織にしろ、同じような攻撃を何度も実行できるとは考えられません。中東原油が輸出できなくなることは、中東諸国全体の利益に反するからです。

【2】ペルシャ湾岸で戦争があってもホルムズ海峡が封鎖されたことはない

 ペルシャ湾で戦争やテロが起こると、ホルムズ海峡が封鎖され、中東原油の供給が細るという思惑から原油価格が一時的に上昇します。ただし、これまでは時間の経過とともに、原油価格は反落に転じることが多かったと言えます。実際にホルムズ海峡が封鎖されたことがないからです。

 たとえば、イラン・イラク戦争の開戦が避けられなくなった1979年、原油供給停止の思惑で原油価格が急騰したのが、第二次オイルショックでした。ところが、実際にイラン・イラク戦争が始まり、10年間続いた間も原油輸出は続きました。戦争をしている間に、原油価格は大きく下落しました。

 イラク内戦が激化した時も、イラクからの原油輸出は続きました。戦争で原油供給が停止したことは、過去にはありませんでした。

 原油先物価格は、米国でのシェールオイル生産の増加・世界景気の減速懸念を受け、5月以降、下落していました。今回、原油価格が反発しましたが、一時的と考えています。世界景気に回復の兆しが出て、世界的に株高が進む環境になる時まで、原油価格が本格的に反発トレンドに入ることはないと考えています。

  関連記事≫≫緊急レポート!どう見る?安倍首相イラン訪問中の「ホルムズ海峡被弾事件」

6月19日のFOMCで米利下げあるか?

 今週の注目材料は、18~19日に実際される、米国の金融政策を決めるFOMC(米連邦公開市場委員会)です。そこで、0.25%の利下げが実施される可能性があります。

 金融市場は既に、年内数回の利下げが行われることを織り込んでいます。実際、以下の通り、長短金利が逆転しています。

米長期金利(10年国債利回り)とFF金利(短期金利)の推移:2004年1月~2019年6月(14日)

 

 FRB(米連邦準備制度理事会)は、利下げを実施することを示唆していますが、それが6月か7月か9月かは、明確にしていません。どのタイミングで利下げが実施されるか、その後、為替がどう動くかが注目されます。

日経平均は長期投資で買い場の見方を継続

 日経平均は、貿易戦争への不安などから当面、上値の重い展開が続きそうです。ただし、そこは長期投資で良い買い場と判断しています。

 その理由は、3つあります。

【1】日本株が配当利回り・PER(株価収益率)などの株価指標から見て割安であること
【2】日本企業の財務・収益基盤が堅固になってきたこと
【3】世界景気は2019年に悪化・20年に回復と予想していること

 

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(窪田 真之)

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