実はよく分からないロボアドバイザー。何が違うの?
トウシル / 2019年6月20日 5時10分
![実はよく分からないロボアドバイザー。何が違うの?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushiru/toushiru_21855_0-small.png)
実はよく分からないロボアドバイザー。何が違うの?
「ロボアドバイザー」という言葉を聞いたことがありますか? 最近では、有名俳優を起用したテレビCMも流されており、聞いたことがある方もいらっしゃるのではないかと思います。
「ロボアドバイザー」とは、ネットを通じた資産運用のサービスです。日本では、少しずつ知られるようになってきましたが、まだまだ認知度が低いと言わざるを得ません。しかし、将来は、長期的に資産形成をする手段として育つ可能性があります。
筆者は、楽天証券が提供するロボアドバイザー「楽ラップ」の投資責任者です。実際に運用及びサービス提供に携わってきた経験から、ロボアドバイザーについて、これから連載で書いていきたいと思います。
ロボアドバイザーとは
ロボアドバイザーとは、米国発祥の資産運用サービスで、簡単に説明すると、インターネットを利用したオンラインの「投資顧問サービス(投資一任サービス)」、もっと詳しく言いますとオンラインの「ラップ口座」です。
米国では、「顧客にポートフォリオ(※投資対象の資産や銘柄の組み合わせ)を提案し、さらに実際に顧客資金を預かり、運用までするサービス」をロボアドバイザーと呼ぶようですが、日本では、「運用はせず、ポートフォリオ(投資対象商品の組み合わせと配分)を提案するだけのサービス」でもロボアドバイザーという言葉が使われており、定義が曖昧になっています。
ただ筆者は、日本でもテレビCM等の影響により、米国と同様に「運用までやるのがロボアドバイザー」というイメージが世間的に徐々に受け入れられていくと考えております。
ここでは、ポートフォリオの提案に加え、運用まで行なうものが、ロボアドバイザーという本家米国の考え方に従い、書いていきます。
投資顧問サービスには、「投資一任」と「投資助言」の二種類がある
ロボアドバイザーは、オンラインの投資顧問サービスですから、まずは投資顧問サービスについて説明します。
投資顧問サービスには、「投資一任」と「投資助言」という二種類のサービスがあります。
「投資一任」は、投資顧問会社が運用の方法、取れるリスクの程度、目標とするリターンの水準についてあらかじめ顧客との間で取り決めを行い、その取り決めに基づき、顧客の代理人として運用する権限を委任された投資顧問会社が運用を行なうサービスです。
「投資助言」は、投資顧問会社が顧客に対し、投資についてのアドバイスを提供するサービスです。
ロボアドバイザーは、上記のうち、「投資一任」にあたります。
投資一任のサービスって、どんなもの?
投資一任のサービスの流れは、具体的には、以下のとおりです。
投資顧問会社(証券会社など)は、まず顧客に対し、運用の目的、どの程度のリスクが取れるのか、どれくらいのリターンを目指すのかなどを確認するためのヒアリング診断を行います。
診断結果から条件を満たすポートフォリオを提案し、顧客が納得すれば、投資一任契約という契約が投資顧問会社と顧客の間で結ばれます。
その後、資金が投資顧問会社へ預けられると、運用担当者(いわゆるファンドマネージャー)が契約に基づき、株式や債券、ファンドなどの投資対象及びその配分を決め、投資を実行します。投資開始から定期的に投資顧問会社は運用状況を顧客へ報告します。
なお、15年前に証券会社が証券業務と投資一任業務を兼業することが法的に認められた結果、証券会社が上記のサービスを多数の投資家に対し、一律に提供できるようになりました。それが今で言う「ラップ口座」です。
通常、投資顧問会社は、少数の富裕層顧客を相手に個別にサービス提供を行うのが一般的ですが、証券会社が顧客資産の管理をシステム化するとともに、組織力を活かし、
「ラップ口座」として多数の顧客に対し、大規模にサービス提供するようになりました。
ロボアドバイザーは、投資顧問会社としてのサービスですが、その中でもインターネットを使い、多数の顧客に対し、一律にサービス提供をするものなので、ラップ口座のネット版と言えます。
なぜロボアドバイザーというの?
投資顧問会社の投資一任サービスの流れは、前述のとおりですが、従来は顧客と対面してサービスを提供するものでした。たとえ、ラップ口座を大規模に展開する大きな証券会社でも、状況は同じで、あくまでも対面のサービスでした。
しかし、IT技術の進歩により、顧客に対して行うヒアリング診断から投資一任契約の締結、投資の実行、運用報告に至るまで、顧客は一切誰とも面談することなく、ネット完結で投資一任サービスを受けることが可能になりました。しかも、ほぼすべてのプロセスがシステム的に自動処理されることから、ロボットによるアドバイザー、すなわちロボアドバイザーと呼ばれるようになったのです。
ロボアドバイザーへの進化
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/a/9/-/img_a908236ae5e2119d3fc0e2005943693d29230.jpg)
どんなロボアドバイザーがある?
では、具体的にどんなロボアドバイザーがあるのでしょうか?
現在日本で利用できる主なロボアドバイザーは、以下のとおりです。
・THEO(お金のデザイン)
・ウェルスナビ
・楽ラップ(楽天証券)
・マネラップ(MSV LIFE)(マネックス・セゾン・バンガード投資顧問)
・ダイワファンドラップ オンライン(大和証券)
THEOとウェルスナビがETF(上場投資信託)に投資するのに対し、楽ラップ、マネラップ、ダイワファンドラップ オンラインは、公募投資信託に投資し、同じロボアドバイザーでも投資対象の商品が異なります。
ただ投資対象の商品は異なっても、運用方法はいずれも年金運用スタイルで、長期投資(運用期間は10年、20年、あるいはそれ以上)が前提になっています。
次回以降も、さらにロボアドバイザーについて説明したいと思います。
(大澤 健吾)
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